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 ようやく三日目。書いててくたびれた。読んでる方がいたらさぞくてびれていらっしゃる事で御座いましょう。麻布絶口釜無し村の木蓮寺に着いた時にゃあ随分みんなくたびれたそうですから、まあ諦めておくんなさい。

 ●無声映画鑑賞会 第582回  門仲天井ホール

 『母』(1929年) 説明/桜井麻美
 『生れてはみたけれど』(1932年) 説明/澤登翠

 最近、師匠の「生れては…」が変化してきている。演じ方もそうなんだけど、作品解釈が徐々に動いているのです。こういう演者の変化も他楽しめるようになると活弁は俄然面白くなります。映画だけ観ていても十分ではないし、語りだけ聴いていてもやっぱり不十分なのデス。昔の日本人は学問は今より無かったかも知れませんが芸事を楽しむ技術は現代人より高い気がします。つまり想像力があるのね。

 
 この問題は由々しき問題でありまして、あちこちで芸人さん、興行主さんと話すと良く話題に出ます。最近は何も考えない客と頭でっかちな客が増えているのだそうです。芸人がそんなこと言っちゃいけないのかも知れませんがね。

 桜井の『母』はプログラムの解説を私が書いたこともあって、予習は完璧、したがってボンヤリ観ておりました。弁士はそこそこ上手くこなしておりました。ちなみに桜井含め、若手弁士と呼ばれている面々は私と同期ばかりです。みんな何をやらしてもそこそこ上手くこなします。もちろん私も。この先、我々はそこそこ上手く語ることの上を目指さねばならんのです。誰が抜け出すかネ。
 
 あ、下手糞も居ますよ。
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|01/29| 活弁コメント(0)TB(0)
『血と霊』に捧ぐ

 さて二日目でやんす。

 ●活弁とピアノで魅せる「溝口健二のふたつの顔」 パルテノン多摩

 ・『血と霊』に捧ぐ 
  語り/澤登翠 ピアノ/柳下美恵 解説/佐相勉
 ・『瀧の白糸』NFC復元版(1933年)
  説明/澤登翠 ピアノ/柳下美恵

 『瀧の白糸』はモチのロンで名作です。個人的には『折鶴お千』の方が好きなのですが世間の評価はこっちが上であります。ましてや当時の批評を比べると月とすっぽんでして「折鶴」のけなされ様ときたらそりゃぁ非道いもんで、はい。しかし楽屋で佐相先生とお話をさせて頂いたのですが当時の批評というやつは注意して読まんとアカンのですよ。キネ旬は資料として貴重ですがチョイと自分の映画論に酔って書かれている批評も多く目にします。一歩引いて見てる分には楽しい読み物ですが鵜呑みにすると危ないのも事実。

 んで、目玉はどちらかといえば「『血と霊』に捧ぐ」でして、これはフィルムが消滅してしまった作品を原作、スチール、関連する美術家の絵画などをスライドで映しながら語りと音楽で映画に迫ろうという試み。袖から見ていましたが大層面白い企画でした。映画ファンではなく美術畑、演劇畑の人々に見てもらう方が良いかもしれない。

 
|01/28| 活弁コメント(0)TB(0)
 師匠の公演に三日続けてお供させて頂きました。その一日目。
 
 ●優秀映画鑑賞会 茨城県立県民文化センター
 『オペラの怪人』(1925年)
 『恋の花咲く 伊豆の踊子』(1933年)

 実に不思議な客層でした。とにかくよく笑う。大日方傳扮するところの学生水原が密かに失恋したシーンで笑う。飯田蝶子が出てきて笑う。子供が殴られて笑う。柿を入れた籠が大写しになって笑う。水原と田中絹代扮する薫の別れのシーンで当然笑う。ラスト付近はずうっとクスクスしっぱなしなのでありました。さすがに師匠も最後の謳いあげを軽めに流しておりました。
 
 たまにあります、こういった客層。楽しんでいるのは間違いないんだけれど一般的な反応とチト違うという…。しみじみと正しい映画の解釈なぞ無いのだと思うのです。その場の反応こそがその場では正解なのですな。やっぱりね自分の評価を押し付けたらイカンのよ、君。
|01/27| 活弁コメント(0)TB(1)
 が本日発売だそうです。アタクシはスペンサーという役をさせていただきました。声優は初めてで御座んしたので、大層難しかったですな。普段弁士で演ってる時に狙えるクオリティが出せない出せない。

 ともあれ売れて欲しいモンです。打ち上げではスタッフの方とばかり話してました。出演者と話せよなぁ。
 
 え~、ロンド・リーフレットで検索してこられた方、他の文章は全然関係ない事ばかり書いてますので読まん方がよろしいかと存じます。時間とらせちゃ申し訳ない。

 でもとりあえず弁士の宣伝だけしときましょ。どんなオッチョコチョイが引っかかるか解りませんものねえ。
  ●活動写真上映会
   2月4日(日) 14:00~ 佐倉市立美術館4階ホール
   弁士:片岡一郎 ピアノ演奏:新垣隆
   上映作品『チャップリンの消防夫』『カリガリ博士』
  詳細はこちらhttp://www.city.sakura.lg.jp/museum/exhibition/moriya.html
   
|01/26| 活動コメント(0)TB(0)
東京芸術劇場 小ホール 平成19年1月26日

 過去二度ほど拝見させて頂いている劇団みんわ座さんの公演でした。みんわ座さんは江戸写し絵を現代に復活上演しているという稀有な劇団なのであります。その文化的意義といったら私のような木っ端弁士なんぞ相手にならん位でして末永くの活動を心より願い公演のご案内を頂けば可能な限り伺おうと決めているのです。
みんわ座のホオムペエジであります。http://www.t3.rim.or.jp/~minwaza/

 この日の演目は
 ・江戸写し絵『風流 江戸の賑わい』
 ・江戸写し絵『日高川入相花王』
 ・影絵芝居『鼓くらべ』

 でありました。「風流…」は現存する写し絵を大胆に使い役者の舞台上の演技と平行させて上演するというもの。現代に写し絵をどうやって活かしてゆくかの一つのパターンとして興味深い演目です。

 「日高川…」は道成寺物ですな。7~8年前にも上演チラシを見たことがあったのですが見逃していた演目。こちらはオーソドックスに古典的上演方式でした。

 『鼓くらべ』は影絵芝居、光と語り音楽総動員で名作を表現します。同じ舞台装置を使いながら写し絵と影絵が違った表現であることが同時に観ることで解るという又とない機会です。
|01/26| 舞台コメント(1)TB(0)
「ねえ、先生」
「何だ愚者」
「いきなりだね。落語でしょそれ」
「五月蝿いよ、アタシが好きなんだ良いじゃないか」
「愚者のギャグがですか?」
「落語が、だよ。それはあんまり面白かないよ。でも言ってみたかったんだ。いいぢゃないか。んで、何の用だい」
「そうそう、落語の話をしにきた訳ではないのです」
「ないのです、だって。気取るなぃ」
「まぜっかえさないで下さいよ。あのね、近頃、活弁士ってよく聞くんですが、先生もそのクチですか」
「違うよ、活弁士なんかぢゃねえ」
「でもさぁ、今時阪妻だとか嵐寛だとか言ってるでしょ」
「アタシはね、活動写真弁士だよ」
 桂文治 ざる屋

昨日は明け方近くまで飲んでいたため昼頃起床。しばしぼんやりしてからラピュタ阿佐ヶ谷へ行く。見逃していた『道成寺 蛇炎の恋』をようやく鑑賞。学生の時に道成寺物にふれて以来、安珍清姫譚は最大のテーマなのです。出来ることなら無声映画で道成寺物を製作したいのだけれど…。

 ラピュタ阿佐ヶ谷では斉藤寅二郎作品を語らせて頂いた事がありまして、それからのお付き合い。小振りながも独自の企画を立てている魅力的な映画館です。

 終映後は阿佐ヶ谷の町でレコードと古本を見て廻ったのですが、ここで大当たり。八世家元・桂文治の「ざる屋」が300円、南龍美の映画物語「唄祭三度笠」が2枚組で200円で入手。その他含め3000円程の出費でした。掘り出し物に当たる快感はギャンブルの快感に似ていると思っております。
|01/21| レコードコメント(0)TB(0)
 神田伯龍先生が亡くなったのは昨年の11月17日、私が知ったのは二日後の18日でした。療養が長引いているなとは感じていたのですが、まさかお亡くなりになるとは思っておりませんでした。先人が亡くなると、もっと聴いておけば、観ておけば良かったと悔やむ事が多いのですが伯龍先生の場合、それはありませんでした。なにしろ「持ち根多は4000」と平然とおっしゃる方でしたので、もっとの幅が大きすぎるた為でありましょう。
 当日の出演と演目は以下の通り。

  神田昇龍   「笹川の花会」
  入船亭遊一  「たらちね」
  三笑亭夢太朗 「代り目」
  宝井馬琴   「加藤孫六」
  白山雅一   「伯龍追想」
  一龍斎貞水  「いかけ松」
  一龍斎貞山  「沢村才八郎」
|01/20| 舞台コメント(0)TB(0)
 イロイロありまして『ロンド・リーフレット』というPCゲームの声優をやったのです。いわゆる18禁ゲームでしたがアタシの出番にそのテのシーンは全く無くてガッカリしたりなんかして、それでも面白かったのですが、収録の話はとりあえず置いときましょう。収録でいえば奥田民生さんのDVDに吹き込んだ時も楽しかったですな。で、それも置いといて表題の話。

 ゲームの声を演るからにゃ勉強しなくては、と思ってやってみたのがこの『ままらぶ』というゲームだった、とこういうコトなのですよ、これが。星の数ほどあるゲームの中から選ぶにあたっての基準は…
  1・声優さんの演技の評価が高い
  2・シナリオの評価が高い
  3・笑いの要素が強い
の3つでした。もっとも勉強のために買った癖に5分の1も終わらん内に収録はしてしまったので、それからちょびっとづつ進めてとりあえずクリアしたというテイタラク。で、実際にやってみた感想ですが、面白いのよこれが。シナリオが良く書けてて、感心しちゃった。

 こうした話題、つまりアダルト系というか、もっといやぁエロっちゅうかね、あんまり取り上げない方が良いというご意見もあるのです。特にアタシの師匠、女性だから。ただ、どんな分野でも結構な仕事をしてる人はいるのですよ。逆に世間体のいい職業に就いてて裏でロクでもないのも居ますでしょ、ウチ(活弁)の業界だってさぁ…。職種じゃないのデスよ、結局。いや、どんな分野でもとか、こういう論調こそ失礼なのですよ、本当は。解った上で、こう書かないとイカン気がして。

 愚痴は知り合いに見つけられない内に書いておくに限ります。
 ともあれ『ままらぶ』よく出来てました。自分の出た『ロンド・リーフレット』は遊ぶんだろうか、ワタシ。
|01/19| 活動コメント(0)TB(0)
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 立て続けに書いておりますが資料をまとめるのも仕事のウチであります。いつかきちんとした形にしたいと思っているのですが、いつになることやら…。それにしても弁士というのは記録が少ない。分るのは芸名だけという方が殆どなのです。弁士のご遺族ご親類の方、もしも拙文を御覧になったら是非ご一報を頂きたいものです。そもそも最盛期(大正末期)には全国に約8000人もの弁士がいたそうですから、親類を辿れば弁士が見つかる可能性はどなたにもあるのです。小さなエピソードといえど貴重な映画史、芸能史になり得ます。

 さて、では本題の伍東宏郎先生であります。艶聞と最後という重い話で前回は締めくくりましたが、サテ今回は暗くならずに済むかどうか。とりあえず弁士失業後の事に触れてみることにします
伍東宏郎

 先日『瞼の母』について書いた時に触れた伍東宏郎師についての記録です。自分の為の備忘録ですが世界中で5人位は役に立つ人が居るかもしれません。んまあ10人は居ません、ええ。ちなみに本文中で解説とあるのは活弁のことであります。一般に関東では説明、関西では解説といっていたとの事。何故活弁ではいけないのかは後日に譲ります。
 
 伍東宏郎(ごとうこうろう)本名森下武雄・1894(明治27)年、兵庫県新温泉町浜坂の生まれ。小学校卒業後に鳥取の駄菓子に奉公へ出る。その後大阪に出て千日前で帽子の叩き売り、大阪朝日座の隣にある帽子屋の店員を経て、大阪で最も人気のあった弁士の一人、松木狂郎の門に入る。当初は洋画の解説を専門としていた(師匠・松木とリレー形式で吹き込んでいる『十戒』のレコードも残っている)が後に時代劇の解説に転向し爆発的な人気を誇る。
 立川志らく師匠が宗匠をされている「映画監督協会&下町ダニーローズ句会」に参加しました。俳句ってのは風流を詠んだりなんかしてごく上品な趣味的文芸のイメージがまかり通っているのですが、他人の句に点を付けて順位を決めたり、駄句を選んだりと非常に俗な楽しみに溢れているのであります。参加する度に思うのは句会というのはよく出来たゲームだという事でして、こんなシステムを作った人は余程ヒマだったというか余裕のある方だったのでありましょうねぇ。
 怠惰な私は、句会に入らなければ本棚に眠りっぱなしだった『古今和歌集』なぞ手に取る事も無かったでしょう。そうした意味でも刺激をもらえる集まりなのです。
 なんにもせよ、言葉を吟味する楽しさは格別であります。
|01/15| 活動コメント(0)TB(0)
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 昨年の11月に亡くなっていた事、今更知りました。
 氏の出世作である『AV女優』を読んだのは8年程前だったと思います。なぜ手を伸ばしたのかは憶えていません。でも読後の何とも言えない感動は記憶しています。一度会ってみたい、そんな風にぼんやりと思っていた方でした。
|01/13| 読書コメント(0)TB(0)
 様々聴いた『瞼の母』の中でも印象的なのが伍東宏郎口演のものであります。リーガルから発売された二枚組みのSPレコードでして、当時大阪で大いに人気のあった師の語り口は七五調を基調として流れる如く母子対面の場を描いております。私の師匠・澤登翠は母を慕う青年をそりゃあ見事に演じておりますが、伍東バージョンではやくざ者が一流料亭の女将と向かい合う戸惑いが描写されていて、この辺の解釈の差などを聞き比べるのが話芸としての活弁の面白さでありましょう。
 比較検討に師匠の芸を引き合いに出すってのは何とも乱暴ですが、現在最も解り易い例なのであえて書いた次第。
 ちなみにそのレコードがこれ20070110085022.jpg

|01/10| 活弁コメント(0)TB(0)
 忘れぬ内に。 元日、2日は映写のお仕事でした。プリンスホテルの新春イベントで今年で4年目、続いているというのが何より凄いことです。弁士は同門の斎藤裕子でした。上映作品は以下の通りであります。
『チャップリンの冒険』(1917年・ミューチュアル社)
『豪傑児雷也』(1921年・監督/牧野省三・主演/尾上松之助・日活)
『東京行進曲』(1929年・監督/溝口健二・日活)
『番場の忠太郎 瞼の母』(1931年・監督/稲垣浩・主演/片岡千恵蔵・千蔵プロ)
|01/05| 活弁コメント(0)TB(0)
 新しい事を始める時は予習をしますね。そのため本屋さんはマニュアル本で溢れかえっております。「無料ではじめるホームページ」「ブログは無料で楽しもう」などなど。どの本も1500円前後でした。タダで始める為に本を買うというのは、味わいのある行動ではありませんか。
 株をやるより「株の買い方、売り方」の本を出した方が儲かります。ギャンブルでアテるより「○○攻略法」を書いたほうがアタる確立は高いそうです。日本人はマジメなので、事程左様に入門書が売れるのでしょう。
 我が家にはマニュアル、何冊あることやら。
|01/04| もやもやコメント(0)TB(0)
 知人の話であります。
 その人は旅行に行き、写真を沢山撮ったんですな。で、思い出の写真を観てもらう為にブログを始めた訳です。「今日からブログを始めます。三日坊主にならないように頑張るぞ」とか何とか書いて。
 結果からいうと、そのブログは、それっきり更新されなくなってしまったそうです。始める事は続ける事と違うという好例でした。でも今も確かにその文章はどこかに存在していて、似たような状況で打ち捨てられている文書も数え切れない程有る訳で…。考えてみりゃ不気味な空間ですな。そろそろブログを題材にした怪談が登場してきそうです。
 なんて話しはどうでもよくて、件の一日でうっちゃらかした知人より私は偉いって事を書きたかっただけなのです、ええ。
|01/03| もやもやコメント(0)TB(0)