●無声映画鑑賞会 第582回 門仲天井ホール
『母』(1929年) 説明/桜井麻美
『生れてはみたけれど』(1932年) 説明/澤登翠
最近、師匠の「生れては…」が変化してきている。演じ方もそうなんだけど、作品解釈が徐々に動いているのです。こういう演者の変化も他楽しめるようになると活弁は俄然面白くなります。映画だけ観ていても十分ではないし、語りだけ聴いていてもやっぱり不十分なのデス。昔の日本人は学問は今より無かったかも知れませんが芸事を楽しむ技術は現代人より高い気がします。つまり想像力があるのね。
この問題は由々しき問題でありまして、あちこちで芸人さん、興行主さんと話すと良く話題に出ます。最近は何も考えない客と頭でっかちな客が増えているのだそうです。芸人がそんなこと言っちゃいけないのかも知れませんがね。
桜井の『母』はプログラムの解説を私が書いたこともあって、予習は完璧、したがってボンヤリ観ておりました。弁士はそこそこ上手くこなしておりました。ちなみに桜井含め、若手弁士と呼ばれている面々は私と同期ばかりです。みんな何をやらしてもそこそこ上手くこなします。もちろん私も。この先、我々はそこそこ上手く語ることの上を目指さねばならんのです。誰が抜け出すかネ。
あ、下手糞も居ますよ。