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 ついに9月も最終日です。アメリカに到着して一か月経つんですねぇ、しみじみ。
 といった感傷にあまり浸る余裕もない今朝なのです。なぜといってこの数日間の学会最後の企画がDiscussion with benshi Kataoka Ichiro and Sangjoon Lee だからですよ。僕とサンジュン・リーとディスカッションですよ。サンジュンというのはミシガン大学の方でして、お名前から分かるように韓国の方ですね。この方、とても紳士でしかもジョークもイケる。ついでに言うと外見はヨン様似です。あと奥様は美人です。
 
 ボツボツ寒い朝で御座います。ヨン様、じゃないサンジュンが我が家まで迎えに来てくれました。紳士だ。Ann Arborが日曜の朝にバスが無いのです。それを相談したら「迎えにいくよ」と。ついでに「終わったら家まで送るよ」と。

 その昔、日本には女は男の三歩後ろを歩くべし、みたいな美徳が御座いましたね。いまそんな事言った日にゃ大変な目にあわされて、生涯女性の五歩後ろを歩かされるに違いありません。韓国では今でも比較的男性が女性を引っ張るのを良しとする雰囲気があるのだそうです。でもそれは「黙って俺の言うとおりにしろ」というのではなく、引っ張る分だけ責任を持つという事でもあります。なので韓国の方はもてなそうと決めた相手には物凄く丁寧です。少なくとも僕が会った範囲では。

 今年の五月に行ったドイツでもホームステイさせて頂いたご家庭は奥さんがドイツ人、旦那さんが韓国人というご家庭でしたが、ここもそんな感じでしたね。ここの旦那さん、ベッドルームでベンチプレスが出来るようにしてある方で腕力が強かったのを良く覚えています。握手すると痛ぇの。

 というような理由かどうか分かりませんがサンジュンも実に良くしてくれています。
 車の中で「昨日の夜の間に帰った人も結構いるから、今日のディスカッションには何人来るか分からない。もし誰も来なかったらコーヒーでも飲みに行こう」なんてお喋りです。こういうジョーク、海外の方は良く仰いますが、実行に移そうとするパターンは稀です。それに比べて日本人はこういうジョークこそ言わないものの、いざ来ないとなると実行に移そうとする人が多い気がします。なんででしょうか、狩猟民族と農耕民族の違いでしょうか。全然関係ないですね、はい。

 会場に到着しますとトラブル発生。
 会場が開いてない。
 入れない。

 いよいよコーヒー屋か?と不謹慎な僕は思ったのですが、急遽別の部屋を確保、事なきを得たのでした。

 ディスカッションといったものの、実質的には僕が少し実演をやって、あとはいらした方とのQ&Aでした。これがもう大変でね、通訳は大学の院生の方がやって下さったのですが、どうしてもこっちの仕事がマニアックなもんだから質問もマニアックになっちゃうのよね。こっちも頑張って答えるともっとマニアックになっちゃうのよね。明らかに通訳の方のボキャブラリーの外の言葉が交わされるのですから、ご苦労様としか言いようがありません。心の底からお礼申し上げたい。

 出てきた質問も多様でして、弁士の歴史について、声優との演技の質に違いについて、台本の書き方、稽古に要する時間、落語などの日本の伝統話芸との関係性というベーシックな質問から、あなたとあなたの師匠の澤登さんとの違いはどこにあると思いますか?なんて心底答えづらい質問やら、坂本頼光さんや山田広野さんは自分で作品を作って弁士をやっていますがそれに対してどう思いますか?なんて質問も出るんですわ。ここはアメリカだぜ。どうしてそこまで把握してるんだ、みたいなね。

 日本映画研究をされている方々は我々の予想以上に我々の事を知っています。我々の業界で起きている事も、思った以上に世界に知られています。
 軽率な行動は慎まねばなりませんぞ、同業および同業界の皆様。
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|09/30| 活弁コメント(0)TB(0)
 セミナーもあっという間に三日目ですね。ですね、って言われても困るでしょうが。
 せめてもう少し自分に語学力があれば、心底楽しめたんだろうにと思いますね。

 さてそれでは本日のプログラムです。

セミナー5

セミナー6



 
 んでもってこの三日間で僕が拝聴した研究発表をご紹介しましょう。
 「どんな内容だった?」とかは聞いてくれるな。

九月二七日
Keynote, Aaron Gerow (Yale University)
九月二八日
First Frame
The Transcriptive Apparatus: Imamura Taihei on Animation and Documentary,
Thomas Lamarre (McGill University)
Film as fukusei geijutsu: social psychology at the movies in 1950s Japan, Michael Raine (University of Western Ontario)
Written Through an Anamorphic Lens: Japanese Critical, Namhee Han (University of Chicago)
Maeda Ai’s Cinematic Narratology, Takushi Odagiri (Duke University)
ファーストフレームはPanel 1に参加させて頂きました。こちらのテーマはContinuing Technologiesでした。

Second Frame
A Theory on the Desk? or A Theory of Yearning?, Kim Soyoung (Korean University of the Artsz)
A Layman’s Movie Review: Lu Xun as a Translator, Cultural Critic, and Semicolonial Reader, Jessica Ka Yee Chan (Macalester College)
Film Theory in Translation: The Pure Film Movement and Japanese Film Style, Laura Lee (Florida State University)
The Neglected Tradition of Phenomenology in Japanese Film Theory, Naoki Yamamoto (Yale University)
このパネルテーマはTranslating Theoryでした。そして僕がこのパネルを選んだ理由は映画史に関わる方ならお分かりでしょう。弁士とも密接にかかわるFilm Theoryに関する研究発表があるからですね。余談ですがイェールの山本さんとは、以前某ドイツ人の宅飲みでご一緒した事があったのでした。山本さんからお声掛け頂いてようやく思い出すこの情けなさ。恥ずかしい限り。

Third Flame
『東京の宿』の準備のため欠席

九月二九日
Fourth Frame
Cinema and Mechanization: StagingR.U.R (Rossum’s University Robots) in Japan, Diane Wei Lewis (明治学院大学)
Expanded Film Theory: Cinema, Graphic Design, and Architecture,Yuriko Furuhata (McGill University)
Intamedia: Early Developments in the Theorization of Intermediality in Japan, Julian Ross (University of Leeds)
Media theory in Japan: theEnsenzberger Moment, Miryam Sas (University of California, Berkeley)
カレンダーをご覧になって頂ければ分かりますが、この日は土曜日なんです。そしてAnn Arborは土曜日にはバスが少ない&始発が遅い!開始時間ぎりぎりで飛び込みました。そんなに朝早かったのかというと開始は午前九時。そこまでじゃないのですよ。毎日九時ごろに起きてる僕が言うのもなんですが。
 このパネルのテーマはIntermedia Theory: Lost & Foundでした。

Fifth Frame
Early Japanese Filmmusic: Theoretical Musings about Putting Music to Film, Johan Nordstrom (早稲田大学)
Early Film Music Theory in Japan: Nakane Hiroshi’s Toki ongakuron, Kerim Yasar (Notre Dame University)
The Sound-making of Japanese silent movies, Shuhei Hosokawa (国際日本文化研究センター)
The Master-slave Dialectic in Chinese Opera Film, 1954-1965: From “Filming Opera” to “Filmic Opera”, Zhang Yeqi (Nanjing University)
From Shadowplay to Montage: Introduction of Soviet Film Theory to Early Chinese Cinema, Jinying Li (Oregon State University)
このパネルのテーマは分かりやすいですね。Sound and Screenでゴワス。細川先生が『ストトン』を上映しながらちょっと弁士をやったりなんかしてウケてました。「やらせろ」と思うさもしい俺がいました。

Sixth Frame
Tadao Umesao’s Theory of Information Industry and 1960s Japanese Media Theory, Kadobayashi Takeshi (関西大学)
McLuhan in Japan: Media Theory and Advertising Practice, Marc Steinberg (Concordia University)
Girlscape: Consumer Demographics and Lifestyle Environment in Early 1970s Japanese Media, Tomoko Yoda (Harvard University)
Enter the Media: Ironical Theory as Commodity/Resistance in 1980s Japan, Alexander Zahlten (Harvard University)
 某ドイツ人ことアレックスがトリでした。学会発表にトリはないか。
 これだけ充実の講義を聴いたら少しは賢くなりそうな気がするでしょ?全くなんだなこれが。いやそんなことないか、賢くはなってるんだな。ただ元が低いだけなんだな。
 今回の学会全体のテーマは発表内容をご覧になってお分かりの通りEast Asia映画文化ですね。そこにはアメリカ人、日本人はもとより韓国人、中国人、はては新東宝を研究テーマに据えているスウェーデン人なんて素敵な方もおりまして百花繚乱の態と申しましょうか。おっと、弁士もいますね。
 現在日本はアジアでの立ち位置を見失っている感じが致します。近隣諸国とある程度の緊張関係は仕方ないのかもしれませんが、それにしたってもう少し上手くやれよと思います、無論近隣諸国に対しても言える事ではありますが。そんな状況下でこうして研究者が集まり互いの研究発表に拍手をし、質問を投げ掛けあう。とても貴い時間ではありませんか。
 芸術など何の役に立つのだ、と声高に叫ぶ人は少なくありません。収益の上がらない文化に金を落す余裕は行政には無いと仰る方もいます。でもね、人と人、文化と文化の壁を乗り越えて諍いを減らすには芸術が重要なのです。芸術に対して金銭収益面だけで存在の是非を問う事は非常に危険な事なのです。

 そんな事を感じましたね。
 
 なんて言うと学会が終わったかのような気がしますが、明日は朝から俺がお話をしなくちゃならないんだよぅぅぅ。

 今日でお帰りの方も大勢いますので、夜は打ち上げ。ビール飲んでピザ食べました。せめてここは写真を撮っておけば良かったかもしれぬ。居るじゃないですか、偉い人と会うと一緒に写真撮って、さも旧知の間柄であるかのようにパンフレットやなんかに載っけたりする人。ああいうのやっておくべきだったかもしれない。
|09/29| もやもやコメント(0)TB(0)
 たっぷり学会発表を堪能して、これで帰って酒を飲んで寝ちゃえれば良いのですが今日は金曜日、そう、Silent Ozuの日じゃありませんか。なんと学会との連動企画という事で、これは渡米の大一番なのですよ。

 大一番ばっかりだね、しかし。

 本日の演目は『東京の宿』で御座います。英語タイトルは『An Inn at Tokyo』ですね。説明は不肖、片岡一郎が担当。音楽はLittle Bang Theoryであります。Little Bang TheoryさんはMichigan Theaterで『生れてはみたけれど』でもご一緒させて頂いております。この作品に関してはリハもやってますしね、お互いの出方も分かっておりますから、なんの心配も御座いません。

 問題があるとすれば前説ですね、私が英語でやらなきゃいけない。セミナーで発表をされる智人達の前で己の馬鹿を晒さにゃならんのです。本番前に映画の90分より、前説の5分が長いと言ったらMarkus先生大笑い。

 『東京の宿』は小津の無声映画としては上映頻度がさほど高くない作品です。小津の無声映画となると『生れてはみたけれど』『浮草物語』『出来ごころ』あたりが定番で『非常線の女』や『その夜の妻』のようなハリウッドを露骨に模倣した作品が続く感じでしょうか。本来は長編ですが現在は縮刷版しか残っていない『大学は出たけれど』も多いですね。この傾向には映画史的評価であったり、マツダ映画社がプリントを持っているために弁士のお仕事で使われる機会が多い、なんて理由があるでしょうが、にしても『東京の宿』の上映頻度は低い。でもこれ良い作品です。話自体は暗いですけれど坂本武も良いし、岡田嘉子も実に良い。音楽はサウンドトラックがありますが、今回はあえて生演奏。
 
 スタンディングオヴェーションを頂戴しました。
 アタシ感激。

 学会発表との連動企画で何を上映するか、悩みどころではあったでしょう。定番作なら必ず一定以上の評価を得られる。でも専門家の集いとなれば「もうその作品は見てるから」という理由でいらっしゃらない方も多そう。では珍しければ良いのかと言えばそれも違う。『東京の宿』は上映頻度が少ない割に内容が濃いのですから、絶妙な選択だったのです。実際、ご覧になった先生からは「『東京の宿』は初めて見たけれど、なんだこれは傑作じゃないか」とのコメントがあったそうな。

 さすがに疲れました、ちょっと気負いました。でもやれて良かった。
 前説ですか?それはそれとして。
|09/28| 活弁コメント(0)TB(0)
 セミナー二日目です。
 正直、朝から晩まで研究発表を聴いていただけなのであんまり書くことが無いんです。
 詳述すれば大変な分量になるし、そもそも話の内容をきちんと聞き取れているわけでもないしね。
 本日はプログラムを転載します。

セミナー3

セミナー4


 ちょっと分かりにくいかもしれないので解説しますと、一日が三つのフレームに分かれています。さらにフレームの中に幾つかのパネルが御座います。参加者はパンフレットを見ながら聴きたい研究発表の会場へ足を運ぶ仕組みなのですね。という事は、どんなに熱心な方でも全ての研究発表を聞く事は出来ない仕組みになっているのです。
 不親切な気もします。でも自然と密度が高まります。何となく全部聞くのではなく、自分の聞きたい発表を選んで足を運ぶ。うむむ、勉強とはこういうものだなぁ。

 以前も書いたかもしれませんが、こちらの授業や研究発表では質疑応答に十分な時間をとります。日本では「質問のある方?」と声をかけられても誰からも質問が出ずに終了という流れもありますが、こちらではそれは基本的にありません。最初の一人が手を挙げるのには若干時間がかかる事がありますが、誰かが口火を切ればあとは芋づる式に質問が出てきます。研究発表は自分で用意した内容を話せば良いのですが、質疑応答はどんな角度から攻め込まれるか分かりませんから、こちらの方がスリリングだったりなんて場合もしばしば。

 質問と言えば学校の授業等で先生が「何か質問は?」と聞いた場合、日本の先生は一分待つんだそうです。対してアメリカは十秒と待たないとか。自分の意見を言う訓練が早い段階でなされるわけですね。だからって日本にそのまま取り入れても上手くいくってモンでもないでしょうが。
|09/28| 活動コメント(0)TB(0)
 あれだろう、皆そろそろ気付いてるだろう。
 俺が忙しいのなんのと言っても、結構遊び呆けている事に。
 正解さ、その通りさ。
 日本に居る人とメールをする度に「ブログ読んでますよ。楽しそうですね」と言われますよ。言外に「もちょっと働きなはれや」というアレを感じますよ。

 なので今日は働きましたよ。結構大一番的に働きましたよ。
 この9月末、ミシガン大学は大変に映画研究者にとって騒がしい場所になったのです。それもそのはず、大変なセミナーが行われたのですから。その名も

Department of Screen arts & cultures University of Michigan Presents : The Permanent Seminar on the Histories of Film Theories

が開催されたからなのです。
 これがそのパンフレットね。

パーマネントセミナー


 そして表紙をめくると、ジャジャン!(安い擬音)

セミナー2


 どうでぇ、これは凄いだろう!9月27~30日の4日間にわたって映画史文化史の猛者が集って各々の研究発表を見たり聞いたり喋ったりするという、大学ならではの集合智の場が形成されるのですよ。これに参加できるなんて最高の栄誉ですね。

 そして今日はその初日です。一日目ですから皆さん到着したばかりでお疲れですし、研究発表の準備もある、という訳でこの日は夕方からの基調講演とその後の懇親会がメインです。基調講演をして下さるのは、日本人より日本に詳しい Aaron Gerow先生で御座います。だってAaron Gerow先生ってばFace Bookのアイコン、バカボンのパパなんだぜ。携帯ストラップもバカボンのパパなんだぜ。そんなバカボンのパパAaron Gerow先生の前座というか、露払いというか、基調講演の前に私、『喧嘩安兵衛兵』の説明をさせて頂きましたのよ、ヲホホ。

 なんでもこういう企画は直前になって「やっぱり参加できない」という連絡が必ず一件はあるんだそうです。ところが今回はそれが無かったとか。講演をする予定の先生が全員参加されるという訳。いかに期待されていたかが分かります。
 この日からの4日間は喜びの日々でありました。ただしリラックスはしながらも真面目な企画ですので、あの先生やこの先生と記念写真てな事は出来ませんで、向こうからも求められませんで、この楽しさをお伝えする画像が無いのですね。残念ながら。

 あのね、機会があったら大学のセミナーに参加してみると良いですよ。やっぱり専門の方の話は楽しい。言葉がいまいち分からなくても提示される資料だけで十分に貴重なものが見られたりします。そして海外の大学のセミナーは予想以上に開かれています。そういうとことも素敵ですね。
|09/27| 活弁コメント(0)TB(0)
 プリンターを買いました。
 なるべく無駄遣いはしたくないんです。大抵の事は学校でタダで出来てしまう事もあり、電化製品の購入には二の足を踏んでいる部分が御座いました。でも

 買っちゃったんだ。

 理由はですね、昨日もお話ししました通り、実に書類が多いのです。しかも米国とは別件で請求書やらなんやらを発行しなきゃいけないというね。これだけデジタル化といってもやっぱり紙は大事です。自宅にプリンターがないと不便でしょうがない。しかもおあつらえ向きに我が家の近所にはOffice Depotがあるじゃ御座いませんか。だから

 買っちゃったんだ。

 現在の私の収入は先日一括で頂いた分のみです。あとで税金の払い戻し分とか、飛行機代の清算とか、大学以外の場所でやった公演のギャラとかが貰えるんですが、それがいつになるか現時点では分かりません。なのでこれを買ってしまったが為に食うに困る、なんて事があるのかもしれない。けれど

 買っちゃったんだ。

 エラクはしゃいでる感じですから、おやおや片岡の野郎はさぞかし高級なプリンターを買ったんだなと思われるかもしれません。実際は一番安い奴です。日本円で6~7000円くらいでしょうか。でもこれでも贅沢なんですな。というのはアメリカには半年しか滞在しないからです。ほかの国でも使えるんですよ。でもプリンターってそれなりに大きいじゃない?これを他の国に送るだけで軽く4000円はかかっちゃうのよね。となるとおそらくは帰国の時に誰かにあげる事になるのです。ちょっとね勿体ないんですけどね

 買っちゃったんだ。

 でも今のプリンターって凄いのね。日本で使ってたプリンターはパソコンとUSBで繋いで使うタイプでしたが、7000円のでもWiFiでもって繋がっちゃうン。なんかよく分かんないけど。その何かよく分かんないのをどうやらこうやらセットアップした訳です。おお、俺もアメリカで生活してるなって気がしましたね。遅ぇよ。

 てな訳で、このブログを読んでいるミシガン大学関係の方、来年の2月まで待てるならプリンターを無料で差し上げます。
本日のブログで言いたいことはこれなのでした。
|09/26| もやもやコメント(0)TB(0)
 日本では『チャップリン・ザ・ルーツ』が始まったのですね、なんて出だしでこんにちは。久しぶりの更新ですよ。
 渡米してから何のかんのと一か月近くが経ちました。これから活動が本格化してくるのです。どう本格化するかというと、校外での活動が始まるのですね。アメリカをあっちに行ったりこっちに行ったりするのです。

 ところで僕は今回、ビザを発行してもらっての滞在をしています。ビザにもいろいろあるんですね。色々ありすぎて詳しく説明できません、というか僕もよく分かっていないのですが、ともかく僕が申請して受理されたのはJ-1というビザです。これは交換留学生、研究員、職業訓練でアメリカに滞在するために発行される、つまりアメリカで勉強するためのビザという事です。じゃあお前何かやってんのか?と聞かれれば、答えに窮するばかりなのですが、世間様には勉強の為に来てる態なのです。しかもですな、ここからが非常にややこしいのですが、ビザがあるからといって、それだけでデカい顔が出来ないのがアメリカです。その他にも私がどこの機関にどれだけ所属するかを証明する書類やら、それがきちんと入国審査で認められた書類やらが御座いまして、こういう書類がないと「サテハ貴様、ヨカラヌ事ヲ企ンデオルナ」という風に疑われてしまうのです(大げさ)。

 さて、僕はご存じの通りミシガン大学に呼ばれてアメリカに滞在してます。逆位に言えばミシガン大学で研究やあるいは情報提供をするために来ているのですね。という事はミシガン大学以外の場所で報酬が発生する何かをするには、申請が必要なのです。それをしないと「サテハ貴様、ヨカラヌ事ヲ企ンデオルナ」という風に疑われてしまうのです(とても大げさ)。

 でまあ、この手続きがこれまた面倒臭いのさ。あっちこ書類をこっちに持っていき、こっちの書類をあっちに持っていき、とね。それから書類を発行してくれる事務員の方にどこに行くか、みたいな情報をお伝えしたりと。もっともそいういう面倒な事を主にして下さっているのはMarkus先生はじめ、これまた学校の方々なので、あんまり面倒とか言っちゃいかんのですが。

 でもね、アメリカは実に書類の好きな国です。特に近年はその傾向に拍車がかかっているようで、提出書類の中にいくつもある質問の中には英語力の問題以前に何を訊かれているのかよく分からない質問がある。で、書類を出してくれと言ってきている相手に「ここはどうかけば良いんですかね?」と伺うと「どう書けば良いですかねぇ」なんて返事が来たりなんかする。自由の国の自由でない側面を見る事が出来て、それはそれで楽しいのですが、追いつかないというのも事実です。

 皆様もアメリカ長期滞在の際には書類攻めを覚悟して頂きたいと思います。現地で相談できる人がいるとベスト、というか居ないと結構キツいですわ。

 
|09/25| もやもやコメント(0)TB(0)
 たまにはアメリカ以外の話題しなければなりませんね。

 ただ今、銀座テアトルシネマとシネ・リーブル梅田で公開されている映画に関わらせて頂きました。
 その名も『チャップリン・ザ・ルーツ』です。

 チャップリンのデジタル復元された最長・裁量画質の初期短編作品に説明をつけさせて頂いたんです。それが劇場公開されるという訳。

 実はこれまで弁士業では基本的に収録のお仕事はお断りしてきました。なぜかというと自分の記録用に撮った録音を聴くたびにゲンナリするのに、パッケージにしていいのかと思っていましたし、それから弁士の芸というのはどうにも録音に向いていないのではないかと感じておりまして、具体的にいうと録音物だと、どうして一人一役じゃないの?という感想が生じる気がしたりとか、あとは志ん朝師匠の言葉にもあるように芸ってのはその場で消えてしまうから良いんだ、と思ってもおりまして、以上のようなグチャグチャした考えをグチャグチャと持っておりましたから、録音には抵抗があったのです。

 けれど今回ばかりは受けさせていただきました。その理由は『チャップリン・ザ・ルーツ』の告知サイトをご覧頂いてからお話ししましょう。

『チャップリン・ザ・ルーツ』銀座テアトルシネマ上映告知
『チャップリン・ザ・ルーツ』シネ・リーブル梅田上映告知
 どうです、この顔ぶれ。山寺宏一さんといえば『魔人英雄伝ワタル』シリーズで渡部クラマを演じられた方ですよ。安達忍さんといえば『魔人英雄伝ワタル3』で牙皇子を演じられた方ですよ。←

 早い話がね、これに乗っておかないと、ほら、さあ、なんか弾かれたみたいじゃん?というこれまでの私の主義主張がいかに薄弱なものであったかが露呈してしまう動機での参加ではあったのです。とはいえ緊張しますよ、何しろチャップリンです。我々無声映画関係者にとっては神様です。そのチャップリンのデジタルリマスター版に、後に残るような形で声を付けるのです。これで身が引き締まらなきゃ弁士じゃないね。

 これに関われる喜びを感じられなきゃ無声映画で仕事すべきじゃないね。

 この企画にはチャップリン研究の第一人者である大野裕之さんのご尽力が何といっても大きいのです。声優さん方の収録台本は大野さんが手がけられていますし、私も自分の説明台本を作るにあたっては何点か相談をさせて頂きました。
 「チャップリンに音声は不要」という方には大野さんが『チャップリン・ザ・ルーツ』の監修をされた事を非難する人も居らっしゃるかもしれません。「あいつはチャップリンに声を付ける片棒を担いだ。あいつはチャップリンを分かってない」と。でも大野さんはチャップリン作品に本質的に声が不要な事は百も承知の上で観衆をされたのでしょう。今までチャップリンを見たことが無い人に、チャップリンに触れる機会を持ってほしいと思われているのではないかと私は考えています。

 俺が勝手に思ってるだけかもしれないけどね。
 余談ですが、大野さんがチャップリン家で本企画について「人気の声優・弁士が〜」と説明したら、先方は「人気のセクシーな声優・弁士が〜」とメモしていたそうです。

 俺、セクシー

 「チャップリンに音声は不要」は全くもって正しいのです。でも『チャップリン・ザ・ルーツ』と同一の素材でのDVDは海外ですでに出ています。現在ならそんなに苦労せずとも入手が可能です。ならばたまには日本独自の声の付くチャップリン上映を楽しんでみても良いのではない、と提案させて頂きたいのです。

 もちろん弁士は私だけではなく、わが師・澤登翠、坂本頼光、山崎バニラも参加しております。とにかく『チャップリン・ザ・ルーツ』は何人もの想い、日本の弁士・声優の文化、そしてチャップリンという歴史上の巨人が幾層にも重なり合って成立している企画なのです。そんなに大事な上映ならなぜ公開初日に告知ブログを上げないのだ、と思われるかもしれません。思いますね?いやぁうっかり忘れててアメリカとの時差でタイミングを間違えてさぁ。

 私の担当させて頂いたのは『チャップリンの寄席見物』です。チャップリンのルーツであるミュージックホールの風景が活写されている点で非常に興味深い作品でして、いわば『チャップリン・ザ・ルーツ』の中でも実にルーツな一品です。上映プログラムはD。東京、大阪ともに9月25日の公開です(東京は9月30日、10月11日もあり)。この機会にチャップリンを映画館で体験して頂ければ幸甚です。

 それから声優さん目当てでこの上映に行って、初めて弁士の芸に触れる方には、是非とも弁士の「黙る」技術に注目して頂きたいと思いますですよ。弁士と声優の似て非なる部分が一度に楽しめるのも『チャップリン・ザ・ルーツ』の裏面チックな楽しみでありましょう。

好きな食べ物はお茶とプリン(嘘)
|09/24| 活弁コメント(0)TB(0)
 連日申し上げている通り、ここはアメリカです。
 これは僕の滞在自慢ではなく、ただの事実です。

 ところでみなさま、アメリカを代表するキャラクターと言えば何を思い浮かべますか?人によってその答えは違うでしょうが、ミッキーマウスと言われて否定する人は居ないでしょう。アメリカが生んだ、世界で最も有名なキャラクターがミッキーマウスであるのは事実です。

 ではアメリカで暮らしていて、ミッキーと同格か、あるいはそれ以上に見かけるキャラクターとはなんだと思いますか?

 実はね・・・・・Hello Kittyなのよ。
 実際、どこにでも居ます。ミッキーがいない所にもキティちゃんは居ます。
 ミッキーはブランドイメージを大事にしますから仕事選ぶでしょ。キティちゃんはその辺、貪欲ですからね、あんなに有名なのに駆け出しの吉本芸人ばりに仕事を選びませんよ。先日も貞子とコラボしましたし、なめことのコラボでは全裸を披露したと話題になりました。そんなキティちゃんはアメリカにだって平気で尻尾を振ります。「私は日本代表よ」なんて気負いは一切ありません。相手の望むままに千変万化の艶姿を僕らに見せつけてくれます。どんな相手でもかかってこいと言わんばかりです。とんだ横綱相撲だよキティ。しかもあいつ、基本的な挨拶がHelloだから、アメリカに平気な顔して馴染んでやんの。おそらくキティちゃんが日本のキャラクターだってしらないアメリカ人、かなりいるんではないでしょうか。

 という事で、これからちょいちょいアメリカで見かけたキティちゃんの画像を皆様にお届けします。だってホントにどこにでも居るんだもん。日記のネタが無い日もキティ様がいてくれれば何とかなるんだもん。

 そしてこれからキティ画像をアップし続けて、サ○リオに媚び売って、仕事貰うんだもん。あるいはキティちゃんと俺がコラボするんだもん。

 余談ですが、Ann Arborでキティちゃんの次に見かける日本のキャラクターってなんだと思いますか?
 アメリカ全体だとどうかは分かりませんNARUTOの方が見かけるかもしれません、でもこの土地だと、はっきり奴が二番手です。

 答えは下へどうぞ↓








キティ1
答えの前にミシガン大とキティちゃんのコラボTシャツをご覧ください。

























 どーもくん(マジで)。
|09/24| もやもやコメント(0)TB(0)
 本日は早起きです。
 早起きと言っても8時ですが。8時が早いかはさておいて、全体にこっちに来てから早起きです。昼過ぎまで寝てるという事態にはなっていません。それはなんといってもこちらの夜が早いからですね。ウチの周り、なんにもないのよ。ショッピングモールも9時には閉まるし、スーパーも10時は閉まっちゃう。いくら治安が良いからって用もなく夜の街を徘徊しても仕方ないです。

 おまけにボツボツ寒いし。

 24時間営業のお店が近所にいくつもある東京は凄い町ですばい。
 早寝早起きは良い事ですね。自慢できるほど早寝早起きじゃないけれども。

 今日はなぜ早起きかと申しますと、リハーサルなのです。今度の金曜日は『東京の宿』を演ります。その音楽がMichigan Theaterで共に喝采を博したLittle Bang Theoryなのです。早速の再共演は嬉しい限り。一回共演していれば、相手の出方もお互いに見えて来ますから、より密度の高いセッションが期待できます。
 日本でもそうですが、同じ音楽家の方と何度かご一緒すると、お互いが相手の呼吸を図れるようになってきます。無声映画は映画であると同時に常に生ものですので、呼吸がとても重要なのです。この呼吸の図りあいは録音音源をきっかけどおりに流しているだけではなかなか出来ません(本当はある程度出来るんだけど、やれる人は少ないです)。

 片岡一郎&Little Bang Theoryの『東京の宿』はかなり面白くなりそうです。しかもリハ中にDVDの読み込みエラーがあって、個人的にはハイライトシーンのリハが出来なかったんです。これがますます本番を楽しみにさせてくれます。お互いが信頼できる関係性が築けたら、要の場面はリハ無しの方がスリリングで良いです。ここはどうくるんだろう、と思いながら喋りますと、集中力が高まる気がするのです。生の楽しさが凝縮されておりますね。

 本当にこの米国滞在では、無声映画上映や弁士の芸の基本に立ち返らせていただく機会が多くて感謝の連続です。日本に居たときだって、真面目にやってましたが、やっぱりちょっと色んな要因で気が乗らない時や場所があるんですね。新しい空気を入れるって大事です。でも大事なことって中々気付けない、もしくは気づいていても実行できなかったりしますからねぇ……。

 リハは一回通してお終い。あとはみんなでピザを食べました。

 と、ここで終わりでないのが日曜日です。
 アメリカは日曜日はちゃんと休みます、遊びます。とても素敵な事です。
 本日はMarkusご一家と一緒にラズベリー摘みにお出かけですよ。

 Ann Arborには車で20分ほど行ったところに広大なラズベリー農場が御座います。そこはもうラズベリー天国ですよ。いくら食べてもOKという。そんでもって持ち帰る場合は1パックに付き4ドルお支払すればよろしいのです。

ラズベリー
安い、美味い!


 スーパーだと、このパックの半分程度の大きさで5ドル前後でしょうか。
 5人がかりで食べながら摘みました、摘みました。その数20パック以上。アメリカ人は現金をあまり持ち歩きませんので、あわやお金が無いという事態になりかける程に摘みました。それを車に積みました。こういう事書かなきゃ良いのにね。

 なんでもブルーベリーも摘めるそうですよ。
 農場の写真はですね、摘むのが楽しすぎて撮るのを忘れました。
 農場なので当然ながら蜂がブンブン飛んでます。でも不思議と怖くないのね。向こうのこっちもラズベリーに夢中ですから、お互いに害がないのが分かるんですね。むしろ蜂に「お前さんも精が出るねぇ」なんて声をかけてみたくなるんです。まあスズメバチだったら逃げますけどね。

 この日、我が家は1パックだけお持ち帰りでした。というのも有機栽培のラズベリーはとても足が早いので、そのままだとあっという間に腐ってしまうんですな。なのでMarkus先生がジャムにして下さるという。楽しみにならない訳がない。その日の内にジャムを乗せて食べるアイスを調達する始末ですよ。早ぇつーの。

 さあこれで帰宅してゆっくり、なんてアメリカの日曜は甘くありません。
 Markus先生の息子さんが出る少年フットボールゲームの観戦がトリのイベントとして待ち構えております。アタクシはね、この試合が実に面白かった。なぜといってコーチが子供たちをひたすら褒めるんです。「ファンタスティック!」「マーベラス!」「グッジョブ!」「ビューティフル!」等々、英語にはかくも賛辞の言葉があるのかと感心するばかりでした。つくづくこっちは褒める文化なんだなと思った次第。

 何でもかんでも褒めりゃ良いってもんじゃないだろうけど、褒め言葉を惜しまないという点については日本も大いに見習いたい点でありますね。
|09/23| 活弁コメント(0)TB(0)
 毎週金曜日は小津の日、これは弁士としては幸せなのですが、冷静になると強烈なプレッシャーですわね。しかもミシガンには日本人も日本語が堪能なアメリカ人、韓国人が多くいらっしゃる。「間違えたって分かりゃしないよ」なんて気持ちでは絶対に出来ません。ほかの海外公演でもそんな気持ちで演った事はないけれど。

 でも日常生活だとやっぱりここはアメリカなんだと思う事が多く御座います。
 そう、僕は22日目にしてアメリカの洗礼を受けたのです。

 アメリカはレトルト食品が不っっっっっっ味い。

 到着してすぐに行った買い出しで念のためにと買っておいたんですよ、レトルト食品。何かあった時の非常食でもあり、また少し興味もあった。今日はお昼になんとなくカッタルかった状況もあり、レトルト食品をレンジで加熱して食べました。結果は前述の通り。

 実は私、ミシガン州は二度目なのです。高校生の時に一度来ています。なんでかと言うと叔父がこっちに海外赴任で来ていて、遊びに来たのです。あの時は随分良くして頂いて、ナイアガラの滝を見に行ったり、ブロードウェイで『Beauty and The Beast』を見たり、ジュリアード音楽院の中を見学したりしました。でもその時の旅である意味一番印象に残っているのが機内食の不味さ。その昔ノースウエスト航空という会社が御座いまして、それは今のデルタなんですが、ともかくノースウエストの機内食の不味さは尋常ではありませんでした。私、体調不良でもないのににカレーを残したのは後にも先にもあれっきりです。そんなカレーを通路を挟んで座っていた巨漢のアメリカ人男性が完食して、涼しい顔でクロスワードパズルを解いていたのを昨日の様に思い出します。

 なのでデルタの機内食もかなり心配だったのですが、あの悪夢の再現とまではいきませんでした。決して美味くはないけどね。もっとも、そもそもアメリカ人は機内食の美味い不味いなんて話題にしないんだそうです。機内食が美味いはずがないと思っている。まったくもって正しい姿勢ですね。

 マレーシア航空とかシンガポール航空は結構美味いですけどね。

 とにかく機内食がそれなりに食べられたので油断してました。レトルト食品は、あの時の、ノースウエストの味です。これは食いモンぢゃない。こんなんで育ったら味覚が狂う。もしアメリカで長短期問わずに生活する事になってもレトルトは本当に最後の手段です。食べてはいけない。食べても良いけど、大した量でも多分食べきれない。
 僕は基本的に食べ物は全部頂くのをポリシーにしてるんですが、済みません、この日ばかりは無理でした。

 あ、でもこのブログをご覧になった方で「このメーカーのはレトルトだけど美味しいよ」というのがあれば教えて下さい。試してみたい。僕が食べたレトルト食品のメーカーは忘れました。記録を取る気力が残っていなかったのです。

 日本のレトルト食品は優秀ですよ、奥様。

 今日は写真無しだ。
|09/22| もやもやコメント(0)TB(0)
 3×7=21
 そうなんです。こっちにきてからもう3週間経ってしまいました。
 まだまだ不慣れな事も多いですが、でも何とか生きてます。これも皆様のお蔭ですね。日米両方から支えて頂いている気がします。まあ私は支えるに足る人材ですから、頑張って支えてくれたまえ。
 嘘です。お世話になっております。

 はい、今日はSilent Ozuの第二回です。演目は『出来ごころ』です。
 さすがに毎週Michigan Theaterという訳にはいきませんので、大学内に移動しての公演です。会場はU-M’s Natural Science Auditoriumという場所です。ミシガン大学のなにが凄いってね、行内に何カ所もAuditoriumがあるんすよ。さらに何カ所も35mm映写機やらデジタルプロジェクターやらが配備されているんですよ。日本の大学でもプロジェクター配備は珍しくないですけど、校内に何機も35mm映写機があるなんてのは破格です。ここで学べる学生さんはそれだけでも実に幸せだと言えますね。

会場
これがオイラの常小屋だぜ


 だから当然、校内でしょっちゅう映写機を回している技師さんも居らっしゃいます。なんだか凄いですね。おかげで私は毎週35mmプリント上映で説明が出来るのです。日本だとDVDか16mmが基本だったもんな。しみじみ。

映写室
こういう映写室がいくつもある大学なの

 しかもですね、ここが大事なのですが使用される35mmプリントがピカピカのニュープリント・・・・じゃない!これも嬉しいですね。この小津の無声映画はアメリカで何度となく上映されてきたんだろうなと思える傷のつき方をしているんです。トップタイトルからプリントが焼かれたのは2003年の小津生誕100年の時だという事が分かります。10年たたない間に異国の地で、それなりに傷が目立つ程度に上映頻度があったんです。これは日本人として誇っていい。

 お客様の反応は上々でした。『出来ごころ』はかなり純日本的な風景の作品なので反応が少々心配だったりしましたが、まったく無用でしたね、そんな心配は。ただ日本とは全く違う反応があるところも随所にあり、語っていてこちらがお客さんを鑑賞している気持ちになる事も度々で御座いました。

 たとえば伏見信子が突っ伏して泣くシーンが二度御座いますが、このシーンでアメリカ人はゲラゲラ笑う。考えてみりゃ家の中でも靴を履いたままの人たちですから、不可に崩れ落ちて泣くというのは、かなりの異常事態なのでしょう。
 それから大日方伝が伏見信子に「お前は俺の言うとおりにしてりゃ良いんだ」と言うシーンもありますが、これは日本の美徳なのですね。個人主義が浸透している、しかも現代のアメリカ人女性がこっちに聞こえるような声で「Oh!」って言ってました。

 その手の文化の違いによる愉快な反応は多々ありますが、作品満足度は充分だったようで、こちらも大満足の夜で御座いましたよ。

フィルム缶
『出来ごころ』の英語タイトルは『Passing Fancy』と言います。

 しかしここで心配の種がひとつ。終演後は基本的にバスで帰宅なのですが、Ann Arborはバスの本数が日本ほど多くない&終バスが早い。21時40分頃でお終い。毎週金曜日の公演が19時から始まります。終わるのが8時半頃。基本的は和服でやりますが、着替えてからバス停に行くとちょっと危ない時間帯なのですね。なら和服のままで帰れば良いじゃないかとも思われるでしょうが、問題はこれからの時期。この土地は11月になると気温が零下になる事もしばしば。Silent Ozuは11月9日まで続きます。そして和服は基本的に零下で活動する前提では作られていない!!

 今年の冬は、シミルぜ。。。。
|09/21| 活弁コメント(0)TB(0)
 お金がね、無いんです。
 もう少し分かりやすくいうと、現金がないんですね。不安はありますよ、不慣れな土地でお金がなきゃね。そんなに大きな不安ではないんですがね。
 それでやっとお給料だと思ったら、これがお金に換えられないというね。

 ここまでが前回のお話でした。

 ミシガン大学の日本学では今季、毎週木曜の時からヌーンレクチャーというのをやっていて、様々な方々による日本研究の発表があるのです。当然、どれもこれも英語です。なので私が行っても半分も分からないのですが、それでも実に興味深いお話が毎週聞けるのでこれは通わねばと思うのです。あ、でも実は先週は僕だったんですけどね。
 そのヌーンレクチャー、今週は「The Concept of Persona in Bioethics and the Philosophy of Tetsuro WATSUJI」というテーマです。本日の講師は森岡正博先生。こういうお話を聞きにミシガン大学の学生と生徒と職員が集まるのですから、なかなかに濃い空間なのです。それからこちらの講演の特徴、というか日本との違いは質疑応答にかなりの時間を割き、また実際に質問が出てくる事でしょう。
 日本で良くあるパターンは、司会の方が「では弁士の片岡さんに何かご質問のある方?」と声をかけても・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。「それでは少し早いですが、これで閉会とさせて頂きます。片岡さん、ありがとう御座いました」パチパチパチ。てな流れですね。こっちはジャンジャカ質問が出る。
 アタシね、憧れてることがあるんですよ。質疑応答で自分の英語だけで答えられるようになって、お客さんからの質問に「Good question!」って言うの。なんて低い次元でしょう。なんて安上がりな野望でしょう。でも日本語で「いい質問ですね」だとなんか嫌味だけど、英語だとスッキリしてる気がするんですよ。気のせいかもしれませんが。

 んでまあ、ヌーンレクチャーには日本に関心のある方々ばかりが集まりますので、基本的には二か国語OKな方が多いのですね。ここで私のポリシーが発動します。昨日、俺は頑張った。もう人に頼ろうと決めた訳です。なんにしても小切手を使えるようにするためにも、今後の収入の処理のためにも銀行口座が必須です。今日はまず銀行口座を作らねばなりません。そこいら中の方に聞き込みをしたところ銀行はChaseがよろしいとの結論にたどり着きました。ここまでくれば話は早い。時間に余裕があるというOさんを拉致してChaseに突撃したのでした。
 こっちの銀行に入っていつも驚くのは従業員の少なさです。最近はインターネットバンキングが完全に主流になっているので、わざわざ窓口にくる必要が無いんですね。なので大きな銀行でも閑散とした雰囲気で、番号札を取って順番待ちをするのに慣れている日本人にはどことなく寂しい感じがします。
 という訳で出来ましたよ、銀行口座。これだって開設するのはそれなりに面倒ですが、そこはもう、臆面もなく他人に頼る事に決めた案件ですので、どうという事もなく乗り切ったのでした。ありがとうOさん。

 たかだか銀行口座を作るのに、どうしてそんなに面倒かというと、僕がソーシャル・セキュリティー・ナンバー、略してSSNを持っていないからなのです。実際、アメリカではソーシャル・セキュリティー・ナンバーという番号を持っているかどうかで随分動きやすさが変わります。変わるというより、長期間生活するなら取得してないと話になりません。銀行口座だけでなく、病院の診察やら、クレジットカードの申し込みやらと生活に直結する要所要所でSSNを求められます。制度としては日本の住基台帳の基になったもの、かな?その番号をまだ僕は持っていないのです。なのでアメリカの企業にしてみれば僕を信用する理由がないのです。となると銀行口座を作るのには僕がどこから来て、どこに今住んでいて、何をしているのか、といった事をいちいち証明しないといけないのです。このやり取りが非常に面倒。あれは僕ひとりじゃ無理でした。

 あ、あと日本では一般人はあんまり利用しない当座預金ですが、こちらではむしろ当座預金が大活躍です。アッシなんぞ当座預金口座なんて日本でも利用した事もなかったので、自分の口座のシステムを説明されてもチンプンカンプンでした。いまもチンプンカンくらいわかってないのですが、こっちは小切手が非常に良く使われるので支払用の口座として当座預金が重要なのですね。
 ま、そういう事だ(どういう事?)。

 ちなみにこの日、銀行の方に「一週間後くらいにはデビットカードが届く」と言われましたが、10月10日現在、まだ僕の手元にはデビットカードが届いていません。
|09/20| もやもやコメント(0)TB(0)
 常々申しておりますように、これはその日ごとに書いている日記ではなく、後追い日記です。なので執筆に当たってはオボロな記憶を手繰り寄せるようにして書いています。でもね、9月中は全日エントリーをすると宣言しましたらから最低限のメモを残しています。嘘書く訳にもいかないし。
 さて本日は9月19日の分を書こうとしています。どんなメモを残しているかと見てみたら・・・・・「銀行へ行ってみよう」とだけ。

 書けるか!そんなんで!

 今日の日記はもしかしたらフィクションです。

 多額の小切手を渡された片岡君、一晩ぐっすり寝て、とにもかくにもこれを何とかせねばならないとご近所の銀行に行くことにしました。一番近所の銀行はフラッグスター銀行といいます。聞いたことねぇおそるおそる窓口に行き小切手を見せて「これをどうにかしたいんだ」とモゴモゴ言いますと流石の銀行員さんもお困り顔。そりゃそうでしょう、ろくすっぽ言葉も話せない東洋人が多額の小切手を持ち込んだんですから。
 僕も以前、バイトで接客業をしてましたから分かります。怪しい奴ほ言葉が上手く喋れないくせに妙に愛想だけ良くてなぜか大きな金額の取引をしたがる。今日の片岡さんがまさにそれ。
 おやおや窓口のお姉さんが上司を呼びましたよ。何か相談してます。小切手とこちらを見比べたりしながら。どうやらこの銀行の口座を持っていない僕は、ここでは何も出来ないそうです。で、書面にBank of America と書いてあるからとにかくそっちへ行ってくれと仰いました。
 うちのご近所は大きなショッピングモールはあるんですが、代表的な銀行の支店が無い(実はあったんだけれど、この時はしらなかった)のでバスで町に出るしかありません。また多額の小切手を持ってバスにのります。そういえばこの間、フットボールの試合を見に行く時、バスの中で見知らぬおじさんに金をたかられたっけ、なんて事を思い出しながら。

 Bank of America、略してバンカメはちゃんと町に御座います。こちらでもおそるおそる入りまして、グネングネンの英語で「この小切手をどうにかしたいんだ」と伝えます。またお姉さんが困った顔をしました。そして、「あそこに椅子があるから、少し座って落ち着きたまえ。その間に君の処遇を考えるから」というような事を仰いました。待つことしばし、またしても上司の方が出てきました。しかし小切手にはBank of Americaがしっかりと印されておりますし、受取人は間違いなく僕なのです。さすがに対応が違います。こちらの幼稚園児並みの英語にもしっかり耳を傾けて、何をすればいいのかを探ってくださいます。出来る男って感じです。良い時計と、良いネクタイと、良い靴を身に着けてらっしゃいますしね。おまけにお腹も少し出てます。

 実を申しますと、ミシガン大学には日本語が話せる方が大勢います。また日本語が話せない方でも親切な方がもっと大勢います。その皆さんが「何か困った事があったら直ぐに言ってね」と親身になって下さっています。おそらく、そうした方々についてきて頂ければ、こうした手続きもオチャノコサイサイで済んでしまうのでしょう。でもあえて僕はそれをしていない。なぜならば、この旅の間はとりあえず一度やってみよう。それで駄目なら臆面もなく助けを求めようと方針を決めているからです。
 気の毒なのは僕のチャレンジに付き合わされる、罪のないアメリカの方々です。
 ごめんな。

 あ、哀れなアメリカ人、じゃない、銀行の偉い方がこっちにやってきました。
 彼の指示で、お姉さんが動いています。さすが頼りになる。

 待つことしばし。

 カウンターから出てきたのは、発行人名義がミシガン大学から僕の名前に変わった小切手なのでした。

 フリダシニモドル。(ひぐらしのく頃に的なアレ)

デサート
以前食べたデサート的なアレ

 この物語は英語が出来ない僕の被害妄想が多分に含まれたフィクションであり、実際はどちらの銀行員さんもとても良くしてくれたました。

|09/19| もやもやコメント(0)TB(0)
 図書館でDVDの貸し出しが出来ました。おめでとう俺。
 先日来、図書館と一言で言っていますが、ミシガン大学には何カ所もライブラリーが御座います。DVDを大量に所蔵しているのは私がお世話になっているScreen art & Culture の資料室で御座います。ここには大変な量のDVDとそして様々な作品のシナリオが保管されています。シナリオを積極的に収集しているのには訳があります。ミシガンはハリウッドのような映画造りの本場ではありません。そこで映画のいろはを学ぶに為に必要なものは何かと考えた結果、積極的にシナリオ等の資料を収集しようという事になったのです。だからこそ活動弁士も呼ぼうじゃないかと話がまとまるのですね。有難い事です。さらには法学科向けの図書館やら、在校生向け図書館、院生用図書館も御座います。しかも重要なのは院生用図書館であっても入館は誰でも自由に出来るという事なんですね。ミシガン大学の知は地域の誰にでも開かれている。これは大事。しかもミシガン大学の図書館は世界でも有数の所蔵量を誇る図書館です。寺山修司全集なんか平気な顔しておいてます。手塚治虫もあります。三遊亭円朝集なんてのも置いてありますし、ゆまに書房の初期映画資料集成もばっちり揃ってる。

 ここで暮らせます、僕。

 かくしてミシガン大学の図書館が自分のものになった上に、素敵な事が今日は御座いました。

 お給料が出た!

 四か月分まとめて!!

 金持ちだよ。宵越しの銭は持たねぇなんつっても、どうやったって使えませんよ(大げさ)。実はアメリカに来てから、お金はずっとMarkus先生から借りていたのです。もちろん絶対に返せるお金ですからお互いに平穏なお付き合いですが、とはいえやっぱりね、日に日に借金がかさんでいくのはどうもね。それが返せる。目出度い。目出鯛。

 と思ったのもつかの間で、小切手だよ。この大金が紙切れ一枚だよ。異国で小切手、どう扱って良いか分かんねぇよ。それに万が一無くしちゃったらと思うと不安で仕方ないよ。早いとこお金にしちゃいたいよ。
 志ん生師匠の『火焔太鼓』で「手前落としたって金を落としっこありません」という台詞がありますが、今日の私はまさにその心境です。小切手を突っ込んだ鞄を抱えるようにして家路につくのでした。

 借金返済への道は遠い。
|09/18| もやもやコメント(0)TB(0)
 あはは、みなさまこんにちは。
 どこに向かって情報を発しているのか自分でも分からなくなってきました旅日記。放置したくてした訳じゃない。でも結果放置ね。

17日目です。
授業行脚はまだ続いています。でも今日はお休み。
 そういえば日本はお休みですね。アメリカは平日です。僕が自主的にお休みなだけです。お休みといっても学校には来ていま。なにしろね図書館があーた、宝の山ですよ。ここの無声映画関係のDVDを借り倒すまでは帰国なんて出来ませんよ。品ぞろえが実に幅広くて良心的なのです。『戦艦ポチョムキン』なんてDVDで12 本、BDで3本あるんです。『国民の創生』もDVDで6本御座います。『イントレランス』も同じくらいあります。『カリガリ博士』も4本御座いますね。つまり映画を学ぶ学生が本当に必要なものは複数本入れるという姿勢なのです。これは素晴らしい。日本の大学は映像ライブラリーが弱いところが多いですから、ここは是非真似して頂きたいところです。
 無声映画だけじゃなくてね、各国の作品がかなり収蔵されています。なんと『セーラームーンR』の劇場版とか『らんま1/2』のOVAシリーズまで置いてある。川本喜八郎監督の『死者の書』もある。『死者の書』の米国版はなかなか面白い作りになっておりまして。オリジナルの音声は基本的には生かしながら、なぜか岸田今日子のナレーションだけは英語で吹き替え。どうしてそういう判断になったのか分かりません。北野武監督作品やジブリ作品も御座いましたっけ。

 ま、そういう訳で後日『セーラームーンR』とかアメリカで見ちゃったりしましたがね。
 おもしろいね、セーラームーン。

 なんで図書館の話をしたかというと、図書館が使えないんです。ミシガン大学は学内身分証としてMカードというものが発行されるんです。それが図書カードにもなれば学バス乗車券にもなる。さっそくDVDを借りようと思ったら登録されてませんと。なんだそりゃ、イジメか、俺は何しにアメリカまで来たんだ。てなご機嫌ですよ。
 色々調べて貰ったらね、そして説明してもらったらね、図書館で本やDVDを借りるにはアクティベートという作業が必要だと。それをしていない貴様にはDVDを貸す事罷りならんと。
 たったこれだけの事を聞き出す二にも四苦八苦です。なのに分かってしまえば書類にサインして窓口に持っていくだけ。それで「明日の午後には使えるわ」と言われておっ放り出されるんです。僕と貸出担当のお兄さんの苦労はなんだったのだ!こうなったら明日午後、すぐに来てやる。早速DVD借りてやる。

 そんな事を考えエヘラエヘラ歩いていたら学生さんに声をかけられました。「頭大丈夫ですか?」「Are you Benshi?」と。なんと嬉しい。和服じゃなくても僕を認識してくれたのがとても嬉しい。しかも「一緒に写真を撮ってくれますか?」と。もちろん快く応じましたよ。学生さんも嬉しいでしょう。こんな絶滅危惧種と一緒に写真を撮れるんですから。俺だって目の前をイリオモテヤマネコが歩いていたら写真撮るもんね。
 つまり僕はいまやキャンパスのプチ有名人なのですよ。
 ただね、みなさん僕に話しかけるとき「Benshi?」って言ってきます。「Ichiro?」といった具合に名前を呼んでくれません。やっぱりイリオモテヤマネコと同じ扱いですね。もっともイリオモテヤマネコなら大金払ってでも手に入れたい人が世の中にはいるでしょうが、Benshiは飼ってくれる人が居ません。

 負けてんじゃん。

ステイトシアター
こちらはAnn Arborにあるもうひとつの古い劇場のステイトシアター。


|09/17| もやもやコメント(0)TB(0)
 16日目の日記は軽めです。でないとリアル時間に追いつかない。
 いちおう追いつこうという気持ちはあるんです。行動が伴わないだけで。
 現実時間、現在25日深夜。

 そもそも当初から日記をやると決めていたのに、なぜこんなに離されてしまったのか?
 それには訳があります。最大の理由は私のズボラなのですが、第二の理由もそれなりに大きいのです。つまり我が家にはインターネットが来ていない!日本からアメリカに来て、ワールドワイドウェブにアクセス出来ない。日常がワールドワイドじゃなくなっちゃった。そういう事です。

 と・こ・ろ・が、ついに来ました。
 我が家にインタァネッツが。
 業者の方が我が家に来て工事をして下さるという。
 初めて我が家にお客様がいらっしゃる。
 どんな格好でお出迎えしようかしら?
 我が家は日本スタイルだから、幼児並みの英語力で「玄関で靴を脱いでくだちゃい」って言わなきゃ。
 それから業者さんにはチップをお渡ししなきゃ。幾らがいいかしら?アメリカ生活ガイドブックには料金の10%程度と書いてあるから、3ドルくらいかしら?
 お茶とかお出しした方が良いかしら?

 とかなんとか色々考えてお待ち申し上げていた訳ですよ。

 ちなみに我が家には電気式の呼び鈴はありません。あるのはドアについてるノックだけ。
 あれ、結構響くのね。その事を知ったのも今日が初めて。

 業者さんがいらしった。「靴を脱ぎたまえ」と毅然と言わねばと思ったその瞬間。彼は何も言わずに自分の靴にビニールカバーを付けて入ってきました……。
 そりゃそうよね、いろんな方のお宅に行くんですものね、そのくらいの準備はしてますよね。

 工事は大きな問題もなく終了。接続チェックをしようとしたその刹那、工事のおじさんが仰るではないですか!
「君はローラーコースターが好きかい?」
 僕は答えます。
「嫌いじゃありません」
 おじさんが僕のパソコンを操作します。このページが表示されました。

Michigan Adventure 

 接続チェック完了……。
 みんな、ローラーコースターが好きならミシガンアドベンチャーに行くといいよ。
 だけど11月以降は寒すぎて閉館しちゃうから、時期には注意らしいぜ。

 アメリカに不慣れなニッポンジンにおすすめスポットを紹介して、若干やり遂げ顔をしながらお帰りになろうとするインターネット接続作業の方。今ですよ、この国に来て初めてのチップを支払う時ですよ。

「No!」

 チップは貰わない方針の会社のようです……。
 
 そんなフレンドリーな作業員さんも魅力のComcast。アメリカでインターネットなら、ここにお任せだ。
|09/16| もやもやコメント(0)TB(0)
 歓喜の夜が明けました。
 こう書くと、官能小説みたいだ。しかし昨夜は楽しかった。公演が終わった後、軽く打ち上げに行ったんですがね、日本文化研究の先生がいらしていて、弁士のストライキの事についてまあお詳しい。須田貞明も徳川夢声も解説なしで話せるのよ。こんな話ができる人、日本人にだって居ませんですよ。アメリカで弁士にいてオタトーク。。。。嗚呼、幸せ。
弁士研究は確実に海外で進んでますね。本当に日本の研究者は頑張らないといけませんよ。

 さて、そんなこんなで夜が明けまして、今日はがっつり遊ぶ日です。
 アメリカの方は休む時は本当にしっかり休みますね。オンとオフの切り替えは見習うべきところが大きいです。
 遊ぶといって、なにをするかと申しますと、日本ではついぞやったことのない遊びをします。それはスポォツ観戦。そういうのホント縁がなかったからね。でも折角じゃないですか。
 ここAnn Arborには全米最大のフットボール競技場があります。それがMichigan Stadiumです。あーた、デカいのなんのってね、もうびっくりですよ。収容人数は約11万人。スタジアムがあるAnn Arborの人口も約11万人。市民丸ごとお抱え出来ちゃう驚異の広さ。それがMichigan Stadium!
 事の起こりは数日前、Markus先生に誘われたんですね「今度、フットボールの試合に行きませんか?」と。ならば「行きます」と。そしたら「いい席が取れました」と。
 素直な僕は思ったんですよ。11万人も入るスタジアムで、数日前にチケット取って良い席が取れるってことは、さては空いてるな、なんて。だっていつも自分の会の宣伝ばっかりしてりゃ、そういう発想になりますよ。

 で、当日。

人人人

ひとひとひと


 10万人以上来ました。
 あのね、凄いの。U-Mがホームで試合をする日は朝からこんな演出が、ずっとだしね。

MはミシガンのM

 それからウチの近所で歩いてる人の3人に1人はミシガンTシャツか、ミシガンパーカーか、ミシガントレーナー来てるのよ。さらに大学の周りになると10人に9人が(以下略)。

 スタジアムに行く道なんかこんなだしね。

嗚~呼、人の流れのよぉ~に

 M-Uのホームゲームの日になるとバスが路線を変えるのですよ。

自力で訳したまえ

 もうお祭り騒ぎなんですよ。

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 アメリカ映画でサエない主人公の恋敵がフットボールのキャプテンてシチュエーションてよくあるじゃないですか。あれ、分かりますよ。これだけ人が集まる競技のキャプテンだもの、モテるよ。サエない主人公は馬鹿にされるよ。凄く納得しましたね。それから我々はアメフトと呼びますが、アメリカの方はアメリカンフットボールとはあまり言わない気がします。単にフットボールと言うような印象が御座います。まあモンゴル相撲とは言うけど、日本相撲とは言わないからねぇ。

 試合はミシガンチームの快勝。スター選手についてや、定番の演出についてなどの解説をして頂いて、実に楽しい観戦で御座いました。日焼けは結構しましたですが。アメリカに行った際はフットボール観戦も楽しいものですよ。本場のドラムラインも見られましたし。

『ドラムライン』て映画、見たいのに見てない。

|09/15| もやもやコメント(0)TB(0)
 ついにやってきました。
 この旅の第一の山場です。二週間目にして山場です。ここで転べば落ちてくばかりです。
 それくらい大事な日ですね。

 そう、Michigan Theaterでの公演ですよ。演目はしかも演目は3本立ての豪華版。
 まずは劇場の光景を見て頂きましょう。

豪華

絢爛

歴史ある

お手洗い前

Ozuの魔法使い(定番ネタ)


 Michigan Theaterは1928年に建設された劇場です。つまり無声映画時代ね。その後の改装で一度は原型を失ってしまったのです。さらに今から30年ばかり前、とうとう劇場をブッ壊してしまおうと計画が立ったそうなのですが、ここには大変な財産があったのです。それがTheater pipe organです。無声映画時代は日本では弁士がいましたが、海外では音楽だけが一般的なスタイルでした。という事は音楽が発達する構造になっておりまして、その結晶のひとつが、このオルガンなのです。

 劇場を壊すとなれば劇場機構の一部であるオルガンも壊さねばなりません。こりゃイカン、てんで保存運動が始まり、さらに劇場の存続運動につながり、最終的には州が管理する事になったのです。しかもそこで終わらないのがアメリカ!なんと内装を建設当時に戻しちまえ、と。却って良かったんじゃないか、みたいな展開になったのです。

 というわけで、この劇場のオルガンは未だに現役です。

生涯現役

 そしてここに、弁士が来ている。

 つまり・・・・このオルガンとの共演が出来る!
 これは胸熱ですよ。感激ですよ。アメリカ万歳と叫びたくもなりますよ。

 そんな胸躍る気持ちで劇場に着いてみたら、これだ!

これだ

 これだ

これだ2

 これだ

これもだ

 引くとこれだ

これもだだだだ


 感激ですね。これはシドニーオペラハウスに私の写真入りのポスターが貼られていた時と同様の感激。ここまで来て良かったとしみじみ思いました。この写真ね、自慢ですよ。これを自慢しない奴がいたら会ってみたいもんだ。
 さてさて改めて本日の演目紹介。

『デブのコック(Cook)』(1918年・米)
監督/ロスコー・アーバックル
主演/ロスコー・アーバックル、バスター・キートン
説明/片岡一郎、シアターオルガン/Stephen Warner
『群立病院(County Hospital)』 (1932年・米)
監督/ジェームス・パロット
主演/スタン・ローレル、オリバー・ハディ
説明/片岡一郎
『大人の見る絵本 生れてはみたけれど(I was born, But….)』(1932年・松竹蒲田)
監督/小津安二郎
主演/斉藤達雄、菅原秀雄、突貫小僧
説明/Markus Nornes・片岡一郎、音楽/Little Bang Theory

 開始時間は19時ですが、そこはMichigan timeですから問題なく19時10分で御座います。まずはMarkus先生がこのSilent Ozuというフィルムシリーズの概要と謝辞、それから簡単に弁士とはいかなるものかという解説をして下すった後に私を呼び込んでくれます。
 と、ここでひとつのミッションが。Markus先生から「英訳はしてあげるから、前説を英語でやりましょう」と。ええ、やりましたよ。小学生の朗読だってもうちょっとマシだろうという見るも無残な前説を。ここでお客様方は大いに不安になったに違いありません。
「おいおい、弁士ってのは喋るのが商売なんじゃないかい?大丈夫かい?」てな具合に。

 大丈夫じゃないんですがね、私の場合、いつも。

 ともあれ上映が始まっちまえばこっちのもんです。多少間違えたって分かりっこない、とかなんとか不純な事を考えていたからでしょう。芸の神様はいるんですね。ちゃんと罰をお与えになる。事件は一本目の『デブのコック』で起きました。
 『デブのコック』は主演がFattyことロスコー・アーバックルとバスター・キートン。さらに敵役にはアル・セント・ジョンが出ている、なかなかアジな作品です。私は本作の復元版マスターDVDを持っていましたので日本で説明台本を書きあげて来たのです。またYouTubeにも同じバージョンがアップされていたので、これで問題なかろうと思っていたのです。ここまで話せば聡明なる読者諸君はお分かりでしょう。

 フィルムのバージョンが違いました!

 字幕の出る位置も内容も全然違う。訳してる時間はないから適当。当然、自分の台本なんか見ている暇はない。結果アドリブ。冷汗三斗ですよ。
でもStephen Warnerさんの演奏は本当に素晴らしくて至福のひと時で御座いました。
 Theater pipe organというのは文字通り劇場の為のパイプオルガンで、無声映画上映用に設置されていますから、ただの鍵盤だけじゃなくて効果音を出すための鍵が沢山付いてるのね。しかも楽器が劇場と一体化してるもんだから音が壁から溢れてくる、溢れてくる。これは凄いですよ。リハーサルというか、ならし演奏の時にずっと聞かせて頂いたのですが、劇場自体が楽器みたいなのさ。
 バージョン違いで作品を語る、そんな波乱の幕開けでした。今回の渡米は荒れるぜ。

 二本目は『群立病院』。ローレル&ハーディのトーキー作品です。
 今年のミシガン大学のテーマは「翻訳」です。そこで映画の翻訳装置として弁士が呼ばれたのですが、日本映画史にはトーキー初期に外国のトーキー作品を弁士が語っていた歴史があります。歴史におけるほんの徒花ですが、これは翻訳的観点からみると非常に面白いからやってくれとの依頼です。アメリカまで来て気が大きくなってますから、いかなる相手の挑戦も受ける、なんて猪木みたいな了見になりまして『群立病院』の中から5分間だけトーキーの音声を流しつつ説明をさせて頂いたのです。
 この上映方法は無声映画鑑賞会でも何年かに一度やりますが、正直面白いと思った事がない。労多くして実り少なしの典型だと思っています。無声映画鑑賞会での作品は『嘆きの天使』一本やりで、あんな大作をこの形式で上映してもダレるよな、そりゃという感じです。そもそもトーキーを弁士が喋って面白いなら弁士は廃業せずに済んだんです。それだけの事なんです。
 でも5分間だけやるなら面白いね、この形式も。病院の先生がとても気持ち悪いキャラで、彼を演じるのが最高に楽しかった。
 『群立病院』トーキーなので音楽はなし。

 そして本日最後の作品が日本映画史上どころか世界映画史上の名作『大人の見る絵本 生れてはみたけれど』です。こちらの音楽はLittle Bang Theoryの皆さん。彼らが主に演奏する楽器は玩具楽器。楽器屋さんで売っているような高い楽器はあんまりなくて(なのに三線は持ってた)、おもちゃ屋さんに売っているような音のでる玩具が中心なのです。
 実は当初、少し心配していたのです。というのは玩具楽器は本作の前半のコミカルな部分を表現するには良いかもしれないけど、後半の泣き笑いの部分をどうするのかと。そこまでコミカルになったら困っちゃうなと。
 予想は裏切られました。むしろ後半の方が良かったかもしれません。玩具楽器のある種単純な音が絶妙に親子の悲哀を表現していて、たまりませんでしたね。
 画像はリハ風景です。彼らの音はここで視聴できます。

Little Bnag Theory(大人)


 それからね、この公演では最初の10分間、弁士は私ではなくMarkus先生がされました。小津映画が英語で喋っているのは実に不思議で面白い光景でしたね。先生も上手いしさ。俺が出なくても良いんじゃないかと思ったりね。
 これは卑屈で言ってるんじゃないんです。今回も前説で言いましたが、弁士を面白いと思ったら、海外の方々にもどんどん弁士をやって頂きたい。私のへたくそ英語でしたから伝わったかどうか分かりませんが、ともかくアマチュアが増えるのは実に良い事です。アマチュアなくして芸能は成り立ちません。
  
 名作を、こんなに歴史のある場所で語れた。
 弁士冥利に尽きます。
 こういう仕事が続けば幸せなのにね。

 あ、今日の楽屋で頂いたお食事はSushiでした。写真撮るのは忘れました。
 海外の寿司は不味いって言うでしょ。あれね、半分本当で半分嘘。海外で暮らして日本食が恋しくなって思わず飛びついた寿司がマンゴーソースみたいなのかかってるSushiじゃ、確かに不味いと感じても不思議じゃありません。でもね、冷静になってみるとコンビニで売ってる寿司や、安―い回転寿司って不味くないですか?海外の寿司もね、割とあのレベルですよ。

 海外の寿司は大して美味くないが、日本にも同等の寿司は溢れている。

 これ今日の格言な。

 あとね、シアターオルガンのStephen Warnerさん、弁士と共演だって聞いてなかったそうです。軽く前座くらいのつもりでいたそうです。それが映画が始まったら弁士が喋り始めたので、ものっそいビックリしたと仰ってました。

 それを聞いて、俺もビックリした。
|09/14| 活弁コメント(0)TB(0)
 ひー大変だ。なにが大変てあなた、現実の時間と日記の時間がかなり離れてしまいました。一度は4日差までおいつめたのに10日差に引き離されてしまったよ。
 別に義務じゃないから良いんだけどね。でもね、一応ね、せめて1か月くらいは頑張りたいじゃないですか。だから30日目までは全日程書きますよ、その後はその後で考えますよ。だからせめて時間差を埋めたいよね。

 で、もうひとつ大変なのは13日目という事は9月13日なのですよ。そしてミシガンシアターでの公演が14日なのですよ。さすがに気合が入るというか、緊張するというかね。こっちでも皆さんに聞かれます「緊張しないんですか?」って。

 緊張するに決まっておろうが!

 パフォーマーは二通りに分かれますね。何の緊張もしないタイプと、本番前に落ち着かなくなるタイプと。
 アタシは典型的な後者です。もう逃げ出したくて仕方ないのです。

 心を落ち着けるために、朝の景色なんぞを写真に撮っちゃいましたよ。

朝の内匠頭

 ミシガンは空が広いなあ。
 夜はね、星がきれいですよ。
 でも、もう寒くなってきました。ぼくは連日長袖着用です。Twitterで「今日は暑い」とかつぶやいてる日本在住人を見るとぶっとばしてやりたく羨ましくなります。

 あ、それからとても素晴らしいメールが届いてました。
 件名が「Your payment from U of M
 U of MっていうのはUniversity if Michiganの事ですね。そしてpaymenというのは……、そうお給金が出るのです!
 これまでは生活用品購入費から食費に至るまでMarkus先生にお借りしていたのですが、お給料が支給されたらこっちのもんです。あれもこれも買えちゃいます。こんなに嬉しいのは小学校の時に、月決めのお小遣いを貰えた時以来でしょうか。小さいな、俺。

 とはいえね、すぐに貰える訳じゃないんですよ。お金を頂くにも色々書類が必要なのね。税金の処理やなんかあるらしくてね。こっちに来るのにも書類々々でしたが、こっちにきてからも書類々々ですよ。しかも書類向いてないんですよ、僕。Visa申請のスケジュール瀬戸際進行なんて、よく間に合ったと思いますもん。大使館に行ってVisaを一時却下されて、正式にVisaが発行されたのなんて出発4日前だもんね。
 自分の不手際はともかく、アメリカは書類が多いです。訴訟社会だという事も理由の一つでしょう。
 私がお世話になっているのはミシガン大学のScreen Arts & Culture という部門なのですが、そこで事務系の統括をしているMさんという女性が「私はドイツの出身で、ドイツほどお役所主義な所はないと思っていたけれど、アメリカはそれ以上」とこぼす程に書類が多いです。自由の国の興味深い側面ですね。

 とまあ、偉そうな事を言ってますが、こっちに来てから書類の処理はほぼMarkus先生がやってくれています。僕は本人という事で、立ち会う必要がありますが、基本的には先生の隣でアホみたいに口をあけて、鼻水垂らしながら座っているだけなのです。この日もそうでした。済みません。
|09/13| もやもやコメント(0)TB(0)
 まだまだ教室行脚は続きます。
 本日の一発目はMarkus先生の講義にお供いたしました。
 この間もちょっと解説させて頂きましたが、ミシガン大学における今季のテーマの一つが翻訳でありまして、Markus先生は日本映画研究の第一人者ですから、翻訳の重要性をこんなに分かっている人も少ないんじゃないかという立場な訳ですね。実際、先生の日本語は素晴らしいのですが、その先生をして東映やくざ映画等は完全に理解するのが難しいそうなのです。でも『緋牡丹博徒』が大好きだというのだから恐れ入るじゃありませんか。

 そういうような訳で、僕も映画の精神の翻訳者(大げさ)として精一杯勤めさせていただきました。それなりに反応は良かったんではないかしら。

 そしてこのところ『喧嘩安兵衛』ばかり演っていましたが、夜はAnimation Class、つまりアニメの授業ですので演目を変えまして『太郎さんの汽車』さらに担当のMark先生のリクエストでフィリックスの『Futuritzy』(1928)も説明したのです。年代から分かるようにサイレントとトーキーの過渡期の作品で音楽はバッチリはいってますし、音声も猫の鳴き声などが使用されています。実に楽しい作品でして、こういうのを1週間前に「やってくれない?」みたいに頼まれちゃあ嫌とは言えませんやね。

 それはそうとMark先生は僕のオフィスの相部屋の方なのですが、何というか実にユニークな人でして、一緒にいればいるほど面白い方です。どんなオモシロなのかはおいおい紹介しようと思いますが、一言でいうと「濃い」方です。あと、時々パンをくれます。Mark先生は良い人です。

 今日は写真がないので『Futuritzy』のYouTubeへリンクを貼っておきましょう。
 『太郎さんの汽車』よりこっちの方がウケた気がする。
|09/12| 活弁コメント(0)TB(0)
 だんだんと運命の14日が近づいてまいりましたよ。
 なんて白々しく書いてますが、これを書いているのは15日夜。

 良いんです。そういうもんです。
 そもそもわざわざ言う事でもないですね、はい。

 本日、まずお目にかけたいのは、これ!

私は~元気~


 びっくりしましたね、アタシャ。「お、Sushi restaurantがある」なんて思って正面に回ってみたらこれだもの。中の看板なんてカタカナで書いてありましたよ。何でもこのお店は韓国の方がやってるんだそうです。まさに「隣の」ですね。
 Ann Arborには何軒かSushi屋さんがありますが、大体は韓国の方やっているんだそう。オーストラリアは中国の方が経営されているお店が多いと以前聞きました。どうして日本人が店出さないんですかね?日本人だと却ってうまくいかないのかしら?そういえばAnn Arborに最近まで、そこそこ美味しいJapanese restaurantがあったんだそうですが、ここは注文取ってから平気で30分くらい待たせるお店だったそうで、私が来たときには無くなっていました。味とサービスと値段をすべて納得いくような寿司屋を海外でやるのは、日本人にはむしろハードルが高いのかもしれませんな。

 こういう事を書くと、一部の人は「だから韓国は」みたいな感想を持たれるかもしれませんが、アタシにそういう意図は御座いませんよ。そういうの嫌い。

 本日は大学の講義で2回公演をさせて頂きました。
 1回目がSAC236 Intro to film。これまでいいとこ100人くらいの教室でやってきたんですが、今日はいきなり400人くらいはいる教室でやりました。でも声がちゃんと響く構造になっているのでマイクなしでもいけちゃうのね。これが13時10分から。
 2回目がFascism Screening。こちらは20時10分から。間が長い……。それからこんな時間の授業だと優秀なミシガン大学の生徒さんもさすがにお疲れ気味。でも頑張ってウケましたよ。そしたら先生が「このあとリーフェンシュタールの映画を上映するけど、弁士やってく?」みたいな事言いやがんの。勘弁しておくれよ。そんな先生と弁士の会話にちゃんと笑う生徒さん。やっぱり優秀だ。
 ここんとこ和服で学校の中をウロウロしながらあちらこちらの授業に突入しているせいでしょうか、ついに授業の始まる前に生徒さんがぼそぼそと「Benshi…」とか話しておりました。ただの「弁士」じゃないのよ、ちょっと語尾上がりの発音で「Benshiィ」です。
 いま俺、ミシガン大学でプチ有名人だぜ。

 この日はお疲れだったのでMarkus先生に73年前からあるお店のアイスクリームを食べに連れて行って貰いました。このお店は元が牛乳屋さんだったそうで、今でもアイスは手作りなんだそうです。ここのアイスが美味い、そしてデカい。Kidsサイズで俺の拳くらいアイスがある。どこのKidsだ、その子供は。
 そんな素敵なアイスクリーム屋さんの名前は忘れました。食べるのに夢中で写真撮るのも忘れました。ただ店の外に置いてあるドラム缶が牛の白黒模様に塗ってあったのを覚えています。なので画像はまた今度。

 夜にアイス食うと太るよね。
|09/11| もやもやコメント(0)TB(0)
 10日目です。もう10日も経ってしまいました。滞在は半年間。という事はあと17回この10日を繰り返すだけで帰国です。

 あっという間ぢゃん。短いぢゃん。

 本日はMicah先生のJapanese Civilization Classにお邪魔して『喧嘩安兵衛』を説明してきました。そこそこウケましたよ。それよりもねMicah先生についてお話ししたいんですよ。この先生、日本語が実に堪能でいらっしゃいまして研究室にも仏教関連の本や岩波文庫の青帯がごっそり並んでいるんですね。どのくらい日本語が堪能化と申しますと、先生は日本語で「私は至らない人間ですから」と仰いました。

 どうだ、お前ら言えるか?俺は出てこない、こんなに謙虚な日本語。俺がどれだけ雑な日本語を使うかは、このブログを読んでるなら知ってるな?

 ちょべりばー。

 いや、これとかKYとか女子高生の言語センスは素晴らしいと思いますがね。

 それからさ、今日初めて学校の中で小津特集の告知用パンフレットを見たの。ポスターはあちこちで見てましたが、パンフレットは初めて。ちゃんと What is a benshi?って項目もある。そしてこれから3カ月間、俺がミシガンで説明する作品がリストアップされている。

パン●

開いちゃった

裏返しちゃった


9月14日 『生れてはみたけれど』
9月21日 『出来ごころ』
9月28日 『東京の宿』
10月5日 『淑女と髭』
10月12日『落第はしたけれど』
10月19日『突貫小僧』&チャップリンの『キッド』
10月26日『東京の合唱』
11月2日 『非常線の女』
11月9日 『浮草物語』

 週に一本づつこなしていきます。荒行です。武者修行です。
 Johannes先生に「これは以前にやったことがある作品かい?」と訊かれたので「半分はやってないです」とお答えしたら「じゃあミシガンがワールドプレミアだね」と言って下さいました。俺、アメリカのこういうセンス、好き。日本も学べ。文化を大事にしろ。歴史に自信をもて。弁士を丁重に扱え。

 あ、それとアメリカではBenshiかKatsudo-benshiとしか呼ばれません。Katsubenshiとは誰も言いません。それだけで気分がよろしい。
 本音を言えば、活弁士という言葉にも寛容でありたいのですよ、でもね、私は至らない人間ですから。
|09/10| もやもやコメント(0)TB(0)
猫背弁士
 9日目にしてすでに日記の書き出しのネタが尽きてきましたよ、こんにちは。
 今日は日曜日なので日記も書かなくて良いかな(※書いてるのは水曜夜)。

 それもあんまりダラシないですね。もう少し頑張ってみましょう。

 それに今日は良い日だったんですわ。14日のMichigan Theaterのリハをやったのですよ。いよいよ本格始動ですよ。
 まずは告知画像をご覧いただきましょう!

Ozu in Michigan


 どうです?スペシャルオープニングイベントですよ。
 もうね、感激です。無声映画時代からある劇場で『生れてはみたけれど』を演れるんだぜ?しかも生演奏で。考えてみたら俺って『生れてはみたけれど』を生演奏でしか演った事がない気がする。初演がクロアチア・ザグレブのコンテンポラリーアートミュージアムのこけら落としで、ピアノ生演奏。次いで神保町シアターでの上映で柳下美恵さんのピアノ生演奏。今度はLittle Bang Theoryの生演奏。俺は素敵な作品を素敵な環境で演らせて頂く点においては、これ以上ない幸運の持ち主ですね。

 14日は告知では2作品ですが、実は3作品演ります。
 実はミシガン大学における今季の大きなテーマが「翻訳」なのです。それで世界でも類まれなる翻訳装置の役割を果たした活動写真弁士に招聘の声がかかった、なんて背景があるのです。ならば弁士の翻訳装置としての様々な側面をお目にかけなければなりませんので、急遽トーキー最初期の弁士のやり方も実演する事になりました。演目はローレル&ハーディの『County Hospital』です。
 つまり14日は①ファッティ&キートンの『Cook』、②ローレル&ハーディの『Country Hospital』、③『生れてはみたけれど(I was born, But….)』の三本立てなのです。これによって①では無声映画期の翻訳装置としての弁士、②トーキーを強制的に日本語化していた時期の弁士、③日本映画を日本語で語り、アメリカに紹介する現代の翻訳装置としての弁士の3つの機能が一晩で検証できてしまうのです。しかも『生れてはみたけれど』の冒頭10分は私でなくMarkus先生が小津作品を英語で説明するという豪華っぷり。加えての生演奏ですよ。『Cook』はStephen Warner氏による無声映画上映用オルガンの音で!『生れたてはみたけれど』はLittle Bang Theoryの楽団生演奏です。
 写真は見てお分かりの通りLittle Bang Theoryとのリハ風景です。リハ会場は某M先生のお宅。自宅でリハが出来るなんて……。

猫背弁士


 にしても俺、相変わらず凄い猫背だな。
 
 Little Bang Theoryの特徴は写真でもちらっと見えますが、おもちゃの楽器を多用している所にあります。といって童謡チックな音かと思いきや、これが時に可愛く、時に悲しく、とっても良いの。14日はMichigan Theaterで新しい『生れてはみたけれど』が誕生しそうな気配がしています。誰か日本に呼んでくれないか。

 あとね海外のミュージシャンと共演するのは何が楽しいかというと、日本語が全く分からないミュージシャンと、楽譜はほぼ読めない私が言語と音楽でセッション出来るところなのね。僕は音楽を聴いて言葉を変える。彼らは僕の言葉を聴いて音楽を変える。幸せな時間です。ミュージシャンの人たちは、この楽しさがもっと強いんでしょうね。お互い会話ができない同士が楽器で繋がる瞬間の快感というのはきっとあるんでしょう。

 言葉が通じないからこそ、パフォーマンスでシンクロ出来た喜びは大きいのです。
 もちろん日本人の音楽家の方々とご一緒するのも楽しいですよ。それは前提としてね。

 いずれにせよ14日が楽しみで仕方なくなってきました。
 今から日本を出てもギリ間に合うぜ。日本時間で14日に出ても間に合うぜ。
|09/09| 活弁コメント(0)TB(0)
 大分、生活も落ち着いてきました。
 目下の不安と言えば、現時点で現金支給がない事でしょうか。何かにつけてMarkus先生が立て替えてくれています。私は世界中どこにいってもお金持ちには成れない性質の人間なのでしょう。飢えぬ程度に食えれば良いや、と思わないでもありませんが、さりとてお金持ちになりたい欲求のない芸人なんざツマらないですしね。
 
 芸人で一番良くないのは己の貧しさに酔う事です。
 余談でした。

 本日はなにしろ土曜日です。金曜の夜にスーパーに買い物に行ったり、外食をしたりすると「Have a nice weekend!」って何度も言われます。そんなに週末が好きかってくらい言われます。こっちもだんだん「ヨーシ、明日は遊ぶぞォ」って気になります。少なくとも週末に職場に行く気にはならなくなります。
 そうするとバスに乗って探検でもしようかって気になります。

 Ann Arborのバスは均一料金なのも素敵です。どこまで乗っても、乗りかえしても1ドル50セント。ミシガン大学の生徒や教員や職員は身分証明書としてMカードというものを渡されまます。当然、僕も持ってます。これをバスに乗るときに提示すれば、なんとバスがタダ!ただし黄色いMカードです。青いMカードはお金を払わねばならんらしいのです。

 お分かりですね?僕のMカードは青……。
 バスに乗ってると必ずミシガン大学性が乗り込んできます。みんな黄色いカードを読み取り機でピッてさせて悠々と席に着きます。僕は青いカードを握りしめ、下唇をギリリと噛むのです。

 良いんだ、1,5ドルだから。学生はお金を払ってミシガン大学にいるけど、俺はお金を貰ってミシガン大学にいるから良いんだ。でも悔しいから肉を食いたくなりますね。という理由でマクドナルドに入りました。

たぶんもう帰国まで食わない


 日本と同じ味だよハンバーグラー。
 そういえば最近、あのセサミストリートの親戚みたいな目のイッた個性的なマクドナルドのキャラクターって見かけなくなりましたね。

 バスの旅は楽しいのですが、この辺りは土日は終バスがやたら早いです。午後6時には運行終了なのです。あとは歩け、と。車を持っていない貧乏人は歩け、と。貧乏人は麦を食え、と。

 実際、アメリカに来てからとてもよく歩きます。
 そんな週末でした。

 Have a nice weekend!
|09/08| もやもやコメント(0)TB(0)
 昨日はようやく米国デビューが出来たのでした。
 考えてみればここ最近10日以上喋ってない事はなかったので、さすがにウズいていた所でした。それに弁士ならどうどうと日本語を喋る事が出来るのです。これは有難い。小難しく考える前に、単純に大きな声を出すとスッキリしますしね。
 いや、別にストレス解消の為に弁士やってるんじゃないですよ。念のため。
 それにね、芸人ですからね、一応『喧嘩安兵衛』に英語を入れ込んでみましたよ。ちゃんとウケますよ。
 そんなこんなでやっと心の平静を得たところで、今日もお休みです。良いのかそれで。
 
 なので行ってきましたよMeijerに。先達て紹介したなんでもある大型ショッピングセンターですね。前回は車で連れてきて貰いましたが、今回は記憶を頼りにアメリカンな道を歩いて向かいます。片道は約30~40分でしょうか。まあ歩ける距離だとお思いでしょう?

 だが油断してはイケナイ!

 Meijerはとにかく広いのです。品物を物色している間も歩き続けていますから、気づくと歩数が片道分増えていたりなんかする。身体は往復分あるいたつもりなのに、実際にはまだ店にいる。衝撃です。しかもなんでトマトジュースをボトルで買ってるんだ、俺。車じゃねぇっつうの。

 アメリカの品物は何でも大きいですから、皆さんお買い物は計画的にね☆
 主に体力面。

 写真はMeijerに行くまでのアメリカ的な道。

♪カントリーロード このみ~ち


|09/07| もやもやコメント(0)TB(0)
 ついにやってきました。
 デビューの日です。米国デビューです。もっというなら全米デビューです。

 当初はね、14日のMichigan Theaterがデビューの予定でした。しかし、その前にやっちゃおうということになりました。なぜやっちゃうかというと、14日以降のプロモーションですね。これから毎週金曜日にAnn Arborにおいて小津作品を説明するという荒行がまっていますが、まだこの特集をしらない人が多い。ならば興味を持ちそうな生徒さんがいる授業に押しかけて、お邪魔させて頂いて短編を上映、宣伝しちゃおうじゃないかという次第です。
 結果、僕の9月のスケジュールは割とお忙しい事になったのです。ちなみに演目は日本でさんざん演った『喧嘩安兵衛』です。7分の時代劇はこういう活動にはうってつけですね。アリガタヤ。

 どんなスケジュールかを書いてみましょう。別段忙しい自慢がしたいんじゃなくて、ちょっと整理したいのね。

Thu Sep 6 11:30am Film Adaptation Class
Mon Sep 10 10:10am Japanese Civilization Class
Thu Sep 11 1:10pm SAC 236 Intro to film
8:10pm Fascism Screening
Wed Sep 12 4:10pm Animation Class
Thu Sep 13 10:10am Intensive Japanese I Class
Tue Sep 18 4:10pm Film History Class

 まだ増える気配です。
 この文章を書いているのは9月11日です。今のところおおむね好評です。まあ珍しいからねぇ……。さっきはとうとう英語で前説もカマしましたよ。30秒くらいだけど。でも良いのウケたから。アメリカ人は笑いの沸点が低いから好き。もしミシガン界隈にいる方、お待ちしていますわ。

 とにかく9月6日、アタシャ米国で弁士をやりましたよ。嬉しかった。
 そしてなんと、夜にはラジオに出演しちゃったのさ。
 Markus先生がね「僕は通訳はしないよ、サポートはするけど。だから頑張れ」と(笑)。どんな虎の穴か!

和服 de  れいでぃお


 最終的には英語にならない英語をヘドモド喋って、大体はMarkus先生は話してくれたんですがね。いや、ハードルが高すぎですわラジオは。でも楽しかったけどね。にしても不思議なラジオ局でした。日本でいうところの地域FMになるんですが、実に自由なんです。コンセプトは、ほかのラジオ局では流さない音楽を積極的に流す、事にあるんだそうで、僕らが出る前にも赤ん坊の泣き声がずっと流れている音楽が放送されていました。その次の番組で弁士が喋るんだから、こりゃカオスです。なにより放送ブースがドア開けっ放し。放送中に廊下の話し声が聞こえてくる。
 ラジオチューナーでは一番左のチャンネルです。それだからかどうか知りませんが、左寄りの思想が強いラジオ局だそうです。FM833は最左翼ラジオなのだ、というわけ。

開け放たれた扉(放送中)


 ちょっぴり驚きましたですね。

 この写真はMarkus先生のご子息が放送中に撮ってくれました。自由なラジオだ……。
|09/06| 活弁コメント(0)TB(0)
 みなさんこんにちは。ホームシックと無縁の男、片岡一郎さんです。
 思うにホームシックの原因は言語と食事の壁ではないでしょうか。

 私は過去にクロアチア2回、ドイツ2回、オーストラリアツアー1回やってますでしょ(自慢ね)。なので言語は大丈夫なの。大丈夫ってのは英語がペラペラってんじゃなくて、話せないなりに何とかなる、という事を学んだの。

 それじゃそろそろ駄目なんだけどね。でも、少なくともゲストなら何とかなる。

 食事は、僕って雑食系男子だから基本的にどこでも行けちゃうのさ。どの国の食事も基本的に美味しく頂いています。今回のアメリカもしかりです。

 以上の理由からホームシックになる理由がない。ついで先日の「プロフィールの事」で心情を吐露している状況からもお分かり頂けるかと思いますが、日本から距離を置きたい気持ちも御座います。なので毎日、楽しいです。文句ないですね。ガイダンス以外。

 そんな極楽トンボの僕が、アメリカに来て初の完全オフ日です。生活も5日目となると、だんだん必要なものが分かってきますから、ここは更なる買い出しをせねばなりません。
 なので乗りましたよ、アメリカ初バスです。料金の払い方とか分かりません。降り方も分かりません。でも乗れば何とかなるだとろうと見切り発車でのりこみました。見事に反対方向のバスに乗りましたね、ええ。

 不安になりますね。バスに乗っていると、見たことのない田園風景が広がりだすんだから。このまま広野に置き去りになるんじゃないかと危惧しますね。大草原の小さな家を探しますね。

 まあ何とかなったからブログなんぞを更新しているのですが。
 ちなみにミシガンのバスは遅れてきます。平均10分は遅れます。そういうものらしいです。

 それからMichigan timeという言葉が御座いまして、Michigan大学では基本的に10分遅れで物事が進むそうです。分かってるなら直せよ、と田舎者の僕は思ったりもしますが、考えてみると僕も日本でMichigan timeをすでに実践しているので、そこにはあまり言及しないのが得策だと気づきました。

 世界全体がMichigan timeでありますように。

 今日の写真はアメリカな肉。大きさの比較には皿の右上にある僕らにとって普通サイズのコップをご利用ください。
にくみきれないアナタ
|09/05| もやもやコメント(0)TB(0)
 旅じゃないじゃん、と早くも評判のアメリカ旅日記4日目です。
 旅かどうかは別の問題として、どんどん現実において行かれています。どうやったら実時間に追いつけるか、そのことばかりを考えて暮らしています。嘘だけどな。

 そういえば昔、顔のある林檎がなにかというと「嘘だけどな」っていう漫画がありまして、ちょっと好きでした。たしか『極楽りんご』とかいうタイトルだったと思います。

 とにかくですね、現実に追いつくためには、一日あたりの記述を減らすしかないのですよ。なんで一日当たりで8枚分とか書いてんの、俺?みたいな感じです。

 さらに余談ですが、僕もそうですし、大抵の物書きは書く分量を原稿用紙換算で●枚と数えますが、ゲーム等のシナリオライターさんは●バイトで数えます。合理的っちゃ合理的ですね。

 だからこういうのがイカンと言うておろうに。

 えと、4日目です。(新井素子風に)
 1日にアメリカに到着して、買い物ばかりしておりましたが、この日、ようやく学校にやってきましたよ。ゆにばぁしてぃ おぶ みしがん に。
 最初の感想は

 リスがいる

リス、利子ではない


 でした。
 Markus先生に言わせると、すぐに見慣れて気にならなくなるそうですが、気になってしょがないのよ。それにね僕は日本で30年以上暮らしてますが、いまだに雀を見ると「あ、雀だ」とか思っちゃう男なのでそう簡単にはリスに慣れない自信がありますね。とにかくどこ見てもリスがいます。可愛いです。触れませんが。

 今回、僕がお世話になるのはミシガン大学のScreen Arts & Culturesという部門です。連れて行かれて驚きましたね。なんと俺のオフィスがある!これにはリスもびっくり!なんかね、勘違いしそうですよ。今後日本の大学は三顧の礼を持って俺様を迎えるべきではないかと思いそうですよ。日本の大学がダメなら、せめて日本大学は俺様を丁重に持成すべきですね。
 日大っていえばさ、卒業生名簿ってあるじゃない?あれの申し込み用紙にね、卒業する時に就職先に「活動写真弁士」って書いたのさ。出来上がってきた名簿を見たら俺の職業欄が空欄でやんの。日本大学芸術学部は活動写真弁士を仕事と認めなかった!これ、他学部の人に話すとバカ受けネタです。だから今後、講師で行ってあげても良いよ。の口をお願いします。

 ミシガン大学の写真を撮ろうと思ったのですが、広大すぎてどこを撮ってよいものやら見当がつきません。あとミシガン大学はFree WiFiがガンガン飛んでます。日本も何とかしようよ。外国人にとってFree WiFiがあるかないかは本当に大事な問題よ。東京にオリンピック呼びたいんじゃないのか。

 良い事ばかりの様に書いてますが、本日のメインはガイダンスなんです。留学生とか、僕みたいな立場の人間を一カ所に集めて、これからミシガン大学を生活の中心に据えて生きていく人達に心得を説く時間があるんですね。身分証の使い方とか、健康保険の制度とか。
 これ、勿論英語です。
 そりゃね、留学生の方々は試験に受かるだけの英語力があるからさ、スタッフの方が何を言っているか分かるでしょうよ。こっちは立場こそ優遇されていますが、英語は難民ですよ、漂流民ですよ。15少年漂流記ですよ。
何言ってるか、ほとんど分からない状態で2時間半。
 ただし悔しいのがさ、スタッフの方が時々ジョークを挟むんだけどね、それは分かるのさ。冗談聞いて、ははは、なんて笑って、なのに肝心の保険についてよく分からない。あと保険料を滞納すると30$の罰金だという事だけは分かる。つまり分かるのはジョークと罰金の金額だけ。

 ちゃうんや、僕が知りたいのはそこやない。
 まあね、何とかなるでしょう。

 試練のガイダンスのあとは映画ご専門の先生方と中華料理でご会食です。超豪華メンバーの中に私がいます。なので僕も豪華な人間なんだと思い込む事で、何とか意識を保とうとした、という事だけは覚えてます。偉い先生って言ってもね、基本映画史をやる人間はオタク気質ですからね、最後には「僕はハイジが好きだ」とか言い出すのさ。凄いな、日本のアニメ。
|09/04| もやもやコメント(0)TB(0)
 3日目です。
 3日目という事は、三日坊主が本領を発揮する時期です。実際に僕の中でも三日坊主は大いに発奮致しまして、念仏三昧と申しましょうか、「早くダラけてしまえ」と呪詛のような言葉が渦を巻いてしまうのでありますね。

 この際だからはっきり言いますがね、緊張感無さすぎだ、俺。もう少し日本文化を担っている立場であることを意識して頂きたいものです。

 緊張感のないのは、おいおい対策を講じるとしてですね、生活基盤を作り上げるのにこの3日間は頑張っているのです。あんまり頑張りすぎて、どの店に行ったか順番が全く思い出せないのですが、今後皆さんがAnn Arborで暮らす事になったら役に立つであろう、私がMarkus先生に連れて行ってもらったお店をご紹介しましょう。実際のところMarkus先生は実に舌が肥えていらっしゃる方でして、教えてくれるお店がことごとく美味い、旨い、ウマい。これを皆様にお伝えしないわけにはいかないだろうという義務感に駆られて私は今、キーボードも壊れよとばかりの勢いで文章を打ち込んでいるのです。写真はそのうち追加します。

 まずはミシガン大学のご近所、ダウンタウンにあるお店篇。

Zingerman's
Ann Arborを語るにはここは外せないという名店。扱っている食材がとにかく素敵。お肉、お魚、パン、チーズ、蜂蜜、等々。お店のスタッフが農場やら牧場やらに直のツテを持っていて集められた品物の数々。扱っている品物の多くは頼めば試食させてくれます。蜂蜜売り場のお姉ちゃんなんか、試食用に開けた蜂蜜を客と一緒に自分も舐めだしたりなんかして衝撃でした。そしてこれも試食で食べましたがフレッシュモッツァレラチーズが絶品でねぇ、正直初めてモッツァレラを美味いと思いましたよ。

Co-op
日本でも同じみの生協がダウンタウンにあります。ここは野菜と粉、それからスパイスが充実してます。ここで買ったブロッコリーは身が締まっていて、Zigermanのお魚の付け合せにして食べたら素敵な出会いで御座いましたよ、ええ。
お魚



Farmer's market
Co-opのすぐ向かいにありまして、こちらは野菜、肉、魚といった分野がお得意。Zigermanがある程度仕上がった食材中心なのに対して、こちらの肉や魚は、さあこれからどう料理してやろうか、てな状態で売っております。お魚なんぞは、大きな大きな切り身が冷蔵ケースの中にいらっしゃるので、必要な分だけ店員さんに言って切り分けて貰う形式です。お肉屋さんには海外ではおなじみの豚の頭がありました。ここのベーコンがまたね、味が深くて、あーた。

 そのほかにも歴史があって、しかも美味しいアイスクリーム屋さんがあるんだそうですが、まだ行ってません。近日中にレポートします。そのアイスクリーム屋さんのアイスは大きいそうです。Markus先生
も子供サイズを頼むとか。アメリカ人の大人が食いきれない大人サイズって誰が食うんぢゃ、と思いますが、その辺のところどうお考えでしょう?オバマ大統領。

 
 ダウンタウン篇を終えまして、次は郊外篇。

Briarwood Mall
我が家から歩いて10分以内にある、典型的な郊外型ショッピングモールと申しましょうか。洋服、寝具、バス用品、家電、やたら甘いお菓子が売っています。敷地も広いですが、駐車場が平原のようです。てかウィキに項目があるのな。Briarというのはイバラのことですね。つまりBriarwoodってのはイバラの木ですよ。何のこたぁない、ここはイバラキです。

Briarwood Mall

Meijer
チェーン展開している大型スーパーマーケットです。Markus先生が「ここには何でもあるから、必要なものを揃えちゃうと良いですね」と言っていたので、そんな馬鹿なと思っていたのですが な ん で も あ る。

WHOLE FOODS

これも我が家から歩いて10分程度でしょうか。自然食品中心のお店です。日本でオーガニック系食材店というと、こじんまりとしたお店を想像しますが、そこはアメリカ、やっぱり巨大です。でもここで扱っている品物は良いものが多いです。お菓子屋さんもあるのですが、頭の痛くなるような甘さではなくて、じんわりくる甘さ。甘いといえば、この時期のトウモロコシの甘い事ったら。調理方法は10分茹でるだけ。それで絶品でありますよ。

WHOLE FOODS

Thai
そして忘れてはいけないのが、このお店。アジア雑貨店です。日本、韓国、中国の食材や雑貨がかなり充実しています。そして何よりも日本のお米が安い!これ、海外生活をするにあたって大事な要素ね。あとカップラーメンもあります。ホームシックはここで解消するヨロシ。それから日本情報紙「Weekly Jangle」も置いてあります。共同通信特約で、しかも無料。August 5th weekの一面はダルビッシュで、紙面をめくるとAKB48n前田敦子卒業とか、稲川淳二の怪談ナイトが今年で20年だとか、結構な話題が載っています。

日本情報



 
 これであなたもAnn Arberで暮らせちゃう。

 なんて、実はここまでは本日の長い前置きでして、これからが本題。
 僕は9月14日にMichigan Theaterで華麗に米国デビューする予定なのですが、なんとなんと、会場下見に行ってきたのです。ここが実に素ン晴らしい。劇場が建設されたのが1927年、つまり無声映画末期でしてん、場内には現役で無声映画上映専門のオルガンがある!!!!しかもそのオルガンの音と共演できる!!!

サイレント映画用オルガン


 この劇場、以前持ち主が敷地を駐車場にしようとした事があるんだそうです。その時にオルガンを残そうという市民運動が立ち上がり、さらには劇場存続にまで運動は拡大、最終的には市が劇場を運営する事になったのだそうです。結果的に劇場は公共の施設になり誰でも使用することが出来るようになったのです。それがつながって、私がここで『生れてはみたけれど』を説明するのですから、市民運動に感謝です。
場内

場内上から

場内上から2

劇場外観


 やっぱりね、弁士としては無声映画時代からある劇場で説明出来るのは格別なのですよ。
 こういう体験は昨年のオーストラリアはアデレードのシネマピカデリーに続いて二度目です。この興奮、お分かり頂けるでしょうか?

 分からないのが自然です、はい。
|09/03| もやもやコメント(0)TB(0)