プログラムがフィルムセンターのサイトで発表されました。

 今回のプログラムには僕もちょっとだけ関わっておりますので、宣伝をしたいと思います。
 もちろん僕がわざわざ書かなくたって、きっと場内満席に違いないのですが。

 僕が関係しておりますのが「福宝堂撮影の記録映画と尾上松之助・阪東妻三郎の葬儀実況」というプログラムです。ここでは下記の五本が上映されます。

明治四十五年四月四日 藤田男爵 葬式の實況[デジタル復元版]
日活取締役 故中村鶴三氏 尾上松之助 葬儀実况 大正十五年九月十六日
故 阪東妻三郎 関西映画人葬実況
昭和七年 二月十四日 李王殿下を奉迎して
田村家ホーム・ムービー

 事の起こりは今年4月12日、キネカ大森で『雄呂血』を説明した時でした。
 この日、会場に阪東妻三郎のお孫さんで俳優の田村幸士さんがお越し下さったのです。ついでに言うと小杉勇のお孫さんもお越し下さって、何だかもう大変でした。最近多いのよ、舞台上よりも客席の方が豪華な仕事。
 終演後、幸士さんと控室でお話をしておりましたところ、なんでも田村家にはフィルムが残されているらしいと。フィルムそのものの状態は分からないけど、とにかく中身の入ったフィルム缶があると。そう聞いたら弁士として黙っちゃおれません。ここで、ふーんそうなんすか凄いですね、で終わるなら弁士なんぞやらない方が良いのです。ましてや僕は春翠の孫弟子ですから。

 後日、フィルムの現物を拝見する場を設けて頂いて出てきたのが『故 阪東妻三郎 関西映画人葬実況』『昭和七年 二月十四日 李王殿下を奉迎して』『田村家ホーム・ムービー』の三本じゃありませんか。特に『昭和七年 二月十四日 李王殿下を奉迎して』は劣化のほとんど見受けられないナイトレートです。あの時の僕は「うわっ」とか「ぎゃっ」とか、意味不明な言葉を随分口走ってたんじゃないかと思います。大概不審ですわね。
 で、まずやったのはこれらのフィルムが官民問わず主要なフィルム保管機関に収蔵されているかの調査でしたが、結果はどこも所蔵しておらず。いよいよ新発見の気配が高まってきたので、幸士さんとフィルムセンターさんをお引き合わせして、基本的には僕の仕事はお終い。

 まあ、つまり大したことはしてないのです。ご自宅に正体不明の古いフィルムが有れば、なにも弁士を通さなくても、誰でも直接フィルムセンターなり、マツダ映画社なりに連絡をすれば適切な対応は取って貰えるはずなのです。だからきっと、僕が何かしなくても、いずれこのフィルムは上映されたでしょう。
 でもですね、そこが弁士の業です。春翠の時代ならいざしらず、平成になって弁士が可燃性フィルムの発見に寄与できたなんて、こんなに嬉しい事はないじゃないですか。たまにコアな無声映画愛好家の方が、弁士を無声映画への害悪的な存在の様にみなす時がありますが、こういう意味でも私は反論したい。弁士はフィルムを見っけてくるんだ、弁士がいたから残ったフィルムがあるんだと。『瀧の白糸』だって静田錦波と谷天朗がいなかったら残っていないかもしれないんです。
 全部良い事はないけれど、全部悪い事もないんです。活動写真弁士って文化も同じです。

 話を戻しますとね『昭和七年 二月十四日 李王殿下を奉迎して』に僕が昂奮したのはナイトレートだったからでもありますが、阪妻プロの劇映画以外の作品なんて聞いた事も無かったからです。映画史を探っていると、撮影所が小銭稼ぎの為に撮影隊を派遣して記録映像を撮った事例は幾らもあるので、阪妻プロにだってあったんだろうなと予想は出来ます。しかし想定の範囲内であったとしても現物があるかないかで大違いです。なので「わっ」とか「きゃっ」とか、周囲の目も気にせずやっちまった訳です。
 もっとも、その後『昭和七年 二月十四日 李王殿下を奉迎して』は僕の予想とはまたちょっと違った撮られ方をしたフィルムであると判明いたしましたけれど。この上映は阪妻ファンは絶対に行った方が良御座んすよ。俺もまだ見てないけど。

 『田村家ホーム・ムービー』もどうやら大変貴重です。マツダ映画社には『素顔の阪妻』なる記録映画があって、中心となる素材は田村家のプライベートフィルムです。じゃあ『素顔の阪妻』を無声映画鑑賞会で見た事があるから見なくても良いかとお思いのアナタ、それは違う。同一のカットもありますが『素顔の阪妻』には含まれていないカットも多数残されているようです。

 そして『故 阪東妻三郎 関西映画人葬実況』も大変です。錚々たる顔ぶれが参加した阪東妻三郎の葬儀実況フィルムです。映画史としても貴重な記録であるのは間違いありません。しかも今回のプログラムが良いじゃないですか、『故 阪東妻三郎 関西映画人葬実況』と一緒に『日活取締役 故中村鶴三氏 尾上松之助 葬儀実况 大正十五年九月十六日』も一緒に見られちゃう。日本映画史の伝説となる二人の葬儀には、このお二人がいかに偉大な存在であったかが確実に刻まれているのです。実際、このお二人の葬儀の写真をみると国王でも亡くなったのかしらとばかりの人、人、人、人の群れ。動画で見ればさらに圧倒されるのは間違いないでしょう。

 思えば『雄呂血』は不思議な作品です。阪東妻三郎ご本人も思い入れがあったため、ネガフィルムを特別に保管していた物が、いつの間にか無くなってしまい、どこをどう渡り歩いたのか関西に流れ着き、それを聞きつけた松田春翠が長年交渉を続けようやく譲って貰い、いざ公開しようとしたものの場所が無い。どうしようかと悩んでいたらとある会館に急遽空きが出来た、その日が何と阪妻命日の7月7日だった。それとばかりに上映を決めたものの前売り券はちっとも売れない。客席数は1000近くもある劇場でガラガラでは応援に駆け付けて下さる田村家の皆さんに申し訳ないと青くなっていたら、開場時間と共に、どこから聞きつけたのかお客様がわんさと詰めかけ満席に。
「あの時のお客さんは阪妻さんが呼んでくれたんだね」と春翠は折に触れて話していたんだそうで御座います。
 その『雄呂血』をキネカ大森30周年記念事業で上映した時に田村幸士さんが来て下さって、今回の発掘に繋がった……。感無量と申しましょうか、弁士として、春翠の孫弟子として、実に誇らしい出来事です。

 弁士なんて儲かる仕事じゃないんです。生活が大変で、もう無理かもしれんと思う時だってあるんですが、しばらく辛抱していると必ずこういうご褒美があるんですね。僕は単純ですから、神様は俺に弁士を続けろと仰っている、なんて信心も無いくせに思ったりするのです。罰当たり千万。

 にしても今回のプログラムは良いなあ。 
 見に行きたいものばかりです。自分の選択とはいえ、日本にいないのが悔しい。
 東京近郊にいらっしゃる方は、この歴史的な上映に是非とも足をお運びくださいませ。

 長々書いてしまった。
 最後に『雄呂血』の写真をご覧ください。

雄呂血 (3)

 
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|08/30| 活弁コメント(0)TB(0)
 ボン無声映画祭でもなにかと暗躍いたしましたワタクシで御座いますが、いよいよ劇場でのパフォーマンスですよ。
 ボンはね、以前でた事もあるので新規開拓とはちょっとニュアンスが違いますが、今回は初めて出る場所です。ちょっと調べたら、2011年に師匠が出てますから、完全な新規開拓ではありませんけども。

 誰かがパフォーマンスをやって好評だった場所で、同じ芸が定期的に出る環境を作るってのは、個人的には大事だと思うんです。弁士という文化が断片的にではなく、定期的に披露される場が国内外に増えていけば我々の生活は安定しますし、安定すればより意欲的な活動も出来ます。
 余談ですが、先日議員さんがアイヌはもういない、みたいな発言をして問題になりましたが、あれって彼にとってはアイヌとか何とかはどうでも良かったんじゃないかと思うのです。要は不要な補助金を見つけましたよ、私はそれをカットしようとしてますよ、とアピールしたかったんではないかなという気がしております。全然違うかもしれないけど。
 近年の生活保護の問題もそうですが、どうも助成金とか補助金の類ってマイナスに思われがちなんです。それも当然と言えば当然で、多くの方々は税金を払ってお金を持ってかれているのに、一方で税金を貰って暮らしてる奴がいる。それが医療とか国防ならまだしも、あってもなくても庶民の生活には丸っきり影響しない「文化」である。面白くないのも仕方ないのです。
 私も助成金を頂いてドイツに来てますから何かと考える事も御座いますよ。
 でもね、やっぱり文化助成って必要なのよ。なあなあでお金をばらまいちゃ駄目だけど、文化がなければ国が国たり得ないのですから。

 ま、アタクシは精々頑張って日本文化を海外に広めます。もちろん日本での活動も頑張ります。だから「弁士なんてもういない。補助金は無駄だ」とか言わないでね。

 なんでこんな能書きをたれたかというと、さっき小沢正一的こころを聞いてしまったからなんですね。

 で、ベルリンの公演です。
 会場はKino Babylon という、中身は当時のままとはいかないものの、驚くなかれ1929年からある映画館です。リンクから劇場サイトに飛んで頂くと判りますが、上映案内の中に”Stummfilme”が御座います。これ、ドイツ語で「無声映画」なんです。つまりKino Babylonでは定期的に、当たり前に無声映画の上映があるって事なんですね。ペースとしては尽きに二回程度かしら。目を引く企画としては9月の毎週土曜日午前0時に、料金0ユーロで無声映画上映なんて物凄くユニークな上映も企画してくれております。

 しかもシアターオルガンもあるってんですから涎もんですね。
 今回もシアターオルガンと共演させて頂く予定でおります。楽しみね。

 告知もなかなかいい感じです。
 ポスターと上映詳細案内がこちら。

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 このポスターがいま、ベルリンの街中に何十枚か貼られているらしいです。
 異常です。
 ちなみに「無声映画館」はポスターデザイン打ち合わせの段階では全く話に出ていなかったのに、いつの間にか劇場の方がデザインに漢字を加えてしまって、出来上がってきたのを見て周囲がびっくり、なんて背景も御座います。僕は好きですけどね「無声映画館」って。それにしても『忠臣蔵』はすっかり”47Ronin”になってしまったのね。凄いなキアヌ。
 ちゃんと助成をしてくれているアーツカウンシル東京のロゴも入っておりますね。
  
 長々と書きましたが公演情報は以下の通りです。

●Stummflmkino aus Japan mit Live Erzähler
 „Der ‚Große Krieg’ im japanischen Stummfilmkino, 1914-1918“
 Göttliche Lage

日時/9月3日19時30分~
演目/"Munitionsfabrik Manfred Weiss, Budapest-Cepel im Weltkrieg AT 1914"
"The Rosary"
"Il sogno patriottico di Cinessino(邦題『子供の夢』)"
"Chūshingura [The Loyal 47 Ronin](『尾上松之助の忠臣蔵』)"
弁士/片岡一郎
解説/小川佐和子
ダンス/Yuko Kaseki
料金/€12

 どうやらダンスも見られるらしいです。そして小川さんの解説もあるそうです。あと生演奏は間違いなくあるのですが、どなたがされるのかちょっとわからない状態です。つまり現場はかなり混乱しております。僕はとても生きている実感を味わっているところです。
 どうぞひとつよろしくお願いします。

 
 
|08/29| 活弁コメント(0)TB(0)
 無声映画祭最終日です。
 今日は昼夜で上映が御座いました。
 昼も夜も必見のラインナップでしたので早速ご紹介。

 まず昼の上映はこちら。

”Homunculus”(1916・独)
 なんと上映時間200分!もちろん一篇の作品ではなく連続活劇で、本日上映は各地に散らばっている素材とどうしても見つからない部分は字幕とスチール写真で補った世界最長版『ホムンクルス』です。会場は日中でもあるので野外ではなく市内の博物館映像ホールを使用しております。200分の長尺となると、寒く無くて椅子も柔らかいこちらの方がよろしい様で。
 途中二回の休憩をはさんで四時間にもわたる上映でしたが、実に良かった。先日僕も東京で『霊の審判』の説明をしましたが、あの作品の原題は『人造人間』なんです。東西「人造人間」を見比べる会なんて出来たら楽しそうじゃないですか。
 演奏はRichard Siedhoffさんでした。お見事の一言。
 本作もそうですが、『メトロポリス』や『カリガリ博士』を相次いで作ってしまうドイツの科学趣味って素晴らしい。ああいつか『ホムンクルス』演りたいな。



 『ホムンクルス』は今年の目玉でもあったので、ポスターも『ホムンクルス』だったのです。

ボン無声映画祭2014


 そして夜はお馴染み二本立て。

”Tramp, Tramp, Tramp”(1926・米)
 これは南北戦争で歌われた歌の中で最も有名な曲を映画を見ながら一緒に歌いましょうという、観客参加型娯楽映画なんですね。ただ欠点がひとつありまして、映画と曲が同期しないという、実にその致命的な欠陥が。上映には歌手までついて皆で唄おうとしたのですが、会場にいる人間が誰一人ちゃんと歌えなくて、でも笑いながら歌う、そんなほのぼのとした上映でした。たしか昨年のポルデノーネでも上映されているはず。
 演奏は昼に引き続きRichard Siedhoffさん、そして歌はStewart Trysterさん。



 動画のコメント欄をみると「なんで曲が付いてないの?」って書いてありますね。
 ”Tramp,Tramp,Tramp”って北海道大学の校歌なのかな?
 曲はこんな曲です。僕は結構好き。



 北大校歌は『永遠の幸』なんですね。



 
 今年のボン無声映画祭最後を飾るのはルビッチでした。

”Monte Carlo”(1930・米)
 まずは動画をば。



 ご覧の通り『モンテカルロ』はオペレッタ映画なんですね。でも本日上映は無声映画祭でトーキーはかからないはず。
 実は『モンテカルロ』にはサイレント版があって、本日は復元後初の公開でした。にしてもルビッチのオペレッタ映画でサイレント版なんて良くも作ったものですよ。作品の最大の特徴である音楽がないんですから。とはいえこれはこれで楽しく見られるのが流石ルビッチと申せましょうか。
 音楽はGünter A Buchwaldさん。
 ラストのオペラシーンでは”Tramp,Tramp,Tramp”に続いてStewart Trysterさんが歌って臨場感抜群と思っていたら、なんと大詰めでブーフヴァルトさんも歌い出しての二重唱。終演後にお喋りしたら「あれが精一杯だったよ」なんて言ってましたけども。

 写真は上映前のリハ風景。
 マイクの前に立っているのがStewart Trysterさん。

ボン無声映画祭 最終日

 映画祭関係者の方々に来年の事をお話しして、僕のミッションもおおむね達成。
 充実の11日間でした。
 
 この欧州事業はアーツカウンシル東京の助成を受けて行われております。

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|08/17| 活弁コメント(0)TB(0)
 映画祭残り二日です。
 今日は日中はボン大学の先生の主催でガーデンパーティがありましたので、お邪魔して参りました。
 日本でも北海道は同じでしょうが、こちらの夏は短いです。本当に夏らしい気温の日はあっという間に終わってしまい、あとはずーっと冬……は大げさにしても、かなり涼しい日が続きます。当然、屋外で食事を出来る期間も短いのです。ミシガンでもそうでしたが、夏の短い地域は関東に暮らす僕らとは暖かい時期に対する思いが違います。ちょっとぐらい天気が悪くても、カフェやレストランでは屋外席から埋まってゆきます。排ガスなんてなんのその。
 ガーデンパーティもそうした夏への思いがあるのでしょう。大勢の人が集まって実に賑やか。
 ボン大学日本学の先生が主催するパーティですから、招待客も日本語が堪能な方が多くて、顔はドイツ人なのに会話が日本語、なんて光景もあちらこちらで見られました。こんな環境だもの、ドイツ語が出来るようにならない訳だよ、俺。

 お酒を飲んで、美味しいものを頂いて、こんなに大盤振る舞いして出費は問題ないのかしらと若干心配しつつ映画祭の会場へ向かいました。

 そういえばドイツで始めてバスに乗りました。運転手さんは眼鏡をかけないと切符の文字が読み取れない御老体で、まあ、その、若干心配に成ったりもしますが、働き口があるのは良い事だと自分を納得させておりますよ。

 映画祭、本日は上映本数なんと十三本。そのうち十二本までが短編ですが。

”Tricfilme von Segundo De Chomon”(1904~1912)
 スペインのメリエスとも呼ばれるセグンド・デ・チョモンの作品集です。
 作品リストを書きだすのは流石に大変なのでパンフレットをご覧くださいませ。

Chomon

 映画史初期の監督というとメリエスばかりが取り上げられますが、アリス・ギィもいればチョモンもいるわけで、こういう機会に見返せるのは本当にありがたくもあり、もっともっと復権の機会が与えられるべきだと改めて想いもしました。人気があるのと、史的に重要であるのは密接に繋がってはいますが等号では結べません。その意味でも非ヒット作をきちんと保存しておくのは、後世の為にも重要なのでありますよ。
 上映作の中には”Ki Ri Ki, Acrobates Japonais”なんて珍品もあって、日本のアクロバットと謳っている割には、どうみても中国の雑技をモチーフにした映像だったりして当時の日本観やアジア観が見て取れるのも、これまた貴重で御座いました。
 演奏はお馴染みのGünter A Buchwaldさん。

”Ki Ri Ki”がありました。



 映画祭とは関係ありませんが、ついでにトーマス・エジソンカンパニーに”Japanese acrobats”も発見。



 そして本日のメインは作品はロイドでした。

”For Heaven's Sake”(1926・米 邦題『ロイドの福の神』)
 時代が違うとはいえ、ロイドは邦題に恵まれていない気がします。この作品もそうですが、”Why Worry?”が『ロイドの巨人征服』、”Girl Shy”が『猛進ロイド』ときて極めつけが”The Kid Brother”が『田吾作ロイド一番槍』ですよ。田吾作ってあーた。この作品は以前、シネマヴェーラで見てますが、表情から服のシワまでくっきりの35mm上映で生演奏、オープンエアで皆で笑って見るんですから、完全に別物。実に楽しい時間でした。
 演奏はRichard Siedhoffさんで、明快な音色が笑いを盛り上げておりました。

 本日は風もなく穏やかな気候も手伝って、満席でした。

ボン無声映画祭 十日目

 この渡独はアーツカウンシル東京さんの御支援を受けて行われております。

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|08/16| 活弁コメント(0)TB(0)
 今日の晩御飯はお寿司でした。しかもかのブーフヴァルトさんに奢って頂いてしまったのです。
 こういう時、芸人て良い仕事だなと思いますね。ところで僕はいつまで奢って貰える立場でいられるんでしょうか。ジワジワと奢らなきゃいけない立場に変化しつつあるのは感じながら日々を送っているのですが、やっぱり奢られたいです。なので先輩方の息の長い活動を願う次第であります。あと後輩がなるべく増えない事を切に願う次第であります。

 にしても海外で暮らすと、半年に一回はお寿司を御馳走して貰います。
 日本ではそんなに寿司を食べに行かないので、海外にいる時の方が寿司率高いかもしれない我が食生活。
 アメリカで食べたCaterpillar rollなぞは忘れられませんです、はい。興味のある方はCaterpillar rollで検索してみて下さい。とってもキャタピラーな外見です。
 今日食べに行ったのはIchiban Sushibarというボン大学のすぐそばにあるお店。
 もうずっと気になっていたのですが、やっぱり自分からは中々いかない場所なんですよ、海外のお寿司屋さんてのは。

Ichiban Sushi

 味はまあまあと聞いておりました。食べてみたら本当に普通でした。大したもんだ一番。ただ「寿」の字に点が一つ多い気がするぞ一番。

 食事中はざんざか降っておりました雨も、上映時間が近づくにつれて上がりましてボン無声映画祭名物の椅子水溜りもご覧の通り。

雨後

 もうね、既に寒いですよボンは。
 雨が降るとなおさら寒いですよ。

 本日の上映も二本立て。

”Простой случай”(1932・ソ連)
プドフキンですよ、ウクライナでは彼の初期作品を見ましたが今夜は1932年のプドフキン。もうね凄いわ。なんたる映像詩!久しぶりに見ましたよ、心底弁士が要らないと思った無声映画を。こういうのを見ちゃうから、無声映画風の動画に興味が湧かなくなるんです。あと自分で無声映画を撮る気を持たなくなるんです。
演奏はJoachim Bärenzさん。抑えた演奏が映画とマッチしていて結構でございました。

 僕の近くに座っていた若いお兄ちゃん二人連れが映画が始まってもお喋りを続けていて、それを近くのおじさんに注意されたんです。彼等はお喋りを止めて、ビニール袋をガサガサやりだし、今度はスナックを食べ始めました。袋がずっとメキメイいってんのね。そしたら別のおばちゃんが叱りまして、二人はそれも止めました。でも最後まで居るのね。二本目も見ていきましたね。映画の最中にスマホをずっといじってましたけど。そういう自由な感じ、好きよ。
 今日は一本目と二本目の間に休憩時間があったので、その時間にも一枚。

Intermission 

 良いムードでしょ?
 日本でもこういう気楽な、一般の、つまり非研究者、非マニアの人が楽しめる雰囲気の良い無声映画祭が出来ないかなあ。所詮娯楽ですからね、敷居なんて必要ないのですよ。
 なんてな事を考えていたら二本目です。

”神女”(1934・中)邦題 『女神』
本日はソ連と中国の無声映画です。ボン大学の中庭に共産主義の嵐が吹き乱れました(嘘)。
『神女』は僕が最も好きな中国の無声映画でありまして、主演は阮玲玉です。この人が実に良い。残念ながらこの映画が公開された翌年に自殺をしてしまうんですが、今だにその名は中国では広く知られていて、ジャッキー・チェンがプロデュース、マギー・チャンが主演をした、その名も『阮玲玉』という映画もあります。以前、歌舞伎町のオカマバーに行った時に、そこで働いている中国人の女の子に聞いたらちゃんと知ってましたしね。まあ日本のオカマバーで働く中国人の女の子を平均的な中国人とは言えないでしょうけれど。
 演奏はお寿司を奢ってくれたGünter A Buchwaldさん。ピアノとヴァイオリンでこちらも実に良かった。



 連日、上映が終わるのが23:30とか00:00とかです。
 こんな時間に安心して地下鉄に乗れる平和に感謝ですよ。僕ら戦争になったら何にも出来ませんから。

 平和とこの渡欧を支援してくれているアーツカウンシル東京に感謝しております。

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|08/15| 活弁コメント(0)TB(0)
 日中はケルンに行って参りました。
 ちょっとね、来年の打ち合わせをね。来年は今年よりも派手に色々やりたいので根回しが大切なんです。
 再来年の頭は報告書でヒーヒー言ってそうですが、何もないよりは何かあった方が良いものね。
 嗚呼、マネージョーが欲しいね。雇うお金なんかありませんが。

 写真はケルン文化会館に向う並木道です。
 ヨーロッパらしい光景と言えましょう。気持ちいいなあ。

ケルン 並木道

 実のある打ち合わせをしてボンに戻って、映画祭八日目です。
 今日は映画祭のハイライトといっても過言ではありません。
 なにしろニール・ブランドさんとギュンター・A・ブーフヴァルトさんの共演ですもの。
 客席もしっかり満席。わかっちょるね、ボンっ子も。

 では上映作品です。

”Prater”(1929・墺)
なんとアマチュアが撮った9,5mm作品です。まさか撮った本人も85年後に数百人の前で上映されるとは夢にも思っていなかったでしょう。当然9,5mmをそのまま上映は出来ないのでデジタルで取り込んだ2k規格です。テクノロジーの進歩って凄い。内容は記録映像と実験映像の中間の様な作品で、染色もしてあります。
演奏はNeil Brandさん

”The Sea Hawk”(1924・米)
英語力が付いていかんかった……。大雑把には画面を見てれば筋は分かりますが。もっと勉強せねば。こちらは文句なしの画質の35mm染色版で、一部分にステンシルカラーも施されている素敵なプリントでした。そして演奏がピアノをNeil Brand、ヴァイオリンをGünter A Buchwaldのコンビ。現代の無声映画伴奏を代表するお二人の共演とあれば何としても見なければなりません。いやあ良いもの見させて貰いました。

 彼等の演奏を聴いていると、無声映画への向き合い方を見直すエネルギー源になります。
 同業者の芸だけ聞いていてもちょっと行き詰る感じがあるのです。なにしろ狭い世界ですから。それでも聞かないよりは聞いた方が良いに決まってますが、というか同業者の芸を聞かないと駄目ですが、それはそれとして彼らの音楽は刺戟的でありました。

 あと会場でお客様に声をかけて頂きました。もう三年前なのに覚えていて下さる方がいて感激であります。
 来年はちゃんと映画祭本企画で演るからね。待っててね。

 このプロジェクトはアーツカウンシル東京さんの援助を受けて行われております。

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|08/14| 活弁コメント(0)TB(0)
 七日目です。
 弁士が無声映画と毎日向き合追うのは当然の努力なのですが、なかなか出来ないのも事実です。
 その点、こうして仕事で映画祭に参加できるのは有難い事なのです。

 さて昨日は大変に降られてしまいました、今日の降水確率は60%なので、また降られるのは間違いなさそうと早目に家を出ます。というのもボン大学の中庭にはちょっとだけ廂があるんですね。その下にある席に座れればどんなに降っても平チャラさ、という訳。実際、出発する時には降ってましたし。

 でもね、いざ会場に着いて席に座ったらあっさり雨が止みましてね、とうとう降らなかったんですわ。
 良い事ですけどね。でも悔しいね。

ボン 七日目


 今日もニール・ブランドさんと開演前に話しました。というかお話しして頂きました。
 ええ、彼から頂戴しましたよ「イギリスに来ることがあったら連絡してね」のコメント。
 彼がイギリスまで呼んでくれる訳じゃありませんが、イギリスに行く機会があれば追加の仕事も取れる可能性があるという事です。
 最近、このブログの最後に「今回の渡独はアーツカウンシル東京の助成を受けて行われております」みたいな言葉と

アーツカウンシル東京ロゴ

 ↑のロゴを掲載しておりますが、どんな助成かというと活動写真と活動写真弁士の文化をヨーロッパに普及させるために渡欧に支援を頂いている訳です。なので無声映画伴奏の第一人者とこういう会話をして連携を深めておくことは最重要課題なのですね。やっぱり人と会って話す事です。そこからしか始まらない仕事って沢山あります。

 さあ、今日の上映も二本立てですよ。

”Oswald in Afrika”(1928・米)
 ウォルト・ディズニーがミッキー・マウス以前に描き、そして色々な事情で表舞台から姿を消したオズワルドの短編アニメです。流石のディズニー、動く動く。子供も大喜び。
 オズワルドシリーズは「Oswald the lucky rabbit」で検索して頂ければ沢山出てきますよ。

”火山情血”(1932・中 邦題『火山の決闘』)
 こちらは中国映画です。ボンの映画祭では日本映画が毎年一本は上映されるらしいのですが、今回は日本映画はなく中国映画が二本。主演は脚線美で大人気を博した黎莉莉。本作でも不自然なまでにフトモモを見せてくれています。以前説明した事がありますが、また演ってみたくなっちゃった。
 動画は中国の動画サイトに上がってるから『火山情血』で検索してみておくれ。

 演奏は二作品ともニール・ブランドさん。
 この人、やっぱり凄い。『火山情血』なんて二時間ですよ。それを弾きっぱなしで疲れを見せないんだもの。演者には技術やセンスも大事だけど、最後に物をいうのは体力かも知れんと改めて思った次第。

 明日は日中ケルンに打ち合わせに行って、夜はボンで映画祭だい。
 楽しみだい。

 繰り返しになりますが、この渡欧はアーツカウンシル東京の支援で行われております。
 
|08/13| 活弁コメント(0)TB(0)
 映画祭も六日目です。
 見ている側もだんだん疲れてきますが、スタッフチームはもっと疲れてくる頃です。
 こんな事を30年続けてきているんだから本当に偉大です。

 さて、今日はとうとう雨が降りました。 
 開始一時間半前には既に雲が厚く空に垂れこめておりまして、座席を取っているおばさまなどは「雲、しっし!」とばかりに空を煽いでおりましたが、願いも虚しく開始四十五分前にはポツポツきましてご覧の有様ですよ、

ボン 雨
 
 大半のお客さんは屋根のある所に逃げ込むのですが、慣れている人、どうしても席を動きたくないハードコアな人はそのまま待機。僕も待機。そしたら開始五分前に雨が止むじゃないですか!おお、と思ったのも束の間で、そこからもシトシトと雨は降り続いたのでした。結局雨があがったのはラストの四十五分だけかしら。

 でもね、これはこれで良いものなんです。写真をみて分かると思いますが、雨が降ってる中で見ると前の人の傘でスクリーンの三分の一はかくれちゃうのね。しかも自分も傘を持ってるから疲れるし。傘をさして、見えづらい無声映画を生演奏で見る、これは体験ですよ。かの蓮見重彦さんは「無声映画を無音で見る贅沢」と仰ったとか言われておりますが、そして日本のフィルムセンターではまさに無音で無声映画を見ておりますが、今日の上映はそれと正反対のノイズだらけです。じゃあ映画は楽しめないのかというとそんな事はなく、楽しいんです。きっと何年か後に思い出そうとしたら映画の内容はあまり思い出せずに、雨の景色ばっかりが浮かんで来るに違いないんですが、それはそれで良いじゃないですか。
 なんてな事を思いながら見ておりましたのよ。

 さて今日の上映は次の二本

”Die Entdeckung Wiens Am Nordpol”(1923・墺)
実写とアニメのコラージュ作品でした。動画の雰囲気が日本の初期アニメと結構似ているのが興味深いです。
演奏はRichard Siedhoffさん。昨日”Valentin Auf Der Festwiese”の伴奏をされた方ですね。

”Den Starkaste”(1929・瑞典)
昨年のポルデノーネでもスウェーデン映画を見ましたが、この国は風景が実に美しい。なんというか映画の主役が実は風景なんじゃないかと思わせるような映画を作る国です。
演奏はNeil Brandさん。今回は凄かった。雨の影響で気温がかなり低くて、実はちょっと指がかじかんだりしたのですが、彼ったら106分の映画をテンション落とさずに弾ききったもの。化け物だわ、ほんと。
 あいさつしに行ったら「久しぶり!」って言ってくれて嬉しかったです。ただのファンか、俺は。

 今日の上映作品も動画が無いので第一人者Neilの『生れてはみたけれど』をどうぞ。



 この渡欧はアーツカウンシル東京の助成を受けております。

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|08/12| 活弁コメント(0)TB(0)
 ドイツに到着して一ヶ月が経ちました。あっという間です。結局よその土地で何かやろうとしたらせめて半年は居ないとだめなんですよ。一、二ヵ月じゃ生活を安定させている間に終わっちゃいますから。
 そんな訳で僕もこの一ヶ月は日常でばたばたしておりましたが、いよいよ弁士業がもの凄いスケジュールになりつつあります。日本にいても海外にいてもずっと説明台本を書き続けるこの生活は嬉しいような、淋しいような、ですが。
 
 さて、ただいま絶賛開催中のボン無声映画祭は野外上映です。
 野外上映なので天候に色々と左右されます。でも中止はしません。よっぽど凄い嵐なら別でしょうが雷雨くらいなら平気でやります。お客さんも慣れているので傘や合羽持参はあたりまえで、大雨の中映画を見てたりします。
 今日は降水確率は最大で30%ですので長雨の可能性はなさそうですが、通り雨は分かりません。実際、開映一時間前にはご覧の曇天。

 ボン 曇天

 ここから心理戦です。一時間以上前に来て良席を取った以上動きたくない。しかし雨は降りそうだ。いやまてよ、ポツポツきたぞ。どうする動くか?合羽を着るか?傘を開くか?それともこのまま何もせずに待つか?
 今日はポツポツ降るだけでしたが、10日間も野外上映をする以上、全日好天はむずかしいのです。
 観客各自が対策を考えて臨む、これもまたボンの夏の風物詩と言えるでしょう。 
 ちなみにボン、もう夏は終わりかけです。陽が暮れれば長袖が無いと辛いです。

 さて今日の上映作品は次の二本。

”Valentin Auf Der Festwiese”(1921・独)
ドイツの短編喜劇って見たのは初めてかもしれません。アメリカの喜劇ほどドタバタ要素はなくて、もう少しシチュエーションで笑わす感じ。作品の舞台は遊園地で、やはり仕掛けが多い遊園地は喜劇に向いているのだなと思った次第。
音楽はRichard Siedhoffさん。

”Milenky starého kriminálníka”(1927・チェコスロバキア)
これ、今年観た無声映画の中で最大の掘り出し物でした。かの国で斉藤寅次郎を彷彿とさせるようなナンセンスコメディが撮られていたとは。字幕はチェコ語とドイツ語なので全く分かりませんがそれでも十分に面白い。これはいつか演ってみたいなあ。日本に紹介したいなあ。
音楽はAndrea Rottin、Jan Prochazka、Tomas Majtanのトリオで楽器も様々の楽しい上映でした。

今日の上映作品は流石にレア過ぎて動画が欠片も上がって居ないので、Richard Siedhoffさんのプロモーション動画から”Easy Street(チャップリンの勇敢)”をどうぞ。



|08/11| 活弁コメント(0)TB(0)
 無声映画祭の途中ではありますが、ちょっと優先順位の高い舞台が御座いましたので、今日はそちらへと向かうのであるます。何も無声映画祭と同じ時間にやることもあるまいと思いますがね。それでも両方それなりに集客があるんですから、やっぱり文化的なんでしょうか、この辺りは。
 そして内心大変尊敬申上げている山梨牧子さんが拙宅に遊びに来てくれて、舞台もご一緒したのでした。
 なかなか日本でお目にかかれない方とドイツで再会とは、これまた嬉しい出来事であります。そういえば去年は春風亭一之輔さんとデュッセルドルフでご一緒したのですから僕にとってドイツは不思議と知人に再会できる国なのです。

 本日見に行ったのは『Chaplin』というパントマイムでした。

パントマイム チャップリン1

パントマイム チャップリン2

 今年がスクリーンデビュー100周年のチャップリンに関するイベントは世界各地で盛り上がっております。しかしこの公演はことさらにアニバーサリーを主張すると事もなく、この舞台を務めるのが演者にとっての日常であるかのように当たり前に行われ、当たり前に我々は客席に座るのです。

 劇場は我がから徒歩十分ばかりの距離にあるKleines theaterという小さな劇場です。オペラ劇場を小さくしたような品の良いデザインの舞台と客席を持っています。座席数は161席。まず外見が可愛いんですよ。

バッドゴーデスバーグ 劇場

 おとぎの国から抜け出たような、という表現がありますが、この劇場はまさにそんな感じ。チケットも€20~30ですので、手ごろな金額です。しかもここはこんなに小さな劇場なのにちゃんとクロークサービスがあるのです。上演の無い日もスタッフさんがいて、チケットの販売もしています。また上演の休憩時間にはドリンクを頼む事も出来ます。
 つまり舞台の見た目だけではなく、サービスも大きな劇場の小型版を受けられる訳です。結果として客層も実に良いんですね。余裕と教養のある方がゆったりと地元の劇場で舞台を見ている感じ。

 日本には各地に劇場やライブハウスがあって、連日連夜夥しい数のパフォーマンスが行われていますが、こういう地元の大人がゆったりと過ごせる劇場はあまりないのではないかと思われます。おそらくはKleines theaterにも行政の支援があるんじゃないかとは思います。でないとクローク用の人員なんて小劇場じゃ確保できないものね。
 あと関係ないけど、日本の小劇場の支配人さんて、貸してやってるんだって態度の方、多くありません?
 いやとても良い方も居ます。そちらの方が多いかもしれない。でも目立つのは貸してやってる系の方でした。僕が小劇場界隈をうろうろしていた時代は。

 本日の舞台でチャップリンを演じるのはPeter Mimさん。
 良い舞台を見せて頂きました。公演内容は朝、チャーリーが目を覚ますところから始まって、あれやこれやのドタバタ、そして舞台の最後にメイクを落としてチャーリーからPeterに戻る所までが描かれます。所々に映画の名シーンが再現されていて、上演中に気付いたお客さんが隣同士で「モダンタイムスだ」とか「これは黄金狂時代」なんて思わずぼそぼそと言葉を交わしてしまうのもチャップリンというモチーフがあるが故の楽しみ方。
 演技や構成にもちゃんとチャップリンへの敬意が溢れていて、笑えるだけでなくとても良い気持ちになれる舞台でした。



 カーテンコールで盛大な拍手を受けると、Peter氏、耳を天に向けて何かを聞くしぐさ。それで「ああこの拍手はチャップリンにも届いているんだな」と観客が感じられるのです。もちろん前提としてちゃんと笑えて楽しめる、まっとうな芸の持ち主でありました。
 自分の好きな芸、やりたい芸を思い出しましたね。

 劇場のある市立公園は天気のいい日は散歩に最適なのです。

バッドゴーデスバーグ 公園

 この渡独はアーツカウンシル東京さんの御支援を受けて行われております。

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|08/10| 舞台コメント(0)TB(0)
 3日目ですよほほい、ほい。
 本日は無事参加しましたですよ。現地の方に売り込みかけておりますよ。
 来週一件打ち合わせゲットですよ。

 さて、映画祭リポートで困るのが写真ですね。
 高名な俳優さんが多数来場してレッドカーペットを歩くならいざ知らず、大学の中庭での映画祭だとそんなネタがある訳でもないんですな。映画祭関係者と片っ端から記念写真を撮るって方法はあるのかもしれないけど、そういうの趣味じゃないの。でも上映中は写真撮れないし、そもそも撮れるとしてもそんな暇があったら映画見てたいし。

 きっと期間中に写真のネタが尽きると思いますが許して頂戴。
 とりあえず今日は写真撮りましたよ。

ボン 三日目

 これね、何をしてるか分からないでしょ?
 実はグランドピアノを運んでるんです。
 ボン無声映画祭は野外上映なので、ピアノは上映中以外は屋内に引っ込めて置くんです。でないと雨が降ったりして大変だから。となると毎日、ピアノを動かさなきゃいけないんですが、ピアノを持ち上げる人員を毎日雇うのは経済的でないのでお客さんに手伝って貰うシステムを採用しているのです。
 上映の二時間くらい前になると舞台監督さんが「男性の方手伝ってー」かなんかドイツ語で呼びかけて、わらわら客席の男性が集まるんですな。この辺りも実に手作り感のある、地元に密着した映画祭じゃありませんか。
 ま、今日はなぜか女性も居ましたが。

 僕はドイツ語が分からないので、指示を間違えちゃいけませんから見てるだけでしたが。

 さて、今日の上映作品は”J'accuse”(1919・仏)でした。
 上映時間は驚きの166分。フランス映画で勿論字幕はフランス語、補助でドイツ語字幕も映写されますが有っても無くても99%同じ。邦題は『戦闘と平和』で御座います。演奏はStephen Horneさんで、ピアノ・アコーディオン・フルートを一人でこなす凄い方。フィルムは35mm染色版。監督は『鉄路の白薔薇』のアベル・ガンス、とくれば字幕が分からないから見るの止めたなんて選択肢は私には無いのです。



 実際あっという間だった、とまでは言わないものの166分退屈せずに済んだのはアベル・ガンスの凄さなのか、音楽の力なのか、とにかく楽しゅう御座いました。

 にしても俺、『戦争と平和』読んだことないのよね。この映画とトルストイの『戦争と平和』は関係ないけど、思い出しますよね。で、それくらいは読んどけよと、今日は反省致しました。反省する一方で絶対的な名作の文学を読み、映画を見、音楽を聞いているだけで人間の一生なんて終えられるだけのストックがもはや人類にはあるんだよなあと気が遠くなるのも事実なのでした。果たして我々、現在生きている人間が芸術をやる意味とはなんなのか。過去の享受だけでは駄目なのか。そんな柄にもない思索を巡らせたのも”J'accuse”が素晴らしかったからに番いありません。

 この渡欧活動はアーツカウンシル東京さんに御助成を頂いております。

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|08/09| 活弁コメント(0)TB(0)
 行ってきました、と報告したかったのですが、諸般の事情により本日は自宅待機。むむむ残念。

 上映作品は下記の二本でした。

”Der Student von Prag” (1913・独)



 邦題は『プラーグの大学生』ですね。徳川夢声先生がレコードに吹き込んでいるので、一時期繰り返し、繰り返し聞きました。
 YouTubeに上がっているのは染色版です、本日上映も(告知によれば)染色版だそうです。

もう一本は

”Battling Butler”(1926.米)

 

 こちらはバスター・キートンの作品です。
 つまりまあ、見ようと思えばどっちもネットで見られるんですね。
 だから悔しくなんか無いもの。
 記録の為に書いておくと”Der Student von Prag”の音楽はMark Pogolskiさん。”Battling Butler”の音楽はJoachim BarenzさんとChristian Roderburgさんでした。

 行けなかった上映の話ばかりでも仕方ないので、ここで映画祭関連グッズをご紹介。
 昨日のパーティで頂いたエコバッグです。

Bonn エコバッグ

 結構おしゃれではないかしら。売店でも扱っているみたいです。
 最近、映画祭の記念品でエコバッグ、凄く多いです。昔はTシャツが主流でしたが近頃はこっちね。
 世界的にエコを考えなければならない時代なんですな。ましてや無声映画は映画のリサイクルですから、エコと相性が良い…………んじゃないかと思うんですが、どうでしょうか?そういうテーマでお仕事お待ちしております。

 実はまだ映画祭の売店を覗いていないのです。ここの売店ではミュンヘン映画博物館で復元した映画のDVDがガツガツ売っているので、お財布が大変なことになるんだよねぇ。明日は見ちゃうけど。

 この渡欧はアーツカウンシル東京さんから御助成頂いて行われております。

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|08/08| 活弁コメント(0)TB(0)
 いよいよ始まりました。
 ボン、夏の無声映画祭初日で御座います。この映画祭で来年の出演を獲得するのが私の重要ミッションなので御座いますね。
 ボン無声映画祭は今年で30周年記念だそうで、上映前に簡単なパーティが御座いました。ツテを頼って私も潜入。
 こじんまりとしていて良いパーティでしたよ。ここに無駄なお金をつぎ込むなら上映作品の充実を選ぼう、みたいな。

 上映は午後九時から。この時期のドイツはまだまだ夏ですから九時だと明るいんです。
 でもこれ以上遅い時間で開始すると終映が遅くなり過ぎちゃう。じゃあもう少し時期をずらせば早く暗くなるんじゃないかと思うと、それだと寒すぎて野外上映が辛すぎる、ってんで八月の頭が定番なのです。本日は初日とあって大変な混雑。

ボン 初日

 パーティ参加者は関係者という事で確保した席に座らせて貰ったんですが、関係者席に向う我々を見て入れなかったお客様が「彼らは何か特権があるの?」と映画祭関係者に詰め寄っていたとかいないとか。写真は上映開始30分前なんですが、どうですこの賑わい。ボン大学の中庭にスクリーンを立てて、椅子を並べた簡素な会場に500人以上のお客様が詰めかけるのです。
 羨ましい、本当に羨ましい。言っちゃあなんですがボンなんて小さな街ですよ。旧西ドイツの首都だっていっても、フランクフルトを首都にしちゃうと東西が合併した時にベルリンを首都に出来なくなっちゃうから、そこまで大きくないけど歴史はある街はどこだ?ボンだ!って首都になった街ですよ。人口は三十二万人です。東京都練馬区は七十一万四千人ですよ。東京のチベットとかつて揶揄された練馬区の半分にも満たない人口ですよ。ちなみに東京都は一千三百三十五万人です。 
 なのに、嗚呼なのに、ボンでは毎年夏には十日間の無声映画祭が定番で連夜500人動員するんですよ。
 夏に野外でチャップリンを見て笑った経験を子供の時にするのはとても良い幼児体験だと思うんだがな。

 本日の上映は

『The Rink』(1916)※邦題『チャップリンのスケート』



 チャップリンを見て皆で笑うって良いもんです。でも上映中に「おや、これはフィルムじゃないな、デジタルだな」とか思っちゃった自分に若干閉口。職業柄仕方ないけれども。

『The Show Off』(1926)



 こちらはすっかりルイーズ・ブルックスの映画扱いになってますが、主役はフォード・スターリングです。でも印象に残るのはルイーズ・ブルックスかもしれません。基本に忠実な喜劇ではありますが、若干展開がモタつくのが残念と言えば残念。


 演奏はJoachim Bärenzさん。
 映画として楽しむもよし、コンサートとして楽しむもよし。
 この姿に無声映画の基本がありますね。

 これから17日まで、モリモリ通う予定でおります。
 この期間くらいは真面目に更新した良いよね、ブログ。

 今回の渡欧はアーツカウンシル東京さんの御助成を受けて行われております。
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|08/07| 活弁コメント(0)TB(0)
 ブログをマメに書かない宣言をしたら本当に書かなくなった僕ですが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
 ここ最近のニュースと言えば税関から着物を取り返した事でしょうかね。

 これは割とお役立ち情報なのでいずれちゃんと書いとこうと思います。
 海外に住んでると殊の外役に立つのが主婦の方々のブログなんですね。旅行ガイドには絶対に乗らないけど暮らして居れば必要になってくる知識は主に主婦のブログが教えてくれます。男性はあんまり書きませんね、そういう生活お役立ち記事。トラブルをネタっぽく書くのは男性に多いんですが、結局どう解決したのか分からないのが男性ブログには多いです。対して女性のブログは、こうすると解決したよ、という具体的な回答があって大変役に立ちます。
 昨年だとゴキブリ対策ですね。これはもう女性の独壇場でした。

 さて本日はデュッセルドルフに行ってきました。昨年の春風亭一之輔さんの会で御縁を頂いたホテル日航さんに御挨拶とちょっとした相談事。
 デュッセルドルフは先の戦争で徹底的に爆撃をされてしまい、古い町並みはあまり残っておりません。また日本領事館が入った事もあってちょっとした日本人街になっております。前回行った時にはコスプレをして歩いている若い子たちがいましたし、着物を出せるクリーニング屋があってびっくりしたのを覚えております。アジア関係の食材も手軽に手に入りますので、ドイツに暮らして居ながら日本食オンリーも可能みたいです。
 伝え聞く話ではこちらのお住まいの日本人奥様がアジア食材店で「ポン酢が無い!」と叫んだことがあったとか。
 海外に暮らしていて瓶入りのポン酢なんて普通買える訳もないのですが、デュッセルドルフに住んでると買えちゃうんですね。だからたまたま売り切れだと「ポン酢が無い!」と声に出してしまうんですね。

 古い街並みが残っていないと書きましたが、そこはドイツでちょっと歩くとこういう素敵な光景に出合えます。
 良いなあヨーロッパ。

デュッセルドルフ1

 あとライン川に浮かんでいた船。
 ドイツの国旗と日本の国旗がはためいていたので何となく撮影。

デュッセルドルフ2

 打ち合わせも上々の内容で終わったので、前回行きそびれたデュッセルドルフ映画博物館へと向かいます。

デュッセルドルフ映画博物館

 この博物館は展示の撮影が出来ないのですが、映写機コレクションの展示が結構でございました。それから映画以前の視覚芸能についての展示も興味深い内容です。んでもって黒澤明コーナーがあってちょっと驚き。そんなに黒澤好きかドイツ人。入館料も大人5€とお手頃なので興味のある方は行ってみるのも良いかもしれません。
 Black Boxという劇場も持っていて、月に一度のペースで無声映画もやってるみたいです。俺も出さしてくれないかしら。その辺りは今後の交渉課題ですね。
 10月21日には北野武の『HANA-BI』を上映するみたいです。しかも16mmで。この時代の日本映画を16mmで見る機会って却って珍しいかもしれません。
 

 それから街をウロウロしていたら見つけたのがDüsseldorfer Marionetten-Theaterです。

 人形劇場

 9月19日から10月18日まで『Der Golem』がやるそうです。嗚呼、これは見たい。
 サイトを覗いてみると人形がちっとも可愛くないのよ。むしろ怖いのよ。
 僕は子供の頃に学校の課外授業で見る演劇が結構好きでしたが、いかにも子供向けっぽいお芝居は嫌いでした。演技が野暮ったいし、内容も予定調和で詰まらないし。もうちょっと大人の世界を覗き見させてくれるようなお芝居が好きだったんですが、ここの人形劇はそういう舞台なんじゃないかと期待してしまいます。
  
 ちょっと気になって「デュッセルドルフ 人形劇」で検索してみましたが、日本語だと全く情報が出て来ません。
 日本人観光客や駐在員の方には全く見向きもされていない劇場みたいなのね。うむむ、ますます僕好み。

 明日からはいよいよボン無声映画祭 Stummfilmtage – Bonner Sommerkinoが始まります。 
 これは通うよ、仕事だから。
 
 ボン無声映画祭2014

 それから最後に大切な事。
 今回の渡欧はアーツカウンシル東京の御助成を受けて行っております。感謝。 
 税金を使わせて頂いている身なので、一生懸命日本文化を欧州に売り込みますぜ。

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