『逆戻りだよ!全員、集合!!』 at 喫茶茶会記、 「黒澤明が愛した10本の映画」 at 新文芸坐にお越し頂いた皆さまありがとう御座いました。
『逆戻りだよ!全員、集合!!』 では『人生逆戻りツアー』の作者である泉ウタマロさんともようやく御挨拶出来まして、いままで僕の回りには居ない方向性の方でしたのでお話を伺うのが非常に楽しい一夜でした。チャネリング執筆など、本当に自分の知らない世界、概念が世の中には沢山あるものだと感心しきり。
「黒澤明が愛した10本の映画」 では『アッシャー家の末裔』を説明いたしました。この日はなんと立ち見まで出る大盛況で、むろんそれは黒澤和子さんのトークが次にあったからでもあるのでしょうが、ともあれ大勢のお客様の前でお喋り出来たのは大変に嬉しい事でありました。湯浅ジョウイチさんのギターで『アッシャー家の末裔』を演るのは、念願のひとつだったのですよ。また演りたいなあ。湯浅さん繋がりで言うと湯浅さんが楽長をされているカラード・モノトーン演奏の『折鶴お千』は良いです。物凄く良いです。これもいつかご一緒したい所。
さて本日は何とかいう預言者が日本に大地震が来ると予言した日らしゅう御座います。
それについては色んな方が、色んな言い方をしております。僕が一番信用しているのは地震学を学んだ事のある方の「地震の予知は可能です。ただし時期の特定に関していえば地球規模の出来事なので明日来るのも10年後に来るのも、地球にとっては誤差の範囲なんです」という趣旨の発言です。
僕は予言も神様も霊魂も、あっても良いんじゃないかな派ですが、仮に現在の我々にとって超越的な存在が種々存在していても、そんなに人間に都合の良いものではないだろうと思っております。世界ってのは人間なんか知ったこっちゃない巨大なスケールで動いているんじゃないかなと思うのですが、いかがでしょうか。
一方で地球上に膨大な数の生物がいながら人間のみが知性においては圧倒的に優れているのも興味深い所ではありますね。これって単に偶然なのかしら。よく分らんですね。
そんなこんなで知性的な生き物である人間の中では、おそらく下位の知性層に属するであろう処の私がポーランドに行く事になりました。演目は『雄呂血』『雷電』『子宝騒動』です。
上映情報は下記の通り。
● 12. Święto Niemego Kina "Orochi"日時/4月24日16時30分~
演目/『雄呂血』
出演/片岡一郎、Maria Pomianowska
会場/
Filmoteka Narodowa いままで詳しい情報を知らなかったのですが無声映画祭みたいですね。なんとびっくり。
二日続けての公演で、初日は『雄呂血』です。『雄呂血』は松田春翠のコレクションの心臓部ともいえる作品であり、当然春翠の十八番にもなっていて、その芸は春翠の弟子、私の師匠の澤登翠にも受け継がれています。そんな事情から意図的に手を出すのを避けていた作品なのですが昨年、キネカ大森オープン三十周年記念上映で初演した所、『雄呂血』を説明する場が次々に出て来ました。やっぱりこういうものはタイミングですね。キネカ大森オープンの時には春翠が『雄呂血』を説明し、また三十周年記念上映の時に阪東妻三郎のお孫さん田村幸士さんと知り合い、『李王殿下を奉迎して』のフィルム発掘に繋がった……。まことに『雄呂血』は弁士の運命を導くフィルムであります。丁寧に演らねば。
音楽はMaria Pomianowskaさんです。まだ会ったの事のない方なので楽しみ。
●12. Święto Niemego Kina "Rwetes/Bóg gromu"日時/4月25日18時~
演目/『雷電』『子宝騒動』
出演/片岡一郎、Wacław Zimpel
会場/会場/
Filmoteka Narodowa 二日目の演目は『雷電』と『子宝騒動』です。ちなみにですが私は自分の告知では上映作品ではなく、あえて「演目」としています。これは別に映画を下に見ているんではないのです。映画は好きだし素晴らしいと思います。でもこれからの世の中に無声映画を広げていこうと思ったら、やっぱり弁士や楽士という、現在生きている演者が表に出るのはとても重要なのです。「映画史の傑作ですよー。見ておかないと映画は語れませんよー」では新しいお客さんは増えないんじゃないか、そんな考えから「演目」なのです。
二日目のミュージシャンはWacław Zimpelさん。この方も初めての方。海外で何が楽しいって、日本語が全く分からないミュージシャンが、ちゃんと日本語の音を聞き取ってセッションになる所なんですね。これは弁士にしか味わえない快感かもしれない。

無声映画祭の特設サイトも見つけましたのでリンクをはっておきます。
12. Święto Niemego Kina●あるぽらんキネマ劇場 Vol.52日時/4月29日15時~
演目/『ロストワールド』
出演/片岡一郎、五十嵐正史(ギター)
会場/
あるぽらん’89料金/2000円(1ドリンク付)
ご予約・お問い合わせ/電話:03-3330-8341(PM6:30以降) メール:aruporan@nifty.com
アメリカから持って来た演目です。恐竜大好きっ子の僕の念願の作品です。
こういう作品は弁士ならではですね。いくら講談が歴史物といっても恐竜が出て来ちゃうと、それってどうなの?みたいな感じになると思うんです。恐竜が出てくる講談をやってる先生もいらっしゃるかもしれませんが。
ともかく自分の好きな演目一本勝負です。このところ小ネタアンソロジー形式が多かったからね。ここらで普通の映画上映もやっとこうかな、と。にしても毎回演目選びには苦労しますよ。そんなに自由に使える作品も多くないからねぇ。どうしたもんかねぇ。『霊の審判』の再演とかも演りたい気もしてるんですが。
●1度はスクリーンで観ておきたい――ゴールデン名画劇場日時/5月4日13時15分~
演目/『夜ごとの夢』
出演/片岡一郎、天池穂高
会場/
神保町シアター料金/1,500円 (◆トーキー作品 =一般¥1200/シニア¥1000/学生¥800)
成瀬は城戸所長に「松竹に小津は二人いらない」と言われて新天地を求めPCLに行ったとも言われています。けれど映画ファンに言わせれば「小津とは全然違うじゃん」ともなる訳です。でもやっぱり似てもいる。不思議な相似が二人の間にはあって、比べれば比べる程にていないのに、ぱっと見は似ている。
どう似ているのか、どう似ていないのか、そんな辺りを『夜ごとの夢』ではお楽しみ頂きたいと思います。主演は何たって栗島すみ子ですよ。田中絹代が恐れおののいて近づくのを嫌がったという、撮影所で若い所員がキャッチボールをしていて自分が通れば当然ボールを投げるのを止めるもんだと思って自然に所員の間をすり抜けて行ったという、あの栗島すみ子ですよ。大正時代の『不如帰』の頃はまだ可憐な娘役ですが、本作では相当な貫禄です。ちなみにお婆さんになってからの写真は貫禄が着物をまとっているかのような方であります。どう語るかね。楽しみだね。
●春のぐらもくらぶ祭り2015 『音と影』 ~戦前日本における映画と音楽の融合日時/5月24日14時~(第一部)、16時30分~(第二部) *入れ替え無し
内容/
第一部 戦前日本における映画と音楽の融合・サイレントからトーキー、その成熟期
無声映画期の映画伴奏 / 紙恭輔と映画音楽 / エノケン映画とジャズ / 貴志康一と映画 / ミュージカル映画の世界ほか
第二部 夢想する無声映画の進化
現代における気鋭音楽家と活動写真弁士による伴奏つき無声映画の再現。
新垣 隆らによる無声映画音楽についてのトーク / 新垣 隆(ピアノ)、大谷能生(サックス)の即興演奏による無声映画上映 / 片岡一郎(活動写真弁士)、新垣 隆(ピアノ)による『己が罪作兵衛』(1930年・松竹蒲田作品)の上映
出演/大谷能生(音楽家) 、佐藤利明(娯楽映画研究家) 、 毛利眞人(音楽評論家) 、 保利 透(アーカイブ・プロデューサー) 、片岡一郎(活動写真弁士)、新垣隆(ピアニスト)
会場/江戸東京博物館ホール(両国)
料金/ 2.000円(当日券/ 入れ替え無し)
※博物館併設の駐車場の出庫は17時30分までとなっておりますのでご注意ください。
こういうトーク―ベントの難しいところは、本当に確実な事だけを正確に話そうとすると、たいして話せることが無いってことでしょうか。無声映画時代の事って、本当によく分らないんですよ。伝聞でこうだったらしい、は知識としては持っていても、本当にそうだったのかと聞かれればちょっと自信がない事も多々あります。こういうイベントで互いの知識を持ち寄って、意外な事実が確認できたら嬉しいですが、さてどうなりますやら。
『己が罪作兵衛』はネタおろしです。お客様の紅涙を絞る出来になるやならずや。乞うご期待。
●新垣隆の世界 Vol.2日時/7月28日19時~(18時開場)
演目/『浮草物語』
出演/新垣隆、片岡一郎、アーロン・ジェロー
会場/
晴れたら空に豆まいて料金/前売り3,500円、当日4,000円+1D(600円)
予約/晴れたら空に豆まいて
予約フォーム 新垣隆の世界 Vol.2はイベントタイトルが変わりそうな風向きです。別に揉めた訳じゃないんですが、色んな人が関わっていますから違うタイトルの方が内容に即しているんじゃないか、という意見も出たりなんかしまして。まあタイトルが変わってもやる事が変わったりはしませんので、そのまままっすぐにやるだけですが。
新タイトルが正式に決まりましたらこちらでも告知いたします。既に予約済みの方(いるのか?)はどうぞご心配なく。
ちゃんと新垣さんの音楽を堪能できる構成に致しますので。