いまこそ、『戦艦ポチョムキン』をやらねば! と、意気込んでいたのですが、連日報道されるウクライナの惨状を見ていると現実の重みを思い知らされ、映画上映で出来る事は限られているよなとも思ったりもしたのでした。
それでも出来る事をやっていかないとなりませんけれどね。
さて、昨年開催され好評を頂いたカツベン映画祭が今年も開催されます。
去年は客席数半分という事もあり、全公演満席でしたが、今年は全席解放です。
昨年の様にはいかないでしょうが、ここで勢いを落としてウヤムヤにしてしまわず、きちんと皆様にお越しいただいて定番企画に育てたいと思っております。
だって無声映画って、0
素晴らしい文化なのですから。
●第2回 カツベン映画祭
開催日/2022年6月3日(金)
開演時間、出演者、作品/
Aプログラム
10時00分~
虚栄は地獄/尾田直彪
漕艇王/山内菜々子
キートンの鍛冶屋 The Blacksmith/山城秀之
(上記三作品の楽士:坂本真理(キーボード)
Bプログラム
肉体と悪魔 Flesh and the Devil/澤登翠、湯浅ジョウイチ(ギター)、鈴木真紀子(フルート)
Cプログラム
天保泥絵草紙/坂本頼光、宮澤やすみ(三味線)
Dプログラム
何が彼女をそうさせたか/大森くみこ、鳥飼りょう(ピアノ)
Eプログラム
大人の見る絵本 生れてはみたけれど/山崎バニラ
Fプログラム
狂った一頁(染色版)/片岡一郎、上屋安由美(ピアノ)
会場/武蔵野館
料金/1プログラム:2000円(全席指定・入替制)、通し券:6000円(マツダ映画社にて販売)
チケット取り扱い/武蔵野館(5月20日(金)正午より)、マツダ映画社(5月2日より)


私の説明担当は『狂った一頁』、しかも修復されたばかりの染色版です。
『狂った一頁』は衣笠貞之助が中心人物の一人となって組織された新感覚派映画聯盟によって、日本映画の革新という大いなる野望を秘めて制作された作品でした。ところがいつの時代でも同じですが、余りに尖った作品は受け入れ先が見つからず、あわやお蔵入り、という危機下にあったとき、武蔵野館の主任弁士であった徳川夢声らの推挙で上映が決まったという経緯があります。
すなわち武蔵野館で『狂った一頁』を上映すること、見ることは、まさに映画史を追体験するのと同義であると言っても良いのです。
もちろん私に夢声先生の様な説明が出来るとは思っていませんが、現役弁士で同作の説明をしたことがあるのは私だけでもあり、この機会にどうにか『狂った一頁』を説明できないかとお願いした所、ご快諾を頂きました。しかも、私が『狂った一頁』をやりたいと言ったまさにそのときに、染色版の復元が国立映画アーカイブで進められているとは知る由もありませんでした。今回は奇跡的なタイミングで國銃映画アーカイブでの35mm・無声上映と、武蔵野館でのデジタル・弁士楽士付上映が立て続けに行われる結果となった訳です。
こういう偶然を生むのも、弁士としての嗅覚というか、私の人間としての徳の高さ故で御座いましょうか。
んなこたありませんが。
ともあれ、娯楽作、前衛策、重要作取り揃えてのカツベン映画祭にお越しくださいますよう、心よりお願い申し上げます。