
なのでありましたよ。今回の上映作品は『アッシャー家の末裔』といいまして1928年フランス映画であります。監督はジャン・エプスタン、原作はエドガー・アラン・ポーという作品データだけでも何やらもう、という作品であります。この作品は以前の活動倶楽部でも同じく柳下美恵さんの演奏で上映されたのですが、今回はさらにしゃあみんさんのチェロ(いやセロといいましょうか)と佐藤みづほさんの歌が加わっての上演となりました。補足で言うとこの会は二部構成で一部が三人のミュージシャンによる音楽会、第二部が映画と音楽による上映会でした。さらにさらに補足すると進行役はアタクシ、片岡一郎が僭越ながら務めさせて頂いた次第。
こちら大倉山の上映会は昨年もお邪魔させて頂いておりましたが、何と言ってもこの場所は雰囲気がとてもよろしい。サイレント映画を観て、場内が明るくなった後にも周囲の空間が重厚なので夢が覚めないのですな。映画の続きに自分が居るような感覚になる。もっと言えば上映中にふと映画から目を離して辺りを見ると映画と建物が渾然としていてサイレント映画の中に絡めとたれてゆくような錯覚を覚えるのです。
映画に限らず娯楽というのは飲酒やなにかも含めトリップの快感を求める部分があります。現実からの離脱とは甘美な誘惑なのです。そうした時にこの場所での『アッシャー家の末裔』は持って来いのプログラムと言えましょう。この映画は過去数度観ておりますが、今回初めて怖いと思いました。これまでにもある種の感動は感じた映画でしたが無声映画で怖いと思ったのは初めてかもしれませぬ。痛そうで怖いは除きますけど。
痛い無声映画の代表作は『アンダルシアの犬』が挙げられますね。あのシーンは未だに身構えてしまうのです、ワタクシ。しかしマツダ映画社に保存されている『少年野口英世』も中々に痛い映画でした。野口英世少年は赤ん坊の頃の事故で片手の指が引っ付いちゃってるんですね。だけれども非常に優秀で勉強熱心な彼は、指を個々に動かせるようになる為の手術を受けるのです。この時、映画の中の野口英世少年は「麻酔をかけないで下さい。僕本を読んでるから平気です」とか言って手術を受けるんです。
痛てぇよ馬鹿野郎。
ちったあ観てる方の負担も考えて映画を造って頂きたいものです。
え〜まあ、とにかくサイレント映画の上映には環境も大事よ、って話でした。何のこっちゃ。
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