知人の野口聖員さんが出演の舞台でした。
「嘲笑のオペラ ~近松門左衛門作品より/冥土の飛脚・女殺油地獄など~」

 歌舞伎、いやさ近松作品を原典にした舞台でありました。

 歌舞伎は不思議な芸能です。長きに渡りある種の格を保持し続けていて、古い物だとそれだけで馬鹿にするような人にもそれなりの権威を持って迎えられるのは歌舞伎の他にそうはないのではないかと思います。
 
 活動写真の地位の低さったらないのよ。余談ですが。

 そんな歌舞伎ですから多くの作家や舞台人によって、勿論歌舞伎の中からも繰り返し作り直されています。本作もそうした連綿と続く歌舞伎プロジェクトの一環なのかも知れません。

 この公演での演出は役者に演じさせないように演出したとか。演技において「演じることなかれ」という原理は比較的よく用いられます。役者に演じることを禁じる二律背反は確かに立派な演出ですが、その逆説的な発想は素人の心も捉えるものでして、下手な役者や馬鹿な演出家も得意顔でで同様の事を言っているのに遭遇する事があります。それほどまでに演じないという事は難しいのです。我々は誰しもが日常的になにかを演じております。その演技を捨てる事は並大抵の苦労ではないのですね。

 そんな訳ですから、この公演で役者さん達が演技を捨てられたのかどうか、それは簡単に判断してはいけない事なのでしょう。あえて言えば捨てられた瞬間もあれば捨てられなかった瞬間もあるってトコでしょうか。しかし、そうした不完全さ故にこの公演は極めてナマものでありました。完成品でない舞台でした。楽しい舞台でありました。

 大体、芸ってのは基本的に未完成品ですよね。あ、でも神事芸能だとどうなのかしら。もっとさかのぼってシャーマニズムや降霊まで含めると完成品である事が重要になってくるのか…。

 命題を否定して終わる文章ってのも、これまたつまり未完成でありますよ。
スポンサーサイト
|10/03| 舞台コメント(0)TB(0)












 管理者にだけ表示を許可する

http://kaitenkyugyou.blog87.fc2.com/tb.php/186-e39cf22a
この記事にトラックバック(FC2ブログユーザー)