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 某月某日某所ニテ『落語天女おゆい』ノ1話2話ヲ観ル。

 小生落語ファンでありますから気にはなってましたよ、そりゃね。でもウチじゃ映んないし、努力してまで…てのもあって未見でした。それをようやく1話と2話だけですが観ました。別に某所といって隠す事もないのですけれど。

 ん~、で、感想ね。「こういうのもアリかな」ってとこでしょうか。良いんでないですか。こういう企画が通るあたり落語が盛り上がってるのは間違いないですし。活弁天女、うふっ、噴飯物ですな、こりゃ。

 アリとは言ったようなものの堀内賢雄氏演ずる処の三遊亭圓朝の口演する落語の酷さと、歌丸師演ずる処の桂歌丸(つまり御本人)の声優としての演技の下手さが耳に残るアニメではありました。落語の下手な圓朝ってのも新しいには違いないですが、にしても落語になってないんだもの。ありゃあどうしたらよいものか。

 別に堀内氏が悪いと言ってるのではないのです。同じ声の演技でも声優と落語ではテンで違うって事が言いたいだけなのです。

 脇道に逸れますが堀内氏、昨年今年と無声映画にライブで声を付ける「声優口演」にも出演されてます。今年は聴いてないので感想は避けます。あんまり嫌われたくないし、僕。

 話を戻しましょう。堀内氏の圓朝師を演ずる演技は別に文句はないのです。ただ落語は駄目ってだけ。で、歌丸師匠の声優としての演技も声の出し方からして違う訳です。一人浮いてる感じ。これは一つの役を演じ、かつそれが録音物である事が前提となっている声優の演技と、複数の役を演じわけ、ライブである事が前提となっている落語の差でもあります。勿論、それを承知で歌丸師匠や小遊三師匠を登場させているんでしょうから、これにも別段文句はありゃしません。別段文句は無いから感想が「こういうのもアリかな」になるのです。

 でも感じるところは大いにありました。というのも我々活動写真弁士は兼業が多いもんですからね。斯く言うワタクシとて例外ではなく声優とやらをかじっている体です。つまり、現在の私は弁士と声優の演技の差について日々煩悶している最中なのです。

 嘘を書きました。日々はしてません、月に一度位です。

 弁士と声優。こりゃあね、違うものですよ。息の使い方がそもそも違うんです。息っても特別な呼吸の事ではなく間の事ね。徳川夢声先生は弁士が映画の付属物であることに時折ガッカリしていたようですが、声優はそういう意味ではさらに付属物でしょう。台本を自分で書くでなし、全部喋る訳でなし。付属物が悪いってんじゃないですがね。でも落語が好きだった夢声先生にしてみたら不満であったろうと落語ファンのオイラは思うのです。

 演技は心でするものだ。
 
 という命題を聞く機会が増えたのは声優に関わったからかもしれません。つまり心が動くから言葉になる。口先で演技をするな。という事であります。まあ正しい。

 演技の根は一つだ。

 という命題も聞きます。つまり声優だろうと舞台俳優だろうと映画俳優だろうと何であろうと、演技の本質は同じで後は方法論の違いだという事です。これもまあ正しい。

 しかもこの二つの命題は密接に絡み合っていて、いつのまにか奇妙なスパイラルを生み出します。二つの命題を強引に結びつければ

 心が伴えばどんな演技だって出来る

 という論理が完成します。これも間違っているとは言いません。言いませんが多分にロマンチックな言説であるのは事実であります。むしろ間違っていないからこそ、この理論はタチが悪いと言えます。だって、実際に出来るかったら出来ないもの。ジャンルが違うということは大きな問題なのです。舞台の名優が映画に出ても名優でいられるかというとそうではない。逆もまたしかり。舞台と映像で両方とも良い俳優って何人います?杉村春子と当代中村屋と、あと何人います?殆どいないでしょ?いねぇんだよ。両方出来るって事はそれだけ凄い能力なんです。「心が伴えばどんな演技だって出来る」みたいな言葉は簡単に言ってはイカンと思うのですが、アナタどう思います?

 演技について語るとき「心」に関しての話題は多いのです。でも、「身体」に関しての話題は「心」と比較すると少ないです。特に声の仕事をする人間の間ではね。しかし演技の演は心でも、技は身体なんですよ。だからもっと身体論を語らねばならないのです。我々は。歌丸師の声優が下手で、堀内氏の落語が酷いのも「心」の作用ではなく「身体」の作用なのです。

 貞水先生が「東京かわら版」のインタビューで「講釈師はカラオケで歌った時『あれは講談だよ』っていわれるようでなくちゃ」というような事を仰ってらした言葉で心に残っているのです。オーバーな言い方ではありますがコラボとかメディアミックスとかが当たり前の世の中で「らしさ」というのはもっと大事にされるべきでありましょう。人間の心なんて大して違やしないのです。それぞれの差=らしさは身体が生み出しているのです。演技に限った話ではなく、身体を見直す必要があるのかもしれません。

 とりあえずパソコンから離れて外で走ってくる事を薦めます。
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|11/05| もやもやコメント(0)TB(0)












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