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 文化というのは便利な言葉です。この言葉を使えば多くのことが正当化できてしまいます。たとえそれがインモラルなものであっても「文化なんです」と言えば聞いた側は不快ながらも了承せざるを得ません。

 不倫は文化だ

 見事な命題ではありませんか。世界各国、不倫の無い場所はありますまい。これを言ってのけた某氏のセンスは素晴らしいものがありますね。我々の大先輩大蔵貢による「妾の理論」に匹敵する男女感と言わねばなりません。

 人殺しは文化だ、と言われて否定できるでしょうか?盗みは文化だ、暴行は文化だ、差別は文化だ、盗作は文化だ、どれもが通常文化だと思っているものの中に巧妙に潜んでいるものばかりで御座います。

 文化を守る為に○○をすべきだ。文化を守る為に○○を言っておきたい。

 これらも非常によく聞く言葉です。しかし冷静になってみると極めて私的な利潤を守る為に文化が利用されているパターンが極めて多い。お金を儲ける側の理論によって利益と文化がすり返られるんですな。

 勿論、映画にしろ美術品にしろ制作にも保存にもお金がかかります。「金儲けの出来ない芸術なんて存在しない」とは誰の言葉でありましたか…。そういう考えもあります。だからお金儲けを否定しないのでありますが、にしてもどうも文化を上手い事利用している人が多すぎる気がする。少なくともメディアからの取材時だけ口から出てくる「文化」は文化ではありますまい。

 旧聞に属しますが、数ヶ月前に黒澤明監督の廉価DVDが販売差し止めを言い渡されました。その後の動向は聞いてませんが、その時点では判決が出た訳です。もろもろ調べますと映画会社側の弁護士さんが非常に丁寧な仕事をしたらしいのが伝わってきます。著作権法のそもそもの成り立ちにまで遡っての主張は見事な説得力を有しています。もっとも気になるのは映画が監督の著作物であると認定された時に監督のご遺族の方々が「え?!ウチのお父さんの著作物なのに一円も貰ってない」みたいな話になったらどうするのかという事です。『ローマの休日』で著作権を監督の物としなかったのはそういう理屈からだと思います。日本人はまだまだ権利の取り扱いに弱いですから、そんな主張はしてこないだろうと思っているのか何なのか。

 ま、そんな事は今自分が言いたい事とは関係が薄いのです。そもそもこうした著作権の問題がクローズアップされるのは文化の値段が幾らになるか、世間でも気になっているからに他なりません。日本の映像ソフト(音楽ソフトもですが)は高い事で有名です。日本のソフトなのに海外で発売された物を逆輸入した方が安くあがることは珍しくありません。あまつさえ逆輸入を妨げようとする制度もあり、それを文化の為と言っているのですから文化って何?との思いは益々加速します。黒澤作品と文化の値段に話を戻しますと、廉価DVDは1000円で買えた、対して東宝発売版は6300円で販売されていました。この差はどこから生じるのか?さらに普及版として東宝からは同一の作品が3990円で発売されました。この差もまた不可解です。

 黒澤明作品の適価は幾らであるのか?

 文化に値段を付けるのは責任が伴います。その辺を考慮した上で値段設定をして頂きたいと思うのです。しかしながら普及版に付いていた帯に「お求めやすくなりました」とか何とか書いてありましたが、文化云々は別にして庶民の感覚とは明らかなズレを感じます。幾度となく再映、放映、販売されてきたコンテンツが新作よりも高い値段で売られて「お求めやすく」はないだろうと思うのですがいかがでしょう?

 文化なんて本当は軽々しく口にする言葉ではないのかも知れません。
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|12/07| もやもやコメント(2)TB(0)
内藤
製作者連盟に加入している会社(旧5社等)の映画は、監督・脚本・音楽は二次使用の印税が派生します。従って、黒澤さんのご遺族にも支払われている筈です。
しかし、これは著作隣接権であって、日本の著作権法では、監督には著作権はないのです!
今回の廉価版裁判で映画会社が主張した、監督は映画の著作権者であるという見解は、監督協会が長年、主張しているにも関わらず、法律を作ったお国と映画会社には聞き入れて貰っていない意見なのですよ。
つまり映画会社は己に都合のいいように、今回、意見を変えた訳ですね。今後の展開が気になるところです。
ところで、13年前に私の監督したVシネマが、私の知らない内にDVD化されていました! それも、¥525、と「名作映画」並み!
メーカーは倒産しており、恐らく債権者の中の何処かが権利を叩き売ったのでしょうが、監督には何の連絡もなし。
これが日本の文化の現状です。
2007/12/09 03:00* URL* [ EDIT]
【ぐるぐる☆どかん】
……なるほど。
「○○とは何ぞや?」
これを考えるときりがないコトは多々あります。

ひとつ思いましたのは、文化とは
現状から目を背けるための手段かも知れぬ、
ということです。

話はかわりますが、
いつもRSSでテキストだけ読んでおりました。
この、女の子の表紙?は……やられました。
2007/12/09 14:25* URL* [ EDIT]












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