山田無声

 誰も待たない連載企画、弁士列伝の二人目は山田無声です。この人知ってる?知らねぇだろうな。マァいいや。

 山田無声(やまだむせい)、本名を山田東吾という。1905(明治38)年1月1日東京都京橋区の生まれである。1922(大正11)年早稲田大学文学部に入学するも二年で中退。松竹大船撮影所脚本部を経て映画説明者となる。弁士になった経緯は不明だが昭和7~10頃は日活封切館帝都座に在籍していたようで、無声映画晩期まで弁士として活躍していた事が伺える。現代劇を専門にしていた。ちなみに当時の帝都座主任弁士は谷天郎、同僚には森田天倫、近江錦堂、渡辺狂花がいた。
 1937(昭和12)年に日活多摩川へ俳優として入社、北竜二と名乗る。所属していた帝都座が日活封切館であった事を考えるとコネ入社だったのかも知れない。俳優デビューは内田吐夢監督の『限りなき前進』であった。出演には『軍国の花嫁』等の主演作もあるが基本的には脇役で活躍する。特に小津作品『彼岸花』『秋日和』『秋刀魚の味』では独特の存在感を見せた。1972(昭和47)年4月16日に亡くなる。トーキー化により生活で苦労した弁士が少なくない中で、名脇役として地位を築き生涯を芸能界で過ごせた山田無声=北竜二は幸運であったといえよう。
 レコード吹き込みは山田無声として単独での吹き込みは無いが『水兵の母』を谷天郎、本多善郎『噫橘大隊長』を大谷三郎、他『大楠公』を同じく大谷三郎『酒は涙か溜息か』を叙情物語として歌手の三木和夫『濱の朝焼』を歌謡物語として杉村芳江と吹き込んでいる。『水兵の母』が昭和8年5月『濱の朝焼』が同6月の発売である。発売は全てリーガルレコード(日本コロムビアのレーベル)である。筆者は『濱の朝焼』以外の4タイトルを所蔵している。
 
 昭和13年12月にテイチクから北竜二なる説明者が『祇園の花嫁』という映画説明のレコードを発売している。現物に当たれていないので、この北竜二が山田無声であるか判断出来ないが、それ以前に北竜二という説明者のレコードが見当たらないことや、発売時期が日活入社の翌年という事から考えて俳優転向後の吹き込みである可能性は高い。
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