アキバの件

 本日は国会図書館でウロウロしてました。調べ物をしてるといつも思うことは「弁士辞めて調べ物に専念したい」って事なのです。根っからのインドア派ですので。んまあ弁士だってアウトドアでは断じてないのですけれど。

 ええと、ホントは昨日書きたかった事ですが、今日になってしまいました。ちょっと予想通りかつ、嫌な方向にむかっておりますね、無差別殺人事件の話。

 この事件の最大の問題は悲劇が秋葉原(というかアキバ)で起きてしまった事でしょう。幾つかの報道を見ましたが、どれも「秋葉原で無差別殺人」というような見出しでした。事件がどこで起きたかを伝えるのは報道の大事な役割ですが、今回はチト毛色が違うように感じるのです。

 本質的には殺人はどこで起きようが殺人です。新宿だろうが、練馬区東オオ泉だろうが、火星だろうが同じなのです。なのにどうでしょうか、この「秋葉原」という冠付けの威力は。明らかに地名がフィルターとなり事件の本質を見え辛くしています。まさか警察は事件が秋葉原で起きたからといって捜査に影響を受けるような馬鹿な真似はしないでしょうが、面白がりのメディアではそうはいきません。犯行予告とみられる書き込みを引っ張り出したり、ネット論争の事実を暴いたりとアキバ=ネットの構図の中でしか事態を解釈する気がないうようにしか見えないのです。

 彼が犯行に及んだのには幾つもの理由が重なっての事でしょう。でもね、ターゲットを「アキバ」に選んでしまった事については淵源をメディアに求めざるを得ないと思うのですよ。

 最近のテレビ、雑誌における秋葉原の扱い方はちょっとまともで無いと思っていたのです。ラーメン、温泉、ペットが困ったときのテレビ番組三種の神器だそうです。この三つをテーマに番組を作れば最低限外さないと言われているとか言われていないとか。事実の程は分かりませんが、こうした三種の神器に近頃は「アキバ」が加わっていました。極めて安易な形でのアキバ特集が乱発され、端から見ていると毎日お祭りをしているかのような印象を持たせる街、それが昨今メディアで描かれるアキバ像でしょう。フラストレーションが溜まった人間の標的にされるのも理解できます。

 あの街は昔からマニアックな街でしたが、ほんの数年前まではここまで乱痴気騒ぎの繰り返される土地ではなく、基本的には用のある人だけが降りる駅であったと認識しています。それをあんなにしてしまったのはメディアでしょう。決してオタクがこうなる事を選んだからだけでは無いのです。元来オタクはメディアに対して非常に敏感です。オタクはお宅であった事からも分かるように、極インドアな人達の事をお宅と呼んだのです。それがいつの間にか持て囃され、オタ芸なる身体言語まで獲得するようになってしまって「オタク」が生まれてしまっては原義に近い「お宅」は存在する場所がありません。そこで「ニート」が発生してくるのですが、それはともあれインドアライフの達人である彼らはメディアから情報を取り込むの上手いです。それは無防備と言えるくらいかもしれません。

 彼らの(というか私も同種の気質を持ってるのですが)吸収能力とメディアが仕掛ける、たとえば電車男の様なパターン化されたオタク像が混ざり合って現在のアキバは形成されています。トポスという言葉をここで使うのが適当かどうか判断に苦しむところですが、ある意味特殊な「場」が成立しているのはご承知のとおりですね。トウの立ったアイドルもどきが尻を見せて喜んでいたのも「場」のなせるわざでしょう。銀座の歩行者天国では充分な満足は得られないと思います。

 さて、無差別殺人に戻りますが、なにが嫌かというと、ああした事件が起こるような場所にしたのはメディアである筈なのに、私が確認した範囲では誰もその事を反省していないという事です。秋葉原には古いお店も少なくありません。そうした部分には触れず、世紀末的な宴の風景ばかりを垂れ流していた事実を、簡単に言ってしまえば都合よくあの街を利用してきた事に対する反省がまったく見られない事が嫌なのです。全てが文化的である必要はありません。享楽的結構なのです。しかし最近のアキバムーブメントはやっぱり常軌を逸していたのではないか、そんな風に思ったというだけの事をこんなにもグダグダ書く私の程度も知れております。

 怪我をされた方の回復と、亡くなった方の冥福を祈ります。それはこうして自分の話題にしてしまった者の義務でありましょう。

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●第602回無声映画鑑賞会 [第四回澤登翠一門会]
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 日時/9月29日(月) 18時30分〜
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