散り行く花 学士会館

 やたらにポエティックな表題で…。

 神田の学士会館で定期的に行われている師匠の会でした。上映作品は『キートンの探偵学入門』(1924年・米)と『散り行く花』(1919年・米)の二本立て。『キートンの探偵学入門』は日本で公開された当初『忍術キートン』と題されてました。んが、誰が付けたかは知らねどもあんまりっちゃぁあんまりなタイトルなのでリバイバル公開の時に『キートンの探偵学入門』になったというシロモノです。どっちみち優れたタイトルではないのですが忍術よりはマシかね。原題は『Sherlock Jr .』これもまぁ、ってタイトルですが。

 映画のタイトルというのは原題をいじる事は勿論できません。しかしそれぞれの国での公開用のタイトルは配給業者が自由に決めていいのだそうです。ですから『忍術キートン』のような珍妙なタイトルが生まれるという訳。最近では『Napoleon Dynamite』のリリース時に電車男ブームの余波が残っていたことから『バス男』というタイトルになった例も御座います。これなどは大変に評判が悪い。ただ、このセンスの無さ、作品に対する愛情を感じられない邦題がいくらか宣伝になってましたから業者の思うツボだったのかも知れませぬ。こうしたタイトルの中で傑作だと個人的に思っているのが『The Turning Point』(1977年・米)で邦題を『愛と喝采の日々』といいます。素晴らしいセンスぢゃあ御座いませんか。

 この日のメイン作品は『散り行く花』で、原題を『Broken Blossoms. 』といいます。直訳ではありますが良いタイトルですよ、これは。この映画史に残る作品はアタクシが初めて師匠澤登翠を観た作品でもあるのです。言うなれば人生を変えた映画ですな。当時浪人中でありながら演劇の稽古に明け暮れるという親から見れば最悪の長男であった私は、弁士付無声映画上映会のチラシを観て驚き、すぐさま前売り券を購入したのでした。何しろ活弁の知識はあったものの現役の弁士がいるとは一介の高校生が知る訳もなく、その衝撃たるや大変なものだったことをとても良く憶えております。そして公演当日の衝撃、無声映画とは活弁とはこんなに面白い物でありしかと若き片岡青年は興奮気味に帰宅して、その日の感動を親に話して聞かせるという感動振り。そんな話を浪人中の息子から聞かされる親の心境は今になって解りますが、当時はそれどころぢゃなかったんですよ、まったくのトコロ。

 あの日、『散り行く花』を観ていなければ、師匠の活弁に触れていなければ今日の私は居ないのですから縁とは不思議なものでアリマス。その思い出の映画をこの日は私が映写したのです。まさにあの日のフィルムを自分の手で映写機に掛けて、光を出したのです。上映中、感慨深くなって頭の芯が痺れてしまいました。感動していたのです。

 ただまあ、そのあと、あるミスをしてしまい、師匠に怒られて感動は五分で終わるという落ちまで付いてしまったのですが。

 
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|02/16| 活弁コメント(0)TB(0)












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