マイケル・ジャクソンが亡くなりました。
 ファンではありませんでしたので、悲しみはないですが、それでも衝撃は受けるものです。連日の報道はおそらく誰もが感じている衝撃を表しているものと思われます。

 連日報道されるという事は、連日コメンテーター諸氏が何らかの発言をしているという事であり、私が見た、いくつかの発言はマイケル・ジャクソンをどう捉えるかではなく、コメンテーター個人とマイケル・ジャクソンの距離感を示すだけの結果に終わっているものが多く、アドリブは苦手なんだな、と思う訳です。

 なんに致しましてもThe King of Popの称号は伊達ではないのでしょう。政治の表層と、芸能人のゴシップにイチャモンつけて日銭を稼いでいる手合いには総体を押さえる事が困難なようでアリマス。それだけで凄いぞマイケル、と喝采を送りたくなるのでして、ついでにファンでもないアタシが芸人としてマイケルを語ってみようかしら、というか思ったことを久しぶりにつらつら書いてみたくなったので、マイケルを肴にちょいと一杯やろうよお前さん、という心持であります。

 マイケル・ジャクソンについて何か考えるとき、どうしても話題に上げなければならないのが繰り返される整形でありましょう。あの精悍な黒人であった彼が、いびつな白人になっていく過程は大衆の理解を超えるものでありました。あんなに成功した彼がどうして、という論調もありますが芸人的感性からいえば、成功に見合う容姿は白人でなければならなかったのでしょう。

 思うにマイケル・ジャクソンはアメリカンドリームの体現者であったのです。恵まれていた訳ではない幼少時代を経てスターダムのトップに登り詰めた成功は、誰にでも等しくチャンスがあるアメリカ、永遠に発展に続けるアメリカというアメリカンドリームそのものに写ります。しかも彼は被差別対象である黒人でしたから、アメリカンドリームの現実性をますます補強する結果になったのだ、と。

 黒人でもスターになれる。

 これをアメリカンドリームと言わずしてなんと言いましょうか。
 申すまでもない事ですが、そんなものは幻想です。誰にでも等しくチャンスが与えられる筈も無く、発展を続ける訳も無い。誰だってそんな事は分かっている。だからこそ、夢を見続けるためには象徴が要るのです。日本が万世一系の神聖に護られているという幻想を見続ける為に天皇家が必要である様に。

 天皇家はいいの。彼らはそれが仕事だから。アルカイックスマイルという、それこそ神業の微笑を湛えて象徴であり続けることが役割なのだから。でも、マイケルは象徴になることが仕事じゃなかったのね。彼は天皇家に比べりゃずっと、遥かに普通の人なのです。そんな普通の人が国家的幻想の象徴を背負わされてご覧、持ちこたえられる筈が無い。

 だからこそ、マイケルは白人になろうとしたのだと思うのです。白人になれば、彼の成功はアメリカンドリームではなくなる。つまりは成功と容姿のバランスが取れるのです。

 ここでもう一人、近年のアメリカで大成功を収めた黒人を思い出さねばなりません。いわずと知れたバラク・オバマ現アメリカ合衆国大統領であります。

 マイケル・ジャクソンは1958年生まれ、バラク・オバマは1961年生まれ。ほど同世代と言ってもいい彼らには黒人としての自分をどう扱うかで決定的な違いがありました。繰り返す手術で白人になろうとしたマイケルに対し、黒人と白人の混血でありながら、むしろ黒人の部分を強調したオバマ、という違いです。私の知る限りオバマを指してアメリカンドリームと称する論調はほとんどありません。それはオバマが長い準備期間を経て表舞台に現れたからでもあり、ヒラリー・クリントンとの壮絶な戦いを全世界に発信され続けたことで突然成功を掴んだ様に見えなかったからでもありましょう。

 オバマ大統領に求められるものは、現在の大不況をどうにかすることで、夢を見させることではないのですね。そしてそれは流石のアメリカ人も夢を見続けられなくなった事を示しています。

 黒人が大統領になった、のであって、黒人でも大統領になれる、のではないのです。

 それは極めて現実的な認識です。

 永遠の発展は今どうしようもなく否定されています。そこへ黒人が大統領になりました。それでも収まらない不況。世界に冠たる自動車産業の崩壊。

 マイケル・ジャクソンの死は彼自身の問題であって、世界情勢とは関係の無いことです。けれども、彼の死はアメリカンドリームの崩壊を決定付けた様に思えて仕方が無いのです。
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|07/02| もやもやコメント(0)TB(0)












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