バニラに紹介されたらホントにアクセス伸びてやんの、やだネェ、どうも。仕方がないので彼女についてチト書くことします。

 先年お亡くなりになった方ですが、アタシの尊敬する講釈師に神田伯龍という先生が居ます。居た、と言うべきかもしれないけれど、とにかく居ます。この先生は20程も年の離れた奥様がいらして、この方とバニラのお父っつあんが同級生だそうな。
 
 ある日、バニラをテレビで観た伯龍先生、おかみさんの同級生の子供であることを聞かされたのでしょう、珍しく若い人を褒めました。曰く「女の講釈師より、この子の方が良い」だそうです。何が悔しいといってアタシは伯龍先生に褒められるどころか聴いて頂いた事すら無いのです。ステージ上で対談した事はありますが、それは芸ではナイ。嗚呼、何と羨ましい妬ましい。

 伯龍先生の思い出は一ファンとして拝聴していた客席からの印象が殆どです。その雰囲気は紛うかたなき芸人そのものでした。顔もたたずまいも今の劇場ではない釈場の空気を持っていました。話す言葉は正真の江戸弁でした。例えば「芝居」という単語があればこれを「しばい」と発音せずに「しばや」と発音していました。しばや、の最後の「や」がポイントで「い」と「や」の中間の微妙な音なのです。とても美しい響きの言葉でした。現代人に江戸弁で芝居を読ませれば「しべえ」と読んでしまうのではないでしょうか。言葉は生き物ですから変化していくのは仕方ないとしても「しばや」が失われてしまうことに悲しみは強く覚えます。さらに言えば伯龍先生の持ち根多は二千とか四千とか仰っていました。さしもの談志師匠も「嘘だろう」と突っ込んでいましたが、現在演り手がいなくなってしまった連続物の講釈を膨大な数記憶されていたことは間違いのないことです。

 弁士との関わりで言えば國井紫香とは仲が良かったらしいのです。國井紫香は映画がトーキーになった後、講釈に転向して高座に上がっていたのですが、その時期の録音が全く残されておりません。映画関係者は弁士を馬鹿にしたがるので「映像に頼った語りをしていた説明者達の話芸は力が入っていなかった」等というのですが、これも伯龍先生にうかがったら「上手かったですよ」とあっさりと答えていただき、それが嬉しかったのを良く憶えています。國井紫香が先代馬琴を本牧亭で投げ飛ばしたエピソードなぞ真に愉快そうに語ってくれましたっけ。それから先代伯龍先生の処に生駒雷遊が講釈を習いに来たことも教えてくれました。嬉しかったついでで書けば私の親戚が大変な講釈ファンだったので、その人の事を知っているかうかがったら「あの方は本物の講談ファンでした」と言って下さいました。これも本当に嬉しかった。

 とまあ諸々でアタシは伯龍先生のファンだった訳ですが、その先生にバニラは褒められているという、私の恨み言を書いてみました。バニラファンは文中に出てくる人物の殆どが解んねぇだろ。様ァ見やがれ。と、江戸の敵を長崎で…。
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|03/13| もやもやコメント(3)TB(0)
【バニラ】
まことに光栄です。
父にも伝えますね。
先日の一郎君のアニメーション研究の講演拝聴したかったよ~!
2007/03/14 22:40* URL* [ EDIT]
【篠原酒店】
山崎バニラさんのblogから飛んで参りました。
神田先生の「江戸弁」は、発音記号でないと正確に表現できないのかもしれませんね。
昔は日本語の母音、文字として表現できなくとも数多くあったと聞いています。
表音文字でなく表意文字である日本語の弱点といいましょうか。
2007/03/19 12:25* URL* [ EDIT]
【かたおか】
いやはや、バニラさまさまですな。困ったもんだ。
伯龍先生の江戸弁の解説は難しいです。発音記号がどの程度まで言葉のニュアンスを伝え得るのか不勉強ゆえ良く分っていないのでああした解説をしました。それにたとえ正確にはトレース出来なくても言葉が音である以上、口から耳へ、耳から口へ伝えて行くのがいいのかなと思っています。それは私が芸人だからなのでしょうけれど。
2007/03/20 13:12* URL* [ EDIT]












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