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 大いなる路 あるぽらん

 阿佐ヶ谷あるぽらんでの舞台でした。本番は二部構成、一部は弁士でない方々に弁士体験をして頂こうという企画の第二段。今回は声優さん二人(窪田雄祐さん・和田カヨさん)、舞台俳優さん一人(野口聖員さん)、あるぽらんの常連さん一人(せっちゃん)という全くもって豪華なる顔ぶれ。各々が各々の語り口で無声映画を語ってくれました。
 
 さらに本公演では、先ごろ日本映画ペンクラブ奨励賞を目出度く受賞された柳下美恵さんが全ての作品の音楽を演奏して下さいました。これが有難い。生音で語る楽しさは格別だからです。
 
 このチャレンジ弁士企画での狙いは二つあります。

 一つは活弁なんざ誰でも出来るということを皆さんに知って貰いたいとうい狙い。どうもね、マイナーさも手伝って特殊な職業に思われがちなのですが、活弁は誰でも出来るのです、言葉さえ話せれば。映像に何となく合わせることは慣れでしかありません。その程度の事は自慢にもなりゃしないのです。なのに現代の弁士はすぐに「今の人にも分る語りで」とか「自分らしい語りで」とか言うのです。現代人が語れば現代の語りになるのは当たり前なのです。それは工夫ではないと強く言っておかねばなりません。この問題は弁士だけでなく話芸の世界全体で抱える問題なのです。「昔の通りやっても仕方がない」と簡単に言ってしまう風潮はある程度の伝統を持つ芸能の世界でそう軽々しく口にしていい言葉ではないのです。そんな事は、どんな短編でもいいから昔の通りにやれるようになって、その上で言うべきではないでしょうか。何にも勉強しないことの言い訳に過去の否定をする流れには、どうにも賛同しかねます。そのためにも弁士でない方に活弁、つまり映画説明をしていただく必要があるのです。「私らしい語り」なぞ彼等の「彼等らしい語り」の前に大した魅力を持ちません。事実、今回弁士にチャレンジしてくれた皆さんは見事に私の身勝手な要求に自然に応えてくれました。
 
 二つめは自分もやって見たいという人を獲得したいという狙いです。無声映画業界は現在閉ざされています。弁士の勉強をしたいと思う方がいても容易にアクセスすることが出来ません。しかしながら日本舞踊や落語の世界に目を向けると、素人演者が勉強のためにプロに払っているお金は馬鹿になりません。稽古をしてもらうだけでなく、実際に舞台や高座を見たり聴いたりするためのお金、CDやDVDが発売された時に購入するためのお金、これらを勉強のために買っている層を無声映画業界も獲得すべきだと思っているのです。活弁は映像を使いますから色々な面で素人には扱い辛いのは事実ですが、第一の狙いにあるように、やろうと思えば誰にでも出来るのです。ならばやってみたいと思わせていきたいじゃないか、と思うのです。

 んでは、お前は誰でも出来ることをやってお金を貰ってるのか、って話ですわな。そこいら辺はプロとそうでない人との境界線があるのです。プロは誰にでも出来ることを、誰にでも出来る訳ではないレベルでやらにゃイカンのですよ。

 そのためにも、この試みは続けて行きたいと思っています。自分も演ってみたいという方、声をかけておくんなさい。  そしてそして、第二部が『大路』(1935年・中国)の上映で、説明は不肖アタクシ片岡一郎、キーボード演奏が柳下美恵での公演でした。

 作品については語ることをしません。それは本番でしたから。

 では、何について語るか、本公演では柳下さんについて語らざるを得ません。なぜなれば、この公演では弁士・片岡一郎は完全に柳下美恵に喰われてしまったからです。いろんな所で紹介していますが弁士は台本を自分で書きます。ということは本番の段階では作品はある程度自分の物になっていますから観客としての自然な驚きはあまりありません。当然といえば当然ですね。ところが『大路』では公演中に泣いてしまいました。来てくれた友達に聞いたら涙声になっていたのが分ったとの事です。こんな事は初めてでした。それはとりもなおさず音楽の力でした。ラストシーンの盛り上がり、そして一転しての沈黙、さらに大詰めでの盛り上げにダメ弁士の感情は持っていかれてしまいました。何とも悔しく、そして忘れ得ぬ充実した公演となったのです。柳下さんの音楽さえありゃ、この日は十分でした。心底そう思います。

 私が涙声になったのは柳下さんも分っていたでしょう。打ち上げでは柳下さんは終始ご機嫌でした。

 ご来場いただいた皆様、弁士に挑戦してくれた4人の方々にはありがとうを申し上げます。柳下さんには悔しいから御礼は言わない、と言う方向での賛辞を送るしか私にはないのです。ああ悔しい。
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|03/11| 活弁コメント(0)TB(0)












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