さて先日より宣伝を繰り返しておりますが、本日19時より門天若手寄席 お名残公演で御座います。
 出演は一龍斎貞橘、柳家喬の字、片岡一郎、上屋安由美、しかも二ツ目の宝井琴柑さんを前座扱いという結果として豪華な感じになってしまったお名残公演で御座います。まだお席に余裕が御座います。皆様、ふらりとお運び下さいませ。

 で、本当ならその準備なぞをしていなければならない本日ですが、それどころではないニュースが昨日飛び込んできました。それが『一殺多生剣』の発掘です。もうブログを更新するしかないでしょう、これは。

 これを聞いて色めき立たない奴は無声映画と関わるのを辞めろと思うようなニュースで御座いますよ。
 映画史、というか芸能誌は栄枯盛衰の激しい分野でありますが、その中でもある意味最も高い所から無名に近い状況になってしまったのが本作の監督である伊藤大輔でしょう。

 現在、海外の映画祭では日本の無声映画が繰り帰し上映されております。無声映画に限らなければ小津や北野武は海外の映画ファンに崇拝されているといっても過言ではない状況もあります。日本映画が海外の映画祭で評価されるのは、その独自性に由来する部分は多かろうと思います。ヨーロッパやアメリカには無い視点であり、空間認識であり。日本人には却って気付きづらい日本映画の魅力というのは確かにある訳です。

 その日本映画独特の魅力を生み出した、最も大きな存在の一人が伊藤大輔ではなかろうかと言われたりするのですが、いかんせんこの方の全盛期といわれる無声映画時代のフィルムがとにかく現存していない。長編作品のフィルムが1本も現存確認できなかった悪夢のような時代がある時期まではありました。その後『御誂治郎吉格子』が発見され『忠次旅日記』『長恨』『斬人斬馬剣』が不完全ながらも見つかり、映画ファンは伊藤大輔の凄さが、ただの年寄りのノスタルジーではない事を実感するのです。
 
 実際、無声映画ファンにとって伊藤大輔作品の発掘とは、心酔する巨匠が10年に一度新作を発表した、というニュースに近い感動がある訳です。新作が発表されるたびに、これで最後かもしれない、でも何かの拍子に次回作を撮ってくれるかもしれない、という儚い希望を胸に続報を待つ姿勢こそ、伊藤大輔のフィルム発掘を待ち焦がれる心境に等しいと言えましょう。その意味では我々は伊藤大輔の作品を新作として見ていると言ってもいいのかもしれません。

一殺多生剣 撮影時スナップ
一殺多生剣 撮影時スナップ

 余談ですが『一殺多生剣』のフィルムが現存しているという情報自体は以前から知っていました。とある方がフィルムを相当数保管していて売りたがっていると。その中に『一殺多生剣』も入っていると。買えるものなら買いたかったのですが、何しろ金額が……。フィルム全部ひとまとめで1000万という噂でした。イッセンマン。
 
 今回発掘されたフィルムが、その方の所蔵していた物かは知りませんが、なんにしてもたとえ縮刷版とはいえ我々はこの眼で『一殺多生剣』を見る事が出来るのです。こんな幸せがあるでしょうか。繰り返しになりますが、僕らにとっては伊藤大輔の新作を見るという事なのです。

 ちなみに『一殺多生剣』の写真は凄ェカッコいいのが『INTERVUEW 映画の青春』キネマ旬報社/刊に載っています。ついでに伊藤大輔監督へのインタビューもありますので、未見の方は是非。


 あと、その、今夜の若手寄席も、その……。『一殺多生剣』は上映しないけど。
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|07/18| もやもやコメント(0)TB(0)












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