たまにはアメリカ以外の話題しなければなりませんね。

 ただ今、銀座テアトルシネマとシネ・リーブル梅田で公開されている映画に関わらせて頂きました。
 その名も『チャップリン・ザ・ルーツ』です。

 チャップリンのデジタル復元された最長・裁量画質の初期短編作品に説明をつけさせて頂いたんです。それが劇場公開されるという訳。

 実はこれまで弁士業では基本的に収録のお仕事はお断りしてきました。なぜかというと自分の記録用に撮った録音を聴くたびにゲンナリするのに、パッケージにしていいのかと思っていましたし、それから弁士の芸というのはどうにも録音に向いていないのではないかと感じておりまして、具体的にいうと録音物だと、どうして一人一役じゃないの?という感想が生じる気がしたりとか、あとは志ん朝師匠の言葉にもあるように芸ってのはその場で消えてしまうから良いんだ、と思ってもおりまして、以上のようなグチャグチャした考えをグチャグチャと持っておりましたから、録音には抵抗があったのです。

 けれど今回ばかりは受けさせていただきました。その理由は『チャップリン・ザ・ルーツ』の告知サイトをご覧頂いてからお話ししましょう。

『チャップリン・ザ・ルーツ』銀座テアトルシネマ上映告知
『チャップリン・ザ・ルーツ』シネ・リーブル梅田上映告知
 どうです、この顔ぶれ。山寺宏一さんといえば『魔人英雄伝ワタル』シリーズで渡部クラマを演じられた方ですよ。安達忍さんといえば『魔人英雄伝ワタル3』で牙皇子を演じられた方ですよ。←

 早い話がね、これに乗っておかないと、ほら、さあ、なんか弾かれたみたいじゃん?というこれまでの私の主義主張がいかに薄弱なものであったかが露呈してしまう動機での参加ではあったのです。とはいえ緊張しますよ、何しろチャップリンです。我々無声映画関係者にとっては神様です。そのチャップリンのデジタルリマスター版に、後に残るような形で声を付けるのです。これで身が引き締まらなきゃ弁士じゃないね。

 これに関われる喜びを感じられなきゃ無声映画で仕事すべきじゃないね。

 この企画にはチャップリン研究の第一人者である大野裕之さんのご尽力が何といっても大きいのです。声優さん方の収録台本は大野さんが手がけられていますし、私も自分の説明台本を作るにあたっては何点か相談をさせて頂きました。
 「チャップリンに音声は不要」という方には大野さんが『チャップリン・ザ・ルーツ』の監修をされた事を非難する人も居らっしゃるかもしれません。「あいつはチャップリンに声を付ける片棒を担いだ。あいつはチャップリンを分かってない」と。でも大野さんはチャップリン作品に本質的に声が不要な事は百も承知の上で観衆をされたのでしょう。今までチャップリンを見たことが無い人に、チャップリンに触れる機会を持ってほしいと思われているのではないかと私は考えています。

 俺が勝手に思ってるだけかもしれないけどね。
 余談ですが、大野さんがチャップリン家で本企画について「人気の声優・弁士が〜」と説明したら、先方は「人気のセクシーな声優・弁士が〜」とメモしていたそうです。

 俺、セクシー

 「チャップリンに音声は不要」は全くもって正しいのです。でも『チャップリン・ザ・ルーツ』と同一の素材でのDVDは海外ですでに出ています。現在ならそんなに苦労せずとも入手が可能です。ならばたまには日本独自の声の付くチャップリン上映を楽しんでみても良いのではない、と提案させて頂きたいのです。

 もちろん弁士は私だけではなく、わが師・澤登翠、坂本頼光、山崎バニラも参加しております。とにかく『チャップリン・ザ・ルーツ』は何人もの想い、日本の弁士・声優の文化、そしてチャップリンという歴史上の巨人が幾層にも重なり合って成立している企画なのです。そんなに大事な上映ならなぜ公開初日に告知ブログを上げないのだ、と思われるかもしれません。思いますね?いやぁうっかり忘れててアメリカとの時差でタイミングを間違えてさぁ。

 私の担当させて頂いたのは『チャップリンの寄席見物』です。チャップリンのルーツであるミュージックホールの風景が活写されている点で非常に興味深い作品でして、いわば『チャップリン・ザ・ルーツ』の中でも実にルーツな一品です。上映プログラムはD。東京、大阪ともに9月25日の公開です(東京は9月30日、10月11日もあり)。この機会にチャップリンを映画館で体験して頂ければ幸甚です。

 それから声優さん目当てでこの上映に行って、初めて弁士の芸に触れる方には、是非とも弁士の「黙る」技術に注目して頂きたいと思いますですよ。弁士と声優の似て非なる部分が一度に楽しめるのも『チャップリン・ザ・ルーツ』の裏面チックな楽しみでありましょう。

好きな食べ物はお茶とプリン(嘘)
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|09/24| 活弁コメント(0)TB(0)












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