十一月になりました。噂ではAnn Arborは今月から零下の日が出始めるとか。
 どう対策を取って良いものやら分かりません。ちょっと気が遠くなりますが、なるようになるでしょう。
 今日は半月前から楽しみにしている上映会が御座います。
 それがCiné-concert Georges Méliès なのです。

メリエス チラシ
チラシ

 ジョルジュ・メリエスの名前を知らない方がわざわざこのブログを読むかどうか分かりませんが、メリエスというのはザックリ言うと、映画にフィクションを持ち込んだ最初期の映画監督という事になりましょうか。この人なかりせば、映画は確実に違うものになっていたであろう映画史における最重要人物の一人でもあります。
 最近ではスコセッシの『ヒューゴの不思議な発明』の中でメリエスが登場しました、というよりも物語の実質的な主人公はメリエス、なんて作品が3Dで制作されたり、メリエスの代表作『月世界旅行』がステンシルカラーバージョンでのデジタル復元がなされたりと、十年前には考えられない展開をみせてもいます。

 そのメリエスのご遺族がメリエスの作品にライブナレーションを付けて各地を回られている事は知っていました。僕の持っているDVDにも音声が収録されています。けれど実際のライブ上映は拝見する機会が無かった。そしたらミシガン大学でやるってじゃないですか。これは万難を排して行かねばなりません。

 ミシガン大学に無声映画を語る人間が同時に二人も居る。なんだかワクワクしますですね。

 私が小津をさせて頂いているのはセントラルキャンパスですが、本日の会場はノースキャンパスのPenny Stamps Auditorium in the Walgreen Drama Centerです。

会場
会場前にて

 ミシガン大学は広い大学ですから、ノースキャンパスに行くにはバスを使います。セントラルは文系の学科が多いのに対し、ノースは医療系の学科が集中しています。またセントラルは一応街の中心ですが、ノースは山の端っこみたいな雰囲気です。バスの中から鹿を見かけました。
 ミシガン大学にくるような人たちは皆さん勉強熱心ですが、特にノースキャンパスは勉強に集中できそうな、より正確に申し上げますと勉強しかすることがないんじゃないかと感じさせる雰囲気でした。

ノースキャンパス
ノースキャンパス

 会場には早めに着いたので、お客さんはこれから来るんで御座いましょう。人気がほとんどありません。場内でしている試写の様子がロビーのモニターに写っています。会場はとても綺麗です。それに大きい。まあ二ヵ月毎週の弁士と、一回だけのメリエスのご遺族じゃ、瞬間的な集客力が違うよね。でもこっちのホール、良いなあ。隣の芝生は青いなあ。

リハ風景
試写中

 上映の仕方はなかなか複雑でした。メインのナレーションはメリエスの曾孫娘であるマリー エレーヌさんがフランス語でされて、それを受けて英語通訳が入り、同時にピアノ生演奏も有り。という事はオリジナルのナレーションはそこまで厳密なタイミングを要するものではないし、またかなり間を取った喋りをします。
 並べても仕方ありませんが、我々弁士の語りとはまた違った方法でのパフォーマンスと言えるものです。上映中に何やら相談されてましたしね。

 マリー エレーヌさん、とても柔らかい雰囲気の方でした。舞台上で前説をされる時も「私のおじいちゃんは凄いのよ。映画を見せてあげるから感謝しなさい」式の高慢さは微塵もなく、失礼を承知で言えば近所のおしゃべり好きのおばちゃんが、とっておきの楽しい話を披露してくれている感じ。いわゆるプロフェショナルな語りではなく、一族の名誉を楽しんでみて貰おうとしている、そんな語り口でした。

 この項を書くためにネットで調べたらCiné-concert Georges Mélièsの様子がYouTubeに上がってるじゃないですか。ご覧いただければ分かりますが、あんまり喋っていませんね。フランス語ってリズムが綺麗だからメリエス作品にはうってつけの言語かもしれない。

 終演後には少しだけお話をさせて頂きました。
 この感激をどう表現すれば良いのか。だってメリエスのご遺族だぜ。昨年ドイツでアーノルド・ファンクのご遺族とお話しさせて頂いた時にも感激しましたが、あと日本で山野一郎先生や国井紫香先生のご遺族とお話しさせて頂いた時にもやっぱり感激しましたが、やっぱりやっぱりメリエスの遺伝子を持っている方とお話が出来るのは格別ですよ。
 マリー エレーヌさん、さすがに弁士の存在はご存知でした。「私も無声映画のナレーションをするのよ」って言われました。いま見たっちゅうねん。
ただし「僕もメリエスの作品を説明させて頂いてます」とは言えませんでした。だって告知チラシにThe ciné-concert presents an exclusive program~ って書いてあるのよ。Exclusive って単語は独占的とか排他的って意味ですわ。怒られたら嫌ですしねぇ。さすがに直接「お前にメリエス作品を語らせる訳にはいかない」って宣言されたら僕は生涯姪レスを封印しなければならなくなってしまいます。
困りますよ、そんなんなったら。営業面でも困りますし、演者としてもメリエス作品好きですし。

マリー エレーヌさんと一緒に写真撮りたかったのをグッとこらえて(周りに大勢の方がいらしたので)、幸せのままに会場を後にしたのでした。

 これから米国各地をメリエスで回られるのだと仰っていました。旅の御無事をお祈りしつつ、いつかご一緒させて頂ければと思うのでした。

 それではご覧ください『Le Voyage dans la Lune(月世界旅行)』カラー復元版
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