弁士の始祖の一人に十文字大元という方がいらっしゃいます。何しろヴァイタスコープの上映の際に説明を担当した方ですから始祖も始祖。この先生、並みのインテリじゃないんですね。アメリカで暮らした経験があり、実業家の顔もあり、奥様は十文字学園の設立者。
 インテリの弁士と言えば染井三郎や徳川夢声の名前が挙がりますが、十文字大元はそういう知識のある芸人とは根本的に違うのです。知識人がふとした縁で芸事もするようになったというパターン。なので弁士として活動した時期は長くない筈です。しかしながら初期に活動した数人の始祖たちによって弁士のスタイルは方向づけられたのですから、十文字大元の名を弁士の歴史を語る上で落とすことは出来ません。
 今日はミシガン大学の図書館で戦前の映画雑誌を繰っていました。そうしたら十文字大元の談話が収録されていたのですが、そのなかに「ミシガン大学で苦学した」との記述があるじゃないですか。ちょいと待っておくれ。十文字大元はミシガン大学に居たのか。ミシガン大学に長期滞在した弁士は俺が最初じゃないのか。
 これはね、個人的には大発見ですよ。僕がここにいる間に、十文字大元の足跡を探らねばなりません。たしかにミシガン大学に居たという証拠が見つかれば、弁士の歴史に貴重な一コマが加えられるのです。興奮しますですね。

 そんなミシガン大学には金曜会という組織があります。
 ミシガン大学で働く日本人によって立ち上げられた団体で、主に医療系の方々がメンバーです。平均して月に一度集まって研究発表や親睦交流を目的としている、と認識しています。本日は金曜会の例会にお邪魔してお喋りをさせて頂きました。金曜じゃないけれど。

 最近日本語の通じない相手ばかりに仕事してましたからね、今日はとてもリラックスでしたよ。特に何を話すか準備していかなくても、映画を挟みながらならアドリブで2時間いけますからね。とても気が楽でしたよ。
 それにミシガン大学に呼ばれたと言っても基本的には映画関係、あとは日本語教育関係の人との出会いが中心です。医療系はよっぽどのきっかけがないと交流できませんからね、そういう意味でも貴重な体験でした。お互いが日本に居たら出会うきっかけがあったとしても、積極的に交流をしようとしたかも分かりません。でも異国の地で同邦人だと思うと立場や分野を越えて何となく親近感が湧くから不思議なものです。
 大学を歩いていても東洋人は東洋人同士で集まっている光景を目にします。コミュニケーションが取り易いというのもあるでしょうが、やっぱり出身が近い人だと安心するんでしょう。アメリカでは仲良くしている友達同士が、母国で知り合っていたら仲良くなれるかは全く別ですから。

 そんなこんなでミシガン大学という枠の中にある十文字大元と金曜会の存在を知って、同郷の連帯感を不思議なタイミングで理解した夜でした。
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|11/07| 活弁コメント(0)TB(0)












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