うわーい、引っ越しの準備が全然だよーぅ。
 はい、そんな告白をされてもどうしようもありませんね。「手伝いに行こうか?」ってなワケにもいきませんしね。

 本日は2月26日のご案内です。
 NYではなんと二日連続公演なんですね。働くね。売れっ子だね。
 このあと一ヶ月仕事ないけどな。

 2月26日はThe films of Kenji Mizoguchiの一環で説明をさせて頂きます。

bard college


 会場はBard Collage、つまりバード大学ですね。ここで昨年の11月から今年の4月までじっくり溝口の作品を見られるってンですからNYっ子は幸せ者だね、こりゃ。溝口健二は言うまでもなく日本映画を代表する名称の一人です。さらにサイレント・トーキー両方で優れた業績を残された、世界でも指折りの監督と言えます。黒澤明は当然大監督ですが、黒澤と小津、溝口を分けるものは、やはりサイレントを経験しているかでしょう。多くの人にとって無声映画は馴染が無くどうでもいい存在かもしれませんが、映画史に関わってしまうと、どうしても無声映画は無視できない分野となるのです。
 小津が幸運なのは無声映画が全部ではないにしても一定数以上残っている事です。それに対して溝口は少ない。無声映画時代が習作時代であったならいざ知らず、溝口は無声映画時代すでに一流監督でした。なのにまともに見られるのは『ふるさとの歌』『瀧の白糸』と今回上映する『折鶴お千』、それに縮刷版の『東京行進曲』くらい。あとは断片が発見された『慈悲心鳥』、それにパートトーキーの『藤原義江のふるさと』でしょうか。映画史を紐解いた時に出てくる作品がとにかく残ってない。『紙人形春の囁き』も『日本橋』も『血と霊』も『狂恋の女師匠』も無い。なんにも無―い。だから溝口健二は巨匠なのに無声映画特集が出来ないんです。これは我々弁士にとっては悲劇以外の何物でもありません。
 もっとも溝口に限った話ではありませんがね。

 今回は先ほども申し上げました通り『折鶴お千』を説明させて頂きます。あっちこっちでお話ししていますが、素人時分に世田谷文学館で澤登翠説明、カラード・モノトーン演奏で観た『折鶴お千』の衝撃は大変なもので、あれがなかったら僕は弁士になっていなかったかもしれないと思っています。つまり『折鶴お千』にはモノスゴク思い入れがあるんです。内心、まだ手がけるのは早いんじゃないかと思っていたりもしますが、そんな作品に限ってご依頼があるものでして、結構あちらこちらで演らせて頂いております。

 この半年ではガッツリと小津を説明させて頂きましたので、久しぶりの溝口に楽しみ半分、緊張半分といった心持です。

 そして音楽。先日のお知らせでは未定となっていましたが、昨日に引き続き松村牧亜さんとご一緒させて頂く事になりました。どんな音を奏でて頂けるのか、小津と溝口ではどんなふうに変わるのか、演者目線でも、また観客目線でも楽しみです。
 しかもしかも上映プリントはフィルムセンターさん所蔵の35mmときたもんだ。こうしてフィルムセンターさんが積極的に外部の上映にフィルムを貸し出してくれるのも我々弁士にとって有り難い事ですね。初めて無声映画に触れる方にこそ、画質の良いもので見て頂きたいと思います。

 さらにさらに併映作品はチャップリンの『犬の生活』です。『犬の生活』は昨年、ハーバードでも説明させて頂きました。ミシガンで『キッド』を演った時にも言いましたけれど、現在日本では上映権の関係で、ファーストナショナル以降の作品を弁士の説明で、単発上映するのがちょっと難しい状況です。ですから『キッド』にせよ『犬の生活』にせよ、かえってアメリカの方が弁士がいる状態で見る機会が多いのですね。なんだか奇妙な状況ですが、そうなんです。もっとも『犬の生活』は声優口演で山寺宏一さんが得意にされてますので、音声と共に見るという意味では珍しくないですが。
『折鶴お千』に『犬の生活』。どうしてこの二本立てか不思議な感じもします。けれどアメリカの皆さんにチャップリンで笑って頂いて溝口で重ぉ~い気持ちになって貰えたらと思っております。なにしろ暗いからね『折鶴お千』。

 公演詳細は下記の通り。

●The films of Kenji Mizoguchi
日時/2013年2月26日19時~
会場/Bard College 30 Campus Rd, Red Hook, NY 12571
料金/無料
弁士/片岡一郎
音楽/松村牧亜
上映作品
『犬の生活』(1918年・ファーストナショナル社)
監督/チャーリー・チャップリン
出演/チャーリー・チャップリン、エドナ・パーヴァイアンス
『折鶴お千』(1935年・第一映画)
監督/溝口健二
出演/山田五十鈴、夏川大二郎

 この会場に僕が居たらそれは引っ越し作業が無事に終わったという事です。
 どうぞよろしくお願いします。

 この公演はBard Collegeさん、国際交流基金さん、東京国立近代美術館フィルムセンターさんのご協力で実現いたします。お礼申し上げます。
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|02/11| 活弁コメント(0)TB(0)












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