夜が明けると朝になります。ポルデノーネで迎える初めての朝です。
 僕の泊まったModernoは良いホテルのなのですが、部屋で使えるWi-Fiは一日一時間まで。以降は追加料金だそうです。ロビーでは終日無料で使えるんですが、メールチェックとかをろーびーでするのはちょっと面倒ね。そこだけ残念ね。でも対応も良いし、食堂のおばちゃんも愛想がとても良くて「Buon giorno」を連発していて気持ちがいいですね。総じて良いホテルです。なにより会場から目と鼻の先でござんして。

テアトロヴェルディ

 こんな具合なのですね。
 朝食を食べてぶらついていたらデビットに見つかりまして。「少し町を案内するよ」と。いやだからいいから、そんな気を遣わなくていいから。結局、朝の散歩をしてしまった訳ですが。映画祭オフィスに行くと「新聞の取材と、テレビの取材があるわ。いつにする?」って軽い感じで。いつにするもなにも僕のいんぐりっしゅはそういう複雑な話題には対応できないのですよ。正直にその旨伝えましたら「心配ないわ」だって。どうしてそう思える。今君と話していて、君は僕の英語力に察しがついただろうに。そういう度を越したおおらかさが僕は好きだけれど、でも出来る事と出来ない事は明確に分かれているのだよ。

 結論から申しますと、僕と映画祭の橋渡しをしてくれたJohan君が通訳してくれました。もっというとJohan君はこの映画祭の最中、ずっと僕の通訳をしてくれました。アリガタイコトコノウエナシ。日本に帰ったら美味しいお店で奢るからね。

 でもね、僕は映画祭に取材を受けにきたんじゃないのよ。映画を見に来たのよ。映画を見なきゃ始まらないのよ。
 そんな僕にとってのポルデノーネ一本目の映画は
『НІЧНИЙ ВІЗНИК(Night Coachman)』(1929年・ウクライナ)でした。演奏はArseniy Trofim氏。開始五分でいきなりクライマックスになって、あと五十分間ずっとラストシーンみたいな映画でした。『戦艦ポチョムキン』の影響をそんなにはっきり見せちゃっていいの?と思う作品ね。

 続いては『SYND(Sin)』(1928年・スウェーデン)を休まずに。演奏は空港からご一緒したNeil Brand氏。売れない劇作家と彼を支える美人の奥さん。ある日、彼の脚本が脚光を浴びる、すると女優が彼に色目を使い・・・。みたいな話です。演出もなかなかに粋で良い作品。機会があったら是非演ってみたい。

 

 売れない芸人が突然売れるてタガが外れていく心理がとっても良く出ていてね、俺も突然売れたら誘惑にズルズル流されていくんだろうな、みたいに思っちゃう映画でした。こわいこわい。この作品の場合は脚本家ですが、本質的には同じじゃないかしらね。

 夕食を挟みまして今年のハイライト『Too Much Johnson』(1938年・アメリカ)です。『市民ケーン』の監督である、『第三の男』の主要俳優であるオーソン・ウェルズが撮った無声映画です。こんなフィルムが現存していただけでもひっくり返るような驚きなのに、スクリーンで見られるなんて、しかも修復後世界初公開の現場に居合わせる事が出来るなんて僕はなんと果報者なのだろうかと喜びを噛みしめるのです。上映はPhilip C. Carli氏の演奏にPaolo Cherchi Usai氏のライブコメンタリーが付く形式。無声映画を上映しながら語るので弁士と似ているかと思われる方もいらっしゃるでしょうが、Paolo氏の語りはあくまで作品についての解説でした。なんども本作は完成していない未編集のフィルムであると強調され、現在映っている場面がどこで撮影され、本作の演出がキーストンコメディを基調にしている、なんてエピソードも紹介するといった具合。
 『Too Much Johnson』に対して映画としての出来不出来を云々するのは野暮という物かもしれません。なにしろ舞台演出用に撮られ、未完成の映像なのです。でも良いじゃありませんか、オーソン・ウェルズの新作が見られたんだから。

 『Too Much Johnson』が盛大な拍手で終わり、ホクホク顔で帰る方も少なくありませんがポルデノーネの夜はまだ終わりません。
 『Mezhplanetnaya Revoliutsiya』(1924・ロシア)
 『Kosmicheskii Reis(Космический рейс)』(1936・ロシア)演奏はGünter A. Buchwald氏
 『Ko-Ko The Convict』(1926・アメリカ)演奏はGünter A. Buchwald氏
を僕はお愉しまないと寝られやしません。

 『Mezhplanetnaya Revoliutsiya』はアニメーション。僅か8分ですが気の狂ったアニメーションなのでちょっと疲れ気味の観客には結構ヘビー。
 『Kosmicheskii Reis』はロシア版『月世界旅行』とでも言いましょうか。日本でも2001年に上映されたようです。


 というかIVCからDVDが出てまして、僕持ってます。もう絶版かしら、アマゾンで凄い値段になってる。
 これも演たいな。探検隊が月に辿り着いたもののトラブル発生、一行は帰れるのか?の定番ストーリーなのですが、何が凄いって月からの脱出シーンが無いというね。それは驚きの作品なので御座いますよ。ネットだと制作年が1935年になってますが、映画祭資料だと1936年。

 そして本日の最後はマックス・フライシャーの『Ko-Ko The Convict』で笑って〆でありますよ。
 時刻は既に二十四時過ぎ。おいおい、もう舞台本番の日じゃないか。うひー。



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|10/09| 未分類コメント(0)TB(0)












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