朝起きます。劇場に行きます。無声映画が生演奏で上映されてます。幸せです。
 地上の天国ですわ。今夜の自分の公演さえなければ極楽ですわ。でも弁士として呼ばれてるんだったわ、ワタクシ。

 起き抜けに見たのが『Felix the Cat Weathers the Weather』(1926年・アメリカ)でピアノ演奏はAntonio Coppola氏でありました。

 
サンフランシスコ無声映画祭の上映が上がってました

 そのまま続けて『Konstgjorda Svensson』(1929年・スウェーデン)の上映で、ピアノは引き続きAntonio Coppola氏。サイレントからトーキーへの変わり目のいわゆるパートトーキーなのですが実に洒落た演出。映画が始まってすぐに公演でラブシーン、もちろんピアノ生演奏。そこへ主人公が突然現れてつらつらといかにトーキーが詰まらない物かを説明します、自分の声で。トーキーの技術を使いながらトーキーをクサすってのが微笑ましくも楽しい。なら完全にトーキーを否定しているかというと、劇中での音楽の使い方がこれまた上手い。筋立て云々ではなく、技術と芸術が映画の中では不可分だと示している作品でありました。
 さあさあ、どんどんいきましょう。今夜の舞台の事は忘れて行きましょう。次なる作品は『Otravene svetlo』(1921年・チェコスロバキア)でピアノ演奏はNeil Brand氏。この作品は凄かった・・・。サスペンス物なのですが、犯人も、それを追う側も、全ての人物が要領が悪い。のんびりしたクライムサスペンスです。牧歌的な犯罪映画です。僕にとっては新ジャンルでした。衝撃とはこうい体験を指していうのでしょう。

 『Mat(母)』(1920年版)は残念ながら(体力面と取材の為)スキップを致しまして、続く『Mat(母)』(1927年・ロシア)ピアノ演奏・Günter A. Buchwald氏を鑑賞。これはもう文句のつけようも御座いませんね。そして説明の必要も御座いませんね。
 まだまだ続くよポルデノーネという具合で次なる作品は『Menschen Untereinander』(1926年・ドイツ)で演奏はDonald Sosin氏。この作品、個人的には今年のベストでした。一軒のアパートを中心にした群像劇なんだけど、無声映画では比較的難しい入り組んだ人間関係を見事に描いていて唸らされましたね。ああ演りたい。まあ全部演りたいんだけれど。
 このあと一本あったのですが、さすがにそれはスキップして自分の準備に入らねばなりません。でも気が重いなあ、今日はひたすらご機嫌な無声映画を立て続けに見ちゃってるもんな。ネガティブになっちゃうよね。お天気もぐずつき加減だしさ。

雨のポルデノーネ
雨のポルデノーネ


 そんな事言いながら昨日も今日もジェラート食ったけどな。もっというと滞在中毎日食ったけどな。
 開場時間が近づいてくると不安は増すばかりです。なぜってあなた、映画祭会期のど真ん中の20時30分開演、一番お客さんが来やすい場所に上映を持って来てくれたのですよ。これで約1000席の会場がガラガラだったら……。自分じゃどうにも出来ない土地だけれど、日本だってどうにもできない人数だけれど、不安は、不安は、嗚呼。実際ね舞台裏からスクリーンを透かして客席が見えるもんで、ずっと見てましたよ。結果はほぼ満席。ほっとしたの何の。昨夜の『Too Much Johnson』は会場の一時間前から行列が出来ていました。本日の私のプログラムは20時15分くらいまでは結構余裕がありましたね、正直言って。結果オーライだけど。

 さて、私の出演プログラムは以下の通りでした。
『血煙高田馬場』(1927年・日本)
『長恨』(1926年・日本)
『Blacksmith(キートンの鍛冶屋)』(1922年・アメリカ)
『乙女シリーズ その一 花物語 福寿草』(1935年・日本)
 説明/片岡一郎、ピアノ/John Sweeney、パーカッション/Frank Bockius

 でした。
 『血煙高田馬場』ウケました。『長恨』場内唸ってウケました。『キートンの鍛冶屋』Michigan Theaterの悪夢再びで、上映されたのは練習していたものと違うバージョンでした。なんとかなった、というか何とでもなるけれど。
 『福寿草』はね、やりたかったの。こういう映画が日本の無声映画期に作られたと知って頂きたかった。結果、ややウケ。いや、評価は高かったんですよ、間違いなく。ただね、本音をいうとスタンディングオベーションを狙ってたのね。一昨年、柳下美恵さんが『愛よ人類と共にあれ』で受けたっていう、業界の最高栄誉、ポルデノーネスタンディングを。駄目でしたね。ちょっと悔しいね。でも仕方ないね。弁士の喋りを字幕なしでやったってのもあるからね。つまりスタンディングは貰えなかった、というのが悔いになるほどにはウケたってこと。
 終演後に色んなお客さんやピアニストの方が声を掛けてくれましたよ。嬉しかったなあ。ブールヴァルトさんが「喋りの量がちょうど良かった」と言ってくれたのも嬉しかった。
 

 「次の映画は流石に見ないでしょ?」 
 「うん、さすがにね。疲れたね」
 なんて会話をして打ち上げに。なんとデビットが来てくれましてね、まだ上映が残っているのに。
 んな訳で午前1時まで食事をしたり、お酒を飲んだり、お喋りしたりして過ごしたのでした。1

 疲れてるんじゃなかったのか。
 この日の写真はPordenone Silent Day6にてご覧くださいませ。衿が崩れちゃってて恥ずかしい写真も幾つか御座いますけれど。
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