感動のポルデノーネも最終日となりました。事前に「一度行くと毎年行きたくなる映画祭ですよ」と言われておりましたが、ありゃ本当だったね。毎年来たいね。てか来年来て、来年こそはスタンディングな感じでお願いしたいね。旅の終わりは始まりだったね。

 今日こそはホントの本気で仕事がありません!ハッハー。
 機嫌がいいからジェラート食っちゃうぜ。

 今日はランチをミュンヘン映画博物館のSテファンさんと、コリアン・フィルムアーカイブのSンチさんと一緒に食べるのよ。会話は英語だわ。最近回りがドイツ語だのイタリア語だの何言ってるか分からない言語だらけだったから英語が凄く分かる気がするわ。気のせいですけれどね、おほほ。ミュンヘンとか韓国にもいずれ呼んでもらえそうで嬉しい。
 ちなみにソンチさんは「私は時代劇は好きだし素晴らしいと思うけど、海外のお客さんには設定を理解するのが難しいからメロドラマの方が海外のアーカイブで上映する時には良いと思う」と仰っていまました。昨日は「メインは時代劇の方がウケるかねぇ?」なんて会話をしたばかりだったので、はてさてどうしたものかと。
 んまあ両方とも演らせてくれれば良いんだけれどね。良いミュージシャン紹介しまっせ。

 さて本日も無声映画ですよ。

 まずは『Ironie Della Vita』(1917年・イタリア)と『I Promessi Sposi』(1913年・イタリア)で、どちらも演奏はPhilip C.Carli氏でした。この時代のイタリアは映画史の頂点から徐々にその座をアメリカに明け渡す時期でもあり、なかなか興味深いのですが見られる絶対数がすくないのよね。それからこの映画祭、DCP映写に慣れていないのか、上映開始時にちょいちょいカラーバーがスクリーンに写っちゃったりね、ご愛嬌っちゃご愛嬌なんだけど、なるべく避けて頂きたいですな。あと『I Promessi Sposi』ではフィルムが裏っかえしで上映されたり、なんてトラブルも。ご愛嬌っちゃ、、、とは言えないかな。
 続いては『Arsenal(武器庫)』(1929年・ロシア)で演奏はYuri Kuznetsov氏。いつか演ってみたい作品です。この時代のロシアは本当に層が厚い。ドヴジェンコ、プドフキン、クレショフ、バルネット、そしてエイゼンシュテイン。凄いのですよ。
 
 武器庫

 クライマックスが近づいて参りました。
 『Anny Ondra sound test for Blackmail』(1929年・イギリス)はタイトルからも分かる様にヒッチコック『ブラックメール』のサウンドテストプリントです。僅か1分間。パンフレットに記された24fpsの文字がたまらなくトーキーですね。続いて『Lucerna』(1925年・チェコスロバキア)で音楽はAntonio Coppola氏。これは面白かった。一言でいえば妖怪物。また妖怪(妖精なんだろうけど)が気持ち悪いのよ。これは演りたい。またそれかよ。
 ポルデノーネは本当に無声映画が好きなお客さんが集まる、デビット曰く「サイレント!サイレント!ってちょっとおかしい人達の映画祭(笑)」映画祭なので映写作品のピントがずれたりすると客席のそこかしこから「チッ!」「チッ!」と舌打ちが聞こえます。結構あれ、怖いです。ピアノ演奏があるから舌打ち程度聞こえないハズなんですが、彼らの間の良いことったら、もう。

 さあ映画祭も大詰め、の前にお買い物&ディナーですよ。
 ご当地にはとても美味しいチョコレート屋さんがあるというので連れて行ってもらいました。

チョコ映写機
 チョコの映写機

 ディスプレイはチョコ製映写機。こんなに熱に弱い映写機はありません。
 良いよね、こういう町ぐるみの感じ。実際、町にあるお店のほとんどに映画祭のポスターが貼ってあるの。貼ってないお店は、居づらいんじゃないかしらと、平家にあらずば人に非ずな感じで居づらいんじゃないかと。こういう町ぐるみ感、日本の映画祭も見習いたい所ですね。『キャプテンハーロック』で盛り上がれなかった大泉学園は見習うべきですね。
 あとここのチョコは、ぅンまい。

 上映の前はクロージングレセプションです。映画祭の偉い人による挨拶があり、先ごろ発見されたヨーロッパ版『Blacksmith(キートンの鍛冶屋)』(1921年)の上映です。上映前にはフィルム発見者のFernando Pena氏が壇上に。フィルムコレクターなんていうと、人付き合いの悪い、コレクションの為なら盗みも辞さずなんてイメージがなくもないような、あるような、ですが、フェルナンドさんたら地味で控えめ。でもフェルナンドさんたら『メトロポリス』の未発見部分の発見者でもあるのよね。ああ、あれがフィルムの神に愛された男か、なんて思ってたらフェルナンドさんたら「このフィルムは僕の友人が最初に買ったものなんです」とか言っちゃうのよ。フィルムコレクターなんていうと、人付き合いの(略)。フェルナンドさん、素敵よ。
 『キートンの鍛冶屋』はアメリカ公開版とヨーロッパ公開版の二種類が撮られていたんですね。ところがヨーロッパ公開版があるなんて誰も思ってなかった。ある時に友達がe-bayで落札した9,5mm版『キートンの鍛冶屋』をチェックしたら見た事も無いシーンが映っている。こりゃ大変だとなり調査開始。パテベビーはフランスの会社なので、もしかしたらフランスにあるんじゃないかと調べてみたらビンゴ。ピッカピカの35mmプリントが残っていたのです。所蔵していたアーカイブも、まさか自分の持っているのがアメリカ版と違うバージョンだとは思ってなかったんすな。よくある『鍛冶屋』だと思って誰も詳細にチェックしなかった、という次第。

 先日、僕がアメリカバージョンの『キートンの鍛冶屋』を説明しましたが、これがデビットの仕掛けだったのだとか。僕たちがどの作品を上映するか相談している時に、彼の所にはヨーロッパ版発見の知らせが来ていて、ならば見慣れたアメリカ版を弁士で、そして新発見のヨーロッパ版を上映すれば未知のキートンが二本も上映出来てしまうのです。唸ったね、アタシは。

本作についてはThe Blacksmith’s Backに結構詳しく書いてあります。俺、褒められてるよね?

 『Blacksmith』ヨーロッパ版の演奏はNeil Brand氏。いやあ面白かった。会場がキートンで大笑い。
 私なんか一昨日説明したばかりだから、比較が楽しいの楽しくないの。

 
 今日は長いね。ご容赦。


 『Blacksmith』が終わってデビット・ロビンソンが登壇。今年のポルデノーネについて軽くお話をしている間にCarl Davis指揮によるFVG Mitteleuropa Orchestraがスタンバイする流れ。「ポルデノーネの町の方々に、映画祭のスタッフに、素晴らしいミュージシャンに、いらして下さったお客様に感謝を申し上げます」みたいな事を言ってるのさ。ちょっと寂しいなと思いましたよ。ミュージシャンと一緒にBenshiって言ってくれたらな、なんて。でもしょうがないか、この後はカール・ディヴィスだもんなって、納得してました。デビットが言葉を続けます「皆さんに紹介したい人がいます。僕の古い友人のJean Darlingです」と。Jeanさんには僕も到着した翌朝に紹介して頂いていたんですけれど、朝食の慌ただしい時間で、きちんとどんな方か把握できていなかったのです。そしたらOur Gnagぢゃん、ちびっこギャングの本物ぢゃん!!!しまった写真撮って貰えば良かった。激しく後悔。
 Jeanさんは現在90歳、そのお姿は「Jean Darling Pordenone」で検索すると写真がアップされています。
 で、言葉が続きます「もう一人は僕の新しい友人、Ichiro Kataoka」って。

 この気持ちをどう言ったら良いのか。カール・ディヴィスが演奏する直前に、ポルデノーネのトップであるデビット・ロビンソンがアタクシ如きミジンコ野郎の名前を。最高ですよ。若干Ichiroの発音がアヤしかったけど気にしないわ。ちょっぴり泣きそうよ。でもこれから『The Freshman(ロイドの人気者)』(1925年・アメリカ)が始まるの。トイレで忍び泣きなんかしている暇なんかないのよ。しっかりしてアタシ。

 この日の様子は公式写真をご覧くださいまし。私もちょっぴり写ってます。

 『ロイドの人気者』は笑ったなあ。幸せだったなあ。
 
 これで終わりかと思いきや新作の無声映画が二本上映されるのだから恐れ入るポルデノーネ。
 『Alkymisten』(2013年・デンマーク)と『The Girl With The Mechanical Maiden』(2012年・アイルランド)


『The Girl With The Mechanical Maiden』

駄目押しに『Ko-Ko in 1999』(1927年・アメリカ)を今回ご一緒したJhon Sweeney氏の演奏で7分間のアニメを軽やかに楽しんで映画祭はフィニッシュ。これから打ち上げだい。明日は5時にピックアップの車がホテルに着くけど寝てなんかいられるかい。飲まなきゃいられねぇや。

 もう日付が13日になったので、ここからは明日に回します。

 打ち上げ会場に向かう夜のポルデノーネを1枚。

ポルデノーネ最後の夜
 夢のあと
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