大学に戻りました。
 推薦状を書いてくれたM教授に言の顛末を報告すると、さして意外な展開でもなかったようです。

「あの人たちは仕事が出来ませんからねぇ。何度も行ってこっちが仕事を教えないと駄目なんですねぇ。ビザは取れますから、片岡さんはアートに集中した方が良いんですねぇ」

 M教授もドイツ人ではないので相応の苦労をされているんでしょう。涼しい顔です。
 同じくボン大学のY先生は「なんだそりゃ、ふざけとる。次は僕も一緒に行く。血圧上がってきた」と怒ってくれております。

 とにかく今年一月にアーティストビザについて教えてくれた在日本ドイツ大使館へメールします。伝えるべきは、アーティストビザなんか知らんと言われた事、ウチじゃなにも出来ないから隣町へ行けと言われた事、不法滞在になっても日本人なら滅多にバレないから気にするなと言われた事、の三点です。メールを送信した段階で日本時間は夜の八時。明日の朝一番に返信してくるように願います。

 そして午後。
 ジークブルクの外人局に突撃します。
 当たり前ですが、事情を話しても最初は「それはボンで」でしたが、必死でこちらの事情と午前中の出来事を話したところ目に見えて反応が変わりました。担当者が内線でコールすると間もなく上司の方がやってきます。この上司はボンのシマシマとは違って、きっちりしたスーツにスマートな体型、きびきびした動作の出来る女性といった感じでしょうか。さっそくボンに問い合わせの電話をしてくれます。

 もうね、とっても苛立ってるの、その上司さん。
 なんでかというと、今日の午前中にもボンからジークブルクに来た人が居るんですって。その人はボンの外人局で手続きをしようとしたら、ボンの担当者に「住民登録をジークブルクでしたら、あっちで手続きが出来る」と半ば追い出されてこっちまで来たらしいのです。

 つ ま り

 ボンの外人局(の一部の人?)は面倒そうな人が来るとジークブルクに押し付けてたんですね。
 外人局に行く人は外人ばかりです。もちろんドイツ語が堪能な人も幾らでも来る場所ではありますが、ビザだの滞在許可だのは非常に複雑なルールのものなので担当者にアレコレ言われると反論できないのです。おそらく多くの人達が訳も分からずボンからジークブルクに押し付けられ、または滞在許可を貰えず失意のもとにドイツを離れて行ったのでしょう。

 しかしFさん(とシマシマ上司)は我々を甘く見ていた。ボン大学の日本学科で働くUさんと、まがりなりにもヨーロッパ各国から出演オファーを受けていて今更後には引けない僕という組み合わせを。不法滞在をするか、帰国するか、ジークブルクに行くかの三択を迫られた事をジークブルクでぶちまけてやったのです。

 ジークブルクの方々、まあ怒るの何の。
 許可の出し方が分からないなら教えてやるから自分達で何とかしろ、と電話で叱りつけておりました。

 彼女の言うにはジークブルクで滞在許可を発行する事も可能だが、僕の住民登録がボンにされている以上、それはあまり良い事ではない、のだそうです。ドイツから出国も再入国も出来る許可証の発行の仕方を向こうに教えておくから、もう一度ボンに行って欲しいとの事ですので、ここは従う事にします。
 にしても役場の人が住民の為に働いてくれる、こんな当たり前の光景が、ここまで神々しく見える日が来ようとは思いもしませんでした。

 という訳で、明日も六時起きの八時集合となりました。
 果たして私はアーティストビザを取得できるのか?

 ドイツ滞在許可取得~僕と彼女の四日間~ は明日いよいよ最終回。
 続く。
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|09/18| もやもやコメント(0)TB(0)












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