大人の科学 VOL.15

先月末にでた雑誌です。ちょいと紹介。

 「大人の科学マガジン」の15号です。大人の科学で一番注目を集めたのは自宅でプラネタリウムが造れるキットが付いていた号でしょう。早い話が少しお金に余裕の出てきた層に対して売っている学研や進研ゼミとでも表現すれば解りいいかもしれません。発売元は学研なのでこれまで培ってきたノウハウを生かすにはもってこいの企画ですね。

 15号は、ぬぁんと紙フィルム映写機が造れてしまいます。一般にフィルムといえば半透明の誰もが思い浮かべるアレを指します。ところがかつて日本では紙製のフィルムが家庭用に販売されていたのです。紙ですから当然、光は透過しないのです。そこで紙に光を反射させて映像を投影する仕組みなのが紙フィルムでした。このフィルムの凄いところはなんとカラーの映像だったという点です。光量は弱い為劇場では使えなくとも家庭ならカラーの映像が楽しめたのです。昔の日本は。

 そんな映画関係者でも存在をあまり知らない紙フィルムを復刻させるとは学研の英断と言わざるを得ず、真に快挙でありまして、活動写真に関わる人間は皆でこの号を買って売り上げに貢献すべきだろうと思っておりますが、いかがかな皆の衆。

 この号には、実はある活動写真弁士が紹介されています。彼の名前を小崎泰嗣さんと言って、私の得がたい友人なのであります。友人だとはこっちが勝手に思っているだけで、小崎さんはどう思ってるか…。でも素敵な方です。いつか仕事を一緒にしたいと願っているのです。誰か企画してくれればいいのですが。

 小崎さんは活動写真弁士でありますが、そんじょそこらのベンシではありません。アタシ如きとは格が違う。何しろ手廻し映写機を自分で廻しながら玩具フィルムに語りを付ける、しかも伴奏音楽はSPレコードをその場でかけるという、奇跡のような存在なのです。こんな人がアタシと同年輩なのです。世界は広い。

 しかも小崎さんと共にカイロプティック商会を組織し活動されている松本夏樹先生という方が、輪をかけて凄いのです。松本先生は大阪芸術大学・武蔵野美術大学の非常勤講師をされていて、十代の頃からン十年玩具フィルムを収集し続けている、国内屈指のフィルムコレクターなのです。先生のコレクションには日本最古のアニメフィルム『活動写真』も含まれます。

 アタシはこの『活動写真』の上映を観てます。自慢なのです。

 玩具フィルムってなんじゃらホイという方の為に、簡単に説明しますと、当時、お金持ちをターゲットにして家庭用の小型映写機が発売されておりまして、その小型映写機用に様々なフィルムも発売されていたのです。これが玩具フィルムです。内容はといえばオリジナルのアニメもありましたし、劇場で上映された作品のハイライトシーンを部分的に複製して発売したものもあります。当時はこうしたフィルムと映写機を使って活動写真ごっこがなされていたのです。映画が必ずしも映画館のみで供給されていた訳では無いのだと言う事を我々は抑えておく必要があります。さらにこうした玩具フィルムの貴重な点は、本体の映画が失われてしまって、玩具フィルムにおいてのみ観ることのできる作品が少なからず日本映画には存在するという事です。日本映画の残存率の低さは度々取り上げていますし、これからも書くでしょうが、壊滅的とも思える日本無声映画の映像を僅かながら玩具フィルムは今日に届けているのです。玩具フィルムとはそうしたモノなのです。いずれもっと詳しく書こう。今決めた。

 とまあ、かくも貴重なコレクションを有している松本先生と小崎さんが組んで玩具フィルムや幻燈を中心にして上演活動をされている事は、私はとても嬉しく、また今後、活動写真に対して注目を集める際にきっと必要な存在になるであろうと確信している次第。

 それはともかく、是非「大人の科学」を買って紙フィルムを上映してみる事です。弁士にかぎらず多くの人が、です。映画がこんなにも一般的な娯楽なのに、映画ってどうして動くのか、構造を理解している人は少ないと思います。しかもこれからはフィルムでなく、デジタルデータで映画が配給される時代になって行きます。ますます我々は映画の仕組みから遠ざかってしまうのです。それはチト寂しい事ではないでしょうか。

 微力ですが小崎さんのHP「たいじこざき」のご紹介http://www.kozakitaiji.com/

 弁士列伝の現代篇もやろうか…、よそうネ、色々カドが立つといけないもの。

 でも誰かがきちんと現役弁士全員に聞き取りをしておくべきだとは思います。それはアタシでは出来ない事なのです。片岡一郎は現役弁士の連絡先をほぼ全て知ってますが、いろいろとしがらみがあるのです。おおっぴらには出来ないし、したくない存在も居る。だから、誰かが全員にやって欲しい。現役弁士に聞き取りがしたい人は手伝ってあげる。
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|05/09| 読書コメント(0)TB(0)












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