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注・今回文章長いです。暴走気味です。だって仕方ないだろう。

 この文章を書ける日をどれほど心待ちにしていた事でしょう。
 周防監督の次回作は『カツベン!』です。まだ仮題だけど。

周防正行監督映画最新作 『カツベン!(仮)』キャスト発表!

 そして主演は成田凌さん。先日出演作の『劇場版コード・ブルー –ドクターヘリ緊急救命–』を見てきましたが、抑えた演技の出来る良い俳優さんです。

 無声映画業界で「周防監督が会場に居た」との目撃情報が囁かれ始めたのは今年の一月。
 早稲田大学での『忠次旅日記』上映の時からでした。

 妹弟子の山内菜々子が「周防監督の次回作は弁士とか無声映画を取り扱うんだと思うです」とか僕に言ってきたので、そんなにこっちに都合の良いことが起きる訳がないと思った僕は「夢を見るな」「監督に似た人だったんじゃないの?」とあしらったのですが、それから半月ばかりして監督の記者会見があり周防正行の新作は“弁士の青春”がテーマだと発表されるや、山内から「私はエスパーかも知れません」とメールが来て、微妙にイラっとしたのをよく覚えています。

 おいおい、これじゃ周防監督の話じゃなくて山内の話じゃねぇか。

 それからは僕の勉強会にも、坂本さんの会にも、もちろん無声映画鑑賞会にも監督やスタッフの方がいらして下さり、こんな事が本当にあるのか、とジンワリする日々を送っておりました。

 実は最近、無声映画、盛り上がりつつあります。
 確か昨年末だった今年の頭だったか、ツイッターで無声映画と弁士を扱った舞台をやるとの情報を見つけました。チケット発売日に早速予約をしたところ劇団の方から一度話を聞かせて欲しいと連絡があり、そこからトントン拍子に舞台のお手伝いをすることになりました。結果として、その舞台は、劇団KEYBOARD 第12回公演『これにて、』として本当に素晴らしい成果を生んだのです。出ている役者さんも、脚本・演出家さんもまだ若く実力に反比例して世間にはあまり知られていない事もあり、残念ながら大きな話題にはなりませんでしたが、自分が関わった事実を抜きにして本当に素晴らしい、弁士の歴史に愛を持って紡がれた物語でした。以来、劇団KEYBOARDの皆さんとは仲良くしております。

 ちなみにこの『これにて、』には我が師匠 澤登翠も観客として来場。劇団側が招待しようとしても本人が入場料を払う主義の為、現場は「こりゃあイヨイヨ下手な舞台は出来ない」と大混乱。さらに部隊が全て終わった後に周防監督も見に来てくださっていたことが判明し、劇団に伝えたところ、再度劇団が大混乱というおまけ付きでした。
 是非とも『カツベン!』の公開に合わせて『これにて、』も再演して欲しいなあと、小さな願いを持っております。

これにて、1

これにて、2


 そして現在、月間flowers誌上で赤石路代先生の筆により『めもくらむ 大正キネマ浪漫』が連載中です。こちらは大正時代の映画界を舞台にした物語で、当然無声映画が話のメイン。そして弁士もちょいちょい出て参ります。映画史的な考証をしつつ、あえて事実を逸脱し、現代の読者にも分かりやすく映画界やその周辺で生きる人々のドラマを描いておりまして、先日発売された第一巻は重版決定、第二巻は十月十日に発売予定です。
実は『めのくらむ 大正キネマ浪漫』には時代考証で少しだけお手伝いをしております。
第一巻が発売されて、拝読した際に、幾つか弁士の視点で情報提供できそうな点があったので編集部宛てに手紙を出したところ、ものの数日で返信があり赤石先生ともお目に掛かってお話を致しました。
第一巻も初版と二版で少しだけ違いがありまして、それらの違いの幾つかは僕が資料提供した結果が反映されたものです。なので初版を買ったよ、という方も第二版買って読み比べてみてね。もちろん第二巻も買ってね。
 赤石先生の作品では『ないしょのハーフムーン』『P.A. プライベートアクトレス』がドラマ化、『アルペンローゼ』がアニメ化されておりますので『めもくらむ』もこの勢いでドラマ化しちゃって頂きたい。

 さらにさらに今年八月、増山実先生が長編小説『波の上のキネマ』を発表されました。こちらでも作中に無声映画が重要な小道具として配置されており、ほんの少しですが弁士に関する言及もあるのです。
 苦難の人生において映画がどれだけ人の魂を救ったのかが描かれている作品で、読後感も良く大変にお勧めの小説です。映画に詳しくなくても十分に楽しめます。激動の昭和、という表現は使い古された陳腐なフレーズですが、まさに時代に翻弄された人間の隠された人生を覗き見ている内に気付くと感動している、心にくい物語です。タイトル『波の上のキネマ』も読み終えてみると納得の判断です。無声映画が出てくるから褒めてるんだろうと思われる方はネットで評価を探ってみて下さい。ずらりと並ぶ高評価は僕の誉め言葉が嘘ではないと証明してくれます。
 しかもなんと、私、この作品にも情報提供でちょっぴりお手伝いをしております。
 どうでしょう、『波の上のキネマ』も映画化などしてみては……。

めもくらむ 波の上のキネマ


 とまあ、最近、無声映画と弁士を取り巻く環境が猛烈に変わってきています。
 そこに満を持して周防作品のメインキャスト公表ですから、盛り上がらないのが不思議な状況です。

 僕は弁士の歴史を一人でミジミジずっと調べ続けておりまして、戦後の新聞記事や雑誌で弁士・無声映画が取り上げられているのを見ると、大抵「今、無声映画が静かなブーム」って書かれてるんですよ。もうずっと静かなブーム。50年くらい静かなブーム。いくらSilent映画だからって静かすぎるだろう。ブームは静かじゃない方が良いんだよ! だから今回は「静か」抜きのブームにしたいものです。劇場版にしずかが無くてはならないのは『ドラえもん』だけで十分です。

 『カツベン!』(仮)は2019年12月公開です。
 一年以上先ですが、貯金をする時間がある訳です。逆に言えば月に150円貯金するだけで公開時には何の負担もなく見られるんですから、こりゃタダみたいなもんだ(強引)。
 皆様のご来場、今からお待ちしております。

 で、ここからは無声映画業界へ向けて書きます。
 









この映画、ヒットさせようよ。全力で応援しようよ。
 一部記事では既に成田凌さんの指導に坂本頼光さんが入っている旨が報道されています。坂本さんと距離を置いている無声映画関係者もいるかもしれません。僕がこれだけ長々と書いている段階で鼻白んでいる方は、きっと居る事でしょう。自分は映画には関わらないから知ったこっちゃないと思う方……が万が一居たら悲しいな。
 でもさ『カツベン!』だけは全力で盛り上げようよ。
 世間が無声映画に、僕らの愛する無声映画に興味を持ってくれるチャンスではないですか。僕らは何度もチャンスを逃しているじゃないですか。
 『アーティスト』がアカデミー賞を取った時も、世間の関心を無声映画に向ける事が出来なかった。藤田まことさん、坂上忍さんが弁士役で舞台をやった時も関連イベントひとつ出来ずに終わった。個人的には古舘伊知郎と一緒に歌舞伎座に出演しておきながら結局次の流れを作れなかった。どれもこれも悔恨の極みです。無声映画に関わっていれば「これが上手くつながると、今後自分は階段を数段上がれるのでは」と思える仕事が、誰でもいくつかはあった筈なんです。でもみんな、それをうまく活かしきれていない。
 その結果が「静かなブーム」なんです。
 
 盛り上げようよ。だって盛り上がる環境が整いつつあるじゃないか。
 今年二月に行われた周防監督の制作発表の時にも言いましたが、僕は全力でこの作品を応援します。それが先人への恩返しにもなり、自分の未来へと繋がると思うのです。
 
 やろうよ。
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