目下絶不調で御座います。
 厄年とか気にした事がないのに、思わず調べたよね。厄年。
 こないだ38歳になったばかりでして、そしたら38歳は後厄なんだよね。女性の。

 もうね、俺は本当は女だったんじゃないかと。
 バイオリズムだけ女だったんじゃないかと。
 女ののど自慢にも出られるんじゃないかと。

 なにが不調ってね、鞄を盗まれましてね。
 その鞄に大切なものが殆ど全部入ってたんですわ。
 パスポートでしょ、サイフでしょ、クレジットカードでしょ、EUの滞在許可証でしょ、アパートの鍵でしょ……。
 幸いにしてPCと携帯は無事でしたから、良かったんですけれど。考えようによっては怪我一つせずに済んだから幸運ですらあるんですけれど。

 まあ凹むよね。

 その日はアムステルダムで公演でして、日帰りだったんです。
 真面目に仕事して、出来も可もなく不可もなくで。飾り窓で遊んだりもせずに一直線に帰ったんです。
 珍しく鉄道も遅れずに走りましてね。
 アムステルダムからケルンまではびっくりするくらい順調でした。
 電車の中で落し物をした人のクレジットカードを「これじゃない?」なんて見つけてあげるくらいの余裕。
 もうすっかりヨーロッパの水に馴染んだものじゃわい。なんて、自信ついたりなんかして。

 ケルンまで順調で、ケルンでボンに行く列車に乗り換えて、そこでちょっと目を離したすきに鞄がない。
 もう勘弁して頂きたい。
 次の日、すぐに警察に行って被害届を作って、それから滞在許可の再発行手続き、銀行のキャッシュカードの再発行手続き、クレジットカードの停止&再発行等々。

 この数日追われ追われていたんです。

 それでも、もうヨーロッパなんて嫌だ!とはならない辺り、やっぱり水が合ってるのかもしれません。
 それから、私は欧州滞在にあたり各種助成を受けていますが、もしかしたらアート支援てのは、こういう時に手助けをしてくれる体勢も必要なのかもしれません。
 だってパスポートの再発行に最短で一週間もかかるのよ。それもたまたま僕が戸籍謄本の写しを予備で持ってたから一週間で済んだわけで、そうでなけりゃ日本に連絡して誰かに戸籍謄本をとってもらって、それを送って貰ってからようやくパスポート再発行の手続きに移れるのです。
 オラが御国は、パスポートが盗難に遭った在留自国民に一週間も二週間もパスポートなしで生活しろと仰っておられる。
 こういう時に、何か日本からサポートしてくれるシステムがあれば本当に助かるのです。
 まあ分りますよ。大使館も領事館も、自国民が誘拐された、殺された、なんて事件にも対応しなけりゃなりませんから、パスポートの盗難程度にそんなにアタフタもしてられないでしょうけどね。でも、こっちに取っちゃ大問題ですからね。

 何とかなんねぇかなと思うのです。
 なんて、そんな体験談も1月15日の活動写真巡業隊 欧州凱旋公演にてお話する予定でおります。

 そこまでに、少しは星めぐりが良くなってると良いなあ……。
 来週、ベルギー公演ですよ。無事に帰ってこられると良いなあ。
 余談ですが、来年に向けて準備していたちょっと大きな案件が見事にポシャりましてね。
 あと微妙に喉が痛いです。
 もう本当にダメダメなのです。不幸のジェットストリームアタック状態。
 なんだろう、お祓いでもすればいいのか?それとも日ごろの行いを改めなきゃ駄目なのか?
 早ぇ話が俺が駄目なのか?

 とにかくね、元気を出していきたいと思います。
 元気の種は新しい仕事と皆様の御来場です。
 ちなみに厄年はまったく信じてません。 
 それからブログ記事のタイトルにはスリと書きましたが、正確には置き引きです。
 どうでもいいか。

 公演情報は以下の通り。


●活動写真巡業隊 欧州凱旋公演
日時/2016年1月15日19時30分
演目/欧州公演報告トーク&実演(上映アリ)
出演/片岡一郎、上屋安由美、田中まさよし宮澤やすみ
会場/カレーレストラン PAPERA
料金/要1オーダー(演者への投げ銭歓迎)
予約・問合/syoseibusi@yahoo.co.jp

1月15日 活動写真巡業隊 欧州凱旋公演


●映画誕生120年企画 活動写真弁士と生演奏による無声映画上映会
日時/2016年1月17日14時
演目/『乙女シリーズその一 花物語 福壽草』、ミニ講座「練馬と映画の歴史」
出演/片岡一郎、映楽団-Filmusik-<上屋安由美(ピアノ)市川仁志(オーボエ)益子侑(ヴァイオリン)田中まさよし(パーカッション)>
会場/大泉学園ゆめりあホール
料金/1,000円(友の会会員900円/2枚まで)※全席自由


(最終稿)1月17日 映画誕生120年企画 活動写真弁士と生演奏による無声映画上映会1


(最終稿)1月17日 映画誕生120年企画 活動写真弁士と生演奏による無声映画上映会2


キャプチャ ねりまとえいが


●「映画探偵の映画たち ─失われ探し当てられた名作・怪作・珍作」
日時/2016年1月16日(土)
演目/『何が彼女をそうさせたか』
出演/片岡一郎 ※音楽はフィルムへのアフターレコーディング版
会場/ラピュタ阿佐ヶ谷
料金/一般…1,200円 シニア・学生…1,000円 会員…800円 ※水曜サービスデー…1,000円均一

●「映画探偵の映画たち ─失われ探し当てられた名作・怪作・珍作」
日時/2016年1月21日(木)
演目/『何が彼女をそうさせたか』
出演/片岡一郎、上屋安由美(キーボード)
会場/ラピュタ阿佐ヶ谷
料金/一般…1,200円 シニア・学生…1,000円 会員…800円 ※水曜サービスデー…1,000円均一

●「映画探偵の映画たち ─失われ探し当てられた名作・怪作・珍作」
日時/2016年2月14日(日)
演目/『海援隊快擧』『天保泥絵草紙』
出演/坂本頼光宮澤やすみ(三味線)
会場/ラピュタ阿佐ヶ谷
料金/一般…1,200円 シニア・学生…1,000円 会員…800円 ※水曜サービスデー…1,000円均一


キャプチャ tanntei



 現在、ラジオCMでもナレーションを担当しております。
 
 ●森ビル R-CM 「こんな人がいるんです―コンシェルジュ」篇
 ●森ビル R-CM 「こんな人がいるんです―設計」篇
放送曲/J-WAVE
番組名/『BEAT PLANET』内、森ビル提供『HILLS AGENCY』にて 
日時/月曜~金曜 12時15分~12時45分
出演/片岡一郎(語り)、上屋安由美(ピアノ・コンシェルジュ篇)、田中まさよし(パーカッション・設計篇)

 日欧における活動写真文化の普及活動はアーツカウンシル東京さんの助成、企業メセナ協議会さんの認定を受けて行っております。
メセナ&アーツカウンシル



 
|12/11| もやもやコメント(0)TB(0)
 えらいやっちゃですよ。
 貧乏ヒマなしとは良く言ったもので、次から次へと襲ってくる雑事をかいくぐりながら仕事をしております。
 割合で言うと雑事7に対して、仕事が3といった感じでしょうか。そりゃ雑事も仕事がらみではありますが、にしてもレート悪いよね。レートが悪いと言えば今回のポーランド公演で貰った出演料のポーランドズロチを日本円に換金したら、余りのレートの悪さに白目の割合が増えたよね。本当にンもうってなったけれど仕方御座いませんね。ちなみに我が家には日本で全く換金できないクロアチアクーナが一万円分も眠っています。これもどうしたものか。日本でどころかドイツでも換金できないんだぜ。だけどクロアチアで使おうとしたら、現地の人が何でも買ってくれるから使えないんだぜ。全く経済を回さない弁士ですよ。不景気なのも俺が悪いんだな。

 さて、間が空いてしまいましたがポーランド公演のレポートの続きです。
 衝撃の『國民の創生』を見て、その翌日。私の演目は『雷電』と『子宝騒動』です。
 喜劇は怖いんです。海外まで来てウケないと針のむしろじゃないですか。あいつ何しに来たんだって事になっちゃうじゃないですか。『雄呂血』みたいなのは心配ないのです。ある種の社会を切り取っていて、世代を超えたメッセージ性がありますから。一方で喜劇は、ある時期は面白かったけど数年経つと丸っきりウケない、なんて事もままありますから。気を付けたいものです。気を付けようがないですが。

 この日ご一緒したのはWacław Zimpelさん。洒落っ気のあるジャジーな音で作品にも上手くハマりました。
 この日は何のかんのとトラブルが多くて、リハが一切出来なかったんですね。演者側には大した問題はなかったのですが、スタッフサイドで大きな問題が起こってしまいました。今回の公演では事前に説明台本をお送りして、全て私の喋る内容を事前にポーランド語に翻訳、本番では喋りに合わせて字幕を投影する形式でした。字幕を操作するオペレーターさんの席は映写室の中にあります。つまりオペレーターさんは僕が喋っている事を生の音で聞いて居るのではなく、スピーカーを通じて聞きながら作業をしなければならない環境であったのですが、なんと本番が始まったら昨日は音を出していたスピーカーがウンともスンともいわない。これでは喋りに字幕を合わせようがない……。
 どうやら誰かがケーブルを抜いちゃってたらしいんですね。理由は不明ですが。
 後で聞くと映写室の中はそれで大慌てだったそうな。
 やっぱりリハーサルは五分でいいからやっとくべきね。

 ま、終わりよければ全て良しで、両作品とも好評でありました。

 そして自分の出番が終わった後のお楽しみはグリフィスの”The Avenging Conscience of Thou Shalt Not Kill”(1914)です。グリフィス唯一のホラー作品で、私は未見とくれば翌日が帰国だろうと見ない訳にはゆきません。
 音楽は二人組のガールズバンドSoundz Goodさん。
 昨日、大変な経験をして今夜はどうなるだろうと色んな意味で期待を高めている内にお二人の登場。

 美人!な気がする。
 近くでお話する訳じゃないから細かい造作は分かりませんけれど、遠目に見ると美しい。
  
 動画も上がってたからリンクしちゃいましょ。



 で、演奏ですが、良かったんですよ。
 エレキギターとチェロが中心で、それ以外にもマラカスだとかの小道具を幾つか持ち込んでました。
 伴奏をするというよりは、心音や足音などを楽器で表現して世界観を作り上げてゆく感じ。

 こうやって褒めてると、どうせ見た目でしょ?と思われる方もいらっしゃいましょう。
 実は見た目なんですね。俺、音楽の上手い下手は分らないから。だって見た目は大事なんですよ。
 無声映画の魅力について問われた時に「今の人間が参加できるのが魅力だ」とよく答えんるんです。弁士だけじゃなくて、様々なミュージシャンがそれぞれの音楽でアプローチできるのが無声映画の良さであり、これからの世の中に無声映画を問うてゆく時に不可欠の要素であると僕は確信しているのです。
 そんな風に言っていた自分がガールズバンドは見落としていた。これは痛恨です。
 実際、女の子がパフォーマンスをしているだけで目尻を落し、鼻の下を伸ばしつつ「彼女は才能がある。長年見てきた俺だから分かる」っていうヲッサン長年のお客様は少なからずいらっしゃいます。そういう層に大受けなんでないだろうか、ガールズバンドで無声映画。下衆かもしれませんが、そういう切り口で見せてゆくのも大切なんです。あの手この手で裾野を広げてゆかないといけない業界なんです。映画マニアのお客様はありがたい。弁士を好きでも、あるいは弁士を嫌っていても、やっぱり有難い。しかし人数が少ない。無声映画までフォローしてくれる映画マニアだけをターゲットにしていても商業としては成立しないんですね。実に悩ましい処であります。

 という訳で、我こそはと思うガールズバンドの皆様、無声映画に挑戦してみてはいかがかしら?

|05/12| もやもやコメント(0)TB(0)
 告知で無い投稿です。
 でも一つだけ先に告知させて。

 5月24日はぐらもくらぶです。
 大谷能生さん、新垣隆さんの演奏が聞けるだけで2000円なら充分元の取れる企画ですので、おそらくは大勢のお客様にお越し頂けると思いますが、なにぶん予約なしの当日のみですので本当にいらしていただけるのか関係者一同不安になっている時期で御座います。もしこのブログを見ていて行こうかなと思っている方はコメント欄でも結構ですし、あるいはツイッターやフェイスブック等で「これ面白そう!誰か一緒に行かない?」とステマ気味にアレして頂けろと嬉しい今日この頃であります。

●春のぐらもくらぶ祭り2015 『音と影』 ~戦前日本における映画と音楽の融合
日時/5月24日14時~(第一部)、16時30分~(第二部) *入れ替え無し
内容/
 第一部 戦前日本における映画と音楽の融合・サイレントからトーキー、その成熟期
      無声映画期の映画伴奏 / 紙恭輔と映画音楽 / エノケン映画とジャズ / 貴志康一と映画 / ミュージカル映画の世界ほか
 第二部 夢想する無声映画の進化
      現代における気鋭音楽家と活動写真弁士による伴奏つき無声映画の再現。
      新垣 隆らによる無声映画音楽についてのトーク / 新垣 隆(ピアノ)、大谷能生(サックス)の即興演奏による無声映画上映 / 片岡一郎(活動写真弁士)、新垣 隆(ピアノ)による『己が罪作兵衛』(1930年・松竹蒲田作品)の上映
出演/大谷能生(音楽家) 、佐藤利明(娯楽映画研究家) 、 毛利眞人(音楽評論家) 、 保利 透(アーカイブ・プロデューサー) 、片岡一郎(活動写真弁士)、新垣隆(ピアニスト)
会場/江戸東京博物館ホール(両国)
料金/ 2.000円(当日券/ 入れ替え無し)
※博物館併設の駐車場の出庫は17時30分までとなっておりますのでご注意ください。


春のぐらもくらぶまつり2015

 さて先日、ポーランドに行って参りました。
 大学での講義と実演で三日間喋り通しで、実に密度の高い充実した時間でしたが、中でも印象的だったのは、あるミュージシャンの演奏でグリフィスの作品を見た事でした。

 ワルシャワでは毎年無声映画祭が行われていて、今年は12回目の開催でした。私は『雄呂血』『子宝騒動』『雷電』の三本を説明いたしました。どの作品も現地のミュージシャンが演奏をして、私が説明をするスタイルで上映。『雄呂血』の代名詞ともいえる、あのチャンバラシーンでは「さくら」をアレンジした曲が演奏され、しかもこれが勇ましさ、悲しさ、美しさを同時に併せ持った実に良い演奏でして、実に刺激的。こういう選曲は却って日本人だと出来ないかもしれません。
 そんなこんなで『雄呂血』の評判は上々、次がグリフィスの『國民の創生』をアメリカから来たドラマーの演奏で上映でした。私も『國民の創生』は説明した経験がありますが、そりゃ大変なんだあれは。長いから。

キノイリュージョン
キノ イリュージョン
 
 この映画祭の会場はKino Iluzjon(キノ イリュージョン)と言いまして、素敵な事にスクリーンの前にオーケストラピットがあるんです。つまり劇場が無声映画を上映する前提で作られている。当然ながらピットの中にいるミュージシャンの姿は見えません。そこにドラマー氏から不満が出た。

オケピ
オーケストラピット

 別に名前を伏せる必要も無いですね。
 その方のお名前はSean Noonanさんと言います。この方のパフォーマンスについて若干批判的な表現を使うかもしれませんが否定をするつもりは無いのをあらかじめお断りしておきます。

 さてこのSeanさん、猫の被り物をして演奏するからお客さんから姿が見えないのは困ると。
 ついては猫の被り物を見せる方法は無いか、というのでスクリーン脇にもう一つスクリーンが設置される事になったのです。これ自体は面白い試みでした。映画だけ見られれば良いんだ、演者なんか映画の邪魔にならないように何となく演奏していろ、という方ならいざ知らず、人間がパフォーマンスをしていればそちらも見てみたくなるのが当然の心理ですから。
 そこでこんな風にスクリーンとプロジェクターが配置されたのですね。

サイドスクリーン

 さて当日です。
 なんでもSeanさん、猫は止めたと。
 理由は分かりませんが、ここでサイドスクリーンの存在意義が80%程失われたのでした。嗚呼。
 上映前の主催者あいさつの後に場内に入ってきた彼は金色のローブをまとっていました。ボクシングのチャンピオンみたい。かましてくれます。俺がどんなに頑張って紋付を着ても、あそこまでのインパクトは出せません。やるなSean。でも俺は猫が見たかった。

 『國民の創生』の上映が始まります。
 演奏メンバーはSeanさんのドラムに加え、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの四人編成。
 映画と共に厳かに音楽が流れますが、合わねぇ、ちっとも映画の雰囲気に合わねぇ。
 Seanさんが何か喋りはじめた。まさか弁士なのか、ドラム兼弁士か。アメリカ版山崎バニラか?
 いや違う。字幕を読んでるんじゃない。映画と関係ない事を喋ってる。時々歌ったり咆えたりもする。
 家族だんらんのシーンで「Reincarnation(輪廻転生)」を連呼している。そんなテーマ、この映画に有ったか?無えよな?
 「Cold world」って繰り返してる。戦争のシーンで分かるような分らないような……。
 「私の影はどこ?どこにもない。あれは私の影じゃない」とかなんとか言っている。

 『國民の創生』は190分御座います。
 このパフォーマンスは3時間行われました。
 びっくりしたね、俺は。
 この映画祭では通常、上映終了後に主催者がもう一度登壇してミュージシャン(もちろん弁士も)を紹介して拍手で終演が基本的な流れなのですがSeanさんてばオーケストラピットにカメラがある事を把握してるもんだから、その場でメンバー紹介を始めちゃって主催者が出てくるタイミングを奪っちゃった。しょうがないからお客さんも困った感じで拍手して、主催者困惑顔で、Seanさんはバンドメンバーとピットの底で抱き合ってやり切った感を爆発させている。
 もうね、最高の光景でしたよ。
 彼は下手なミュージシャンではありません。公式サイトを見ても大変なスケジュールをこなしている売れっ子です。
 ただし彼が日本に呼ばれてフィルムセンターで演奏したら暴動が起きますね。弁士が一応はストーリーを尊重して喋っても文句を言う人が出る環境で、彼の様なパフォーマンスは金返せと受付に文句を言う方続出でしょう。

 Sean氏は映画を無視して勝手な演奏をしたのか?
 答えは否です。映画の流れを無視している様でいて、ちゃんと曲の変わり目と映画のシーンがリンクするように構成されていましたし、あの詩や歌も彼なりに映画からインスピレーションを受けて発したものなのだと思います。聴衆が共感できないだけで。できない、は適当ではない表現かもしれません。できなかった、という方が近いでしょう。

 無声映画上映の基本的な理念は、映画が主で演者は従です。
 彼は徹頭徹尾演者が主であろうとした。そういう形態の無声映画上映があっても良いし、現に少なからず行われています。ただし今回のコンセプトとは合わなかった。もし彼の様なミュージシャンと無声映画のコラボを試みるならオーケストラピットを使ってはいけないのです。舞台上に上げて、映画に被ろうがお構いなしにスポットライトを浴びせて上演すれば、きっと素敵な空間になったのではないかと思います。
 惜しむらくは事前の確認が双方ともに不足していた、という事でしょう。

 上映が終わってみればもう午前一時。
 翌日には『子宝騒動』と『雷電』の説明もあるので、稽古もしなければならない私はホテルへ向かって夜道をあるいたのです。しかしその夜の稽古はさっきの演奏が思い出されてしまい、あんまり意味がありませんでした。

 そして翌日、『子宝騒動』と『雷電』を説明した私は、またしても現地ミュージシャンに大きな衝撃を受ける事になるのです。

 

  続く
|05/06| もやもやコメント(0)TB(0)
 いつぶりでしょうか、告知で無いブログを書くのは。
 本当は告知丸出しの文章とか書きたくないんですけどね。イヤらしいじゃないですか。
 でも告知をしないのもカッコつけてるみたいでイヤらしいじゃないですか。
 どっちでもイヤらしいじゃないですか。困ったね。

 昨日は京都に行ってきました。
 何をしに行ったかですが、どこまで情報を公開していいかわかりませんので書かないでおきます。
 でもおもちゃ映画ミュージアム絡みで京都でした。
 日帰りでした。何人かに泊まっていけばいいのに、と言われ、俺だって一泊したいやいと思いながら帰京致しました。
 そもそも、おもちゃ映画ミュージアムとはなにか?

 こんな記事が御座います。

京都に「おもちゃ映画」博物館 戦前のおまけ、5月オープン

 ざっくり説明すると、おもちゃ映画とは劇場で上映された、そのままの状態ではなく、そこから切られたり、あるいはハイライトシーンだけ編集してプリントし直した物を家庭用に販売したフィルムの事を指すんですね。
 ここで重要なのは日本の戦前映画、特に無声映画の残存率は10%以下で殆どが消滅してしまっている中で、おもちゃ映画は家庭用に売られたからこそ残っている、という事です。つまり現在は全体を見られない映画も、おもちゃ映画で販売されたために一部分とはいえ見られるのです。しかも最も映画の盛り上がるハイライトシーンが。
 おもちゃ映画とは映画史の空白を埋める非常に重要な要素で、それを長年集めていたのが太田米男先生、そして松本夏樹先生のお二人です。この度太田先生が私財を投げ打って京都におもちゃ映画ミュージアムをオープンさせると聞き、これは弁士として、映画史に関わるものの末端として大いに協力せねばならんと思い京都に行ってきたのですね、相手のお金で。

 おもちゃ映画ミュージアムは5月18日オープン予定です。昨日の段階ではまだまだ工事中でした。
 予定よりもちょっと?だいぶ?遅れているらしいですが、まあ工事なんてのはそういうものでしょう。

おもちゃ映画ミュージアム工事中

 こんな感じですね。壁と柱の感じが良いですね。
 もともとは織物の工場だったところを改修して博物館にするんだそうで、展示物だけではなくて建物も見どころです。
 そしてオープン告知チラシも貰ってきました。なんと昨日刷り上がったばかりの出来立てホヤホヤ。
 もしかしたらネットにあげるのは、ここが一番早いかもしれない。遅くとも世界で5番目以内。 

おもちゃ映画ミュージアム 表
チラシ表


おもちゃ映画ミュージアム 裏
チラシ裏

 ミュージアムは単に展示だけではなくて上映会やライブもやっていきたいとのこと。
 京都に映画関連施設の新名所が誕生するのです。
 機会があったら僕にも何かやらせてくれとちゃかりお願いしてきました。
 幻灯でフィルムを送りながら語った事はあるんですが、手回し映写機はまだ経験がないの。一度やってみたいんですよね。それから太田先生が集められた膨大なおもちゃフィルムもどんどん説明してみたい。

 これは余談ですが、太田先生、また凄いフィルムを見つけてきました。
 映写機にかけられるかは分からないけれど、デジタル化は出来そうな状態だそうです。
 うーん、早くそれも見たい。

 おもちゃ映画博物館を応援します。

 
 



|04/18| もやもやコメント(0)TB(0)
 ドイツ時間12月29日の午前9時20分にあちらを出発して、日本時間12月30日18時過ぎに帰宅しました。
 ちょっと疲れましたね。にしてもあーた、僕が海外から帰って来るのにも皆さん慣れちゃって、以前アメリカ7カ月滞在から戻ってきた時はツイッターでもフェイスブックでも大変な歓迎っぷりだったのが、もう今じゃ、あらお帰りってな感じですよ。今日は塾ない日だったかしら?くらい言われそうな感じでユルユルですよ。それだけ行ったり来たり出来てるんだから有難いことではありますね。

 今回のドイツ滞在も色々御座いましたが、それは各所でおいおい話してまいります。
 来年は英語をもっと頑張ります。あと出来ればドイツ語も勉強したいです。弁士の立てる目標じゃねえな。
 でもでも、いま何となく動いている案件が全部回れば、来年から再来年にかけて僕は結構偉い人になれる予定なんです。全部回ればだけどな。つまり偉くならねぇんだけどな。

 お正月は神保町シアターでかねてから演りたかった『武士道』、ベルリンのキノバビロンで「日本では弁士が居たからトーキー化が遅れたと本に書いてあったけど、その意味が分かったよ」と大変好評だった『忠臣蔵』、そして今年のハイライトのひとつだった『雄呂血』と同じ監督、脚本による『美丈夫 後篇』の説明を致します。大変に趣味に走った見どころの多い作品が並んでおりますので、お運びくださいませ。

神保町 2015 正月

●新春特別企画「無声ちゃんばら映画傑作選」
日時/1月3日13時30分~
演目/尾上松之助の『忠臣蔵』『美丈夫』
出演/片岡一郎、柳下美恵(ピアノ)
会場/神保町シアター
料金/1500円(当日券のみ)

●新春特別企画「無声ちゃんばら映画傑作選」
日時/1月4日15時30分~
演目/尾上松之助の『忠臣蔵』『美丈夫』
出演/片岡一郎、柳下美恵(ピアノ)
会場/神保町シアター
料金/1500円(当日券のみ)

●新春特別企画「無声ちゃんばら映画傑作選」
日時/1月10日13時30分~
演目/『武士道』
出演/片岡一郎、天池穂高(ピアノ)
会場/神保町シアター
料金/1500円(当日券のみ)

●新春特別企画「無声ちゃんばら映画傑作選」
日時/1月11日15時30分~
演目/『武士道』
出演/片岡一郎、天池穂高(ピアノ)
会場/神保町シアター
料金/1500円(当日券のみ)

 上記プログラム以外にも坂本頼光さん説明、神崎えりさん&小林弘人さんピアノ演奏で『剣聖 荒木又右衛門』『韋駄天数右衛門』の上映も御座います。新春のひと時を神保町シアターで是非是非。


 今回の長い旅はアーツカウンシル東京さんに支援によって実行可能となりました。
 大変に感謝しております。

アーツカウンシル東京ロゴ
|12/30| もやもやコメント(0)TB(0)